シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン “パリマグ”
  • HOME
  • PARIS
  • クリスマスマーケットで賑わう、アルザス地方のクリスマス菓子『ベラヴェッカ<BERAWECKA>』

PARIS

クリスマスマーケットで賑わう、アルザス地方のクリスマス菓子『ベラヴェッカ<Berawecka>』

Pocket

クリスマスマーケットで賑わう、アルザス地方のクリスマス菓子『ベラヴェッカ<Berawecka>』

こんにちは。菓子・料理研究家の山本ゆりこです。いよいよ年末ですね。今年最後の「旅するフレンチレシピ」は、前回のロレーヌでも少しご紹介したお隣の「アルザス」へ。ドイツとの国境にあるアルザス地方は、カラフルな漆喰の木組みの家が並び、店先には鉄細工のつり看板があしらわれ、その佇まいはドイツそのものです。

今回は、アルザスでこの時期食べられるケーキ「Berawecka(ベラヴェッカ)」のレシピをご紹介。最もクリスマスらしいクリスマスに出合えるアルザスの旅へ。

 

ドイツのクリスマス文化が色濃く影響しているアルザス


アルザスのマルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)のテントの目印になっていたペール・ノエル(サンタクロース)

12月にアルザスをご紹介するのは、アルザスのノエル(クリスマス)が一番ワクワクするから。日本でもこの時期の風物詩となっている「クリスマスマーケット」。フランス語でMarché de Noël(マルシェ・ド・ノエル)といいますが、これもフランスでは、クリスマスマーケットのルーツといわれるドイツ(諸説あり)の影響を強く受けているアルザスがはじまりだとか。


アルザスの中心都市「ストラスブール」の駅前広場に飾ってあった木製のクレッシュ(ノエルに飾られるイエスの生誕シーンの模型)

この時期になると、アルザスの街々で開かれるマルシェ・ド・ノエルを目当てに訪れる人たちがたくさんいます。ノエルにもみの木を飾るという習慣も、またアルザスがはじまりなのだそう。その昔、もみの木の飾りは、本物のりんごと聖体(聖別※されたパン、ウエハースのようなもの)でした。それから、16世紀末に子どもが喜ぶお菓子になり、18 世紀末には、ろうそくと職人によるガラス玉やガラス細工で彩られたそうです。

 

※聖別:キリスト教で,聖なる使用にあてるため,人や物を儀礼的に清め,世俗から区別すること。

 

クリスマスシーズンに欠かせないお菓子たち


マルシェ・ド・ノエルでブレデルを売る屋台。「Spritz Bredele(スプリッツ・ブレデル)」は、ブレデルのなかでも定番でシンプルな絞り出しクッキー

そんなツリーにまつわるアルザスならではのノエル菓子が「Bredele(ブレデル)」です。これはクリスマスツリーに飾ったり、クリスマス期間に味わって楽しむクッキーの総称で、場所によって「ブレデラ」だったり、複数の呼び名や綴りが存在しています。その種類も豊富で、星形や長方形、絞り出しなど、1冊の本にまとめられるくらいの数あるとか!アルザスの人々に「ブレデルのないノエルはない」といわしめるほど、欠かせないものだそうです。


ブレデルの中にもあるパン・ダニス(アニス風味の焼き菓子)を作るための木型。写真のものは大きいパン・ダニス用で、ブレデル用には小さい型で作ります

今回ご紹介するのが、アルザスならではのもうひとつのノエル菓子「Berawecka(ベラヴェッカ)。シュトーレンに似た佇まいですが、ドライフルーツとナッツがぎっしり入っているのが特徴です。「ベラ」は「洋梨」、「ヴェッカ」は「小さいパンまたはケーキ」という意味で、こちらも呼び名や綴りがいくつか存在します。名前の通り、薄くスライスして干した洋梨を中心に、さまざまなドライフルーツ(りんご、桃、いちじくなど)やナッツ(アーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツなど)を蒸留酒に漬け込み、パン生地でつないで焼き上げます。


ベラヴェッカはパン同様発酵生地で作るお菓子ですが、パン屋ではなく、主にパティスリやパン・デピスの専門店で売られています

キリスト教にとって1年で最も大切かつ盛大な祝祭であり、家族とごちそうを囲むノエル。冬は果物がとれなくなるため、収穫された果物をそのつど乾燥保存しておき、それらを集めてこしらえられた甘いごちそうがベラヴェッカだったのでしょう。シュトーレンのように薄く切ってお茶の時間に楽しんだり、フォワグラをのせてもいいそうです。タンニンが強めの赤ワインやホットワインにもよく合うので、ぜひ一緒にご賞味ください。


中心都市ストラスブールのカテドラルのそばにあるパティスリ。グリーン×金×白のシックなノエルのデコレーションが素敵です

 

Berawecka<ベラヴェッカ>の作り方


撮影協力:皿/グラス/ナイフ BBB POTTERS/ BBB&

本来は酵母(イースト)を使った生地でまとめるお菓子ですが、味わいだけを残しつつ、簡単にできるよう、ベーキングパウダーで代用するレシピにアレンジしています。このレシピで2個できるので、ひとつはラッピングしてプレゼントにしても◎。

 

【材料】(2本分)

<ドライフルーツ類>

・ドライいちじく(ソフトタイプ):100g

・レーズン:100g

・プルーン(種なし/ソフトタイプ):50g

 

・ラム酒:大さじ1

 

<粉類>

・薄力粉:80g

・ベーキングパウダー:小さじ1/3

・シナモンパウダー:小さじ1/2

・オールスパイスパウダー:小さじ1/4

 

・無塩バター(室温に戻す):50g

・砂糖:20g

・卵:1個

・ホールアーモンド(皮つき/ロースト):70g

・くるみ:30g

 

【作り方】

1.ドライフルーツの下ごしらえをします。

・<ドライフルーツ類>を熱湯に10分浸し、やわらかくなったら、湯を切ります。いちじくとプルーンは半分~1/4に切りましょう。

・大きいボールにドライフルーツ類とラム酒を入れ、手でねちゃねちゃになるまでもみます。

 

2.生地を合わせます。

・<粉類>を合わせて、フォークでよく混ぜます。

・小さめのボウルにバターを入れ、泡立て器でやわらかくなるまで混ぜます。

・砂糖と卵を順に加えて、その都度よく混ぜます。

・1のボールに、ナッツ類と混ぜ合わせたバター類を順に加え、そのつどゴムべらで混ぜます。

・粉類をふるいながら加え、粉気がなくなるまで切るように混ぜます。

 

3.生地を成型して、焼きます。

・クッキングシートを敷いた天板に、生地を2つに分けてのせます。

・ゴムべらで整えながら 、写真のようなかまぼこ形に成形します。

・180℃に温めたオーブンで30~40分、しっかり焼き色がつくまで焼きます。

 

 

ドライフルーツとナッツがたっぷり入った、素朴な味わいのベラヴェッカ。意外と簡単に作れるので、今年のクリスマスにチャレンジしてみませんか?

 

★イベント情報

森田けいこ&山本ゆりこ パリ時間旅行 #8

〜 パリの現代の物語とおいしい話

2023年1月27日(金)20:30-22:00(日本時間)

シリーズでお届けしているZoomライヴ中継セミナー「森田けいこ&山本ゆりこ パリ時間旅行」がついに最終回。大戦後に造られたモダンなエレメント、そして終わらないパリの進化についてご紹介します。今回は、初回からこれまでのセミナー全体を通して質問も受け付けています。お申し込みは、お早めにどうぞ!

詳細はこちら

 

 

クリスマスマーケットで賑わう、アルザス地方のクリスマス菓子『ベラヴェッカ<Berawecka>』

この記事が気に入ったら
いいね!してね

PAGE TOP