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    パリ初のデジタルアートの美術館『アトリエ・デ・リュミエール』が誕生!

    今年4月、パリ11区にオープンした『L’ATELIER DES LUMIÈRES(アトリエ・デ・リュミエール)』。パリ初のデジタルアート美術館ということで話題を呼んでいます。デジタルアートと一言でいってもなかなか想像するのも難しいかもしれませんが、ここ最近、フランスではプロジェクションマッピングを使ったアートが夏の野外イベントなどで大人気。光と音と映像を用い、カテドラルなどの古くから知られる建築物に映写して、普段とは違う空間を作り上げ、その作品の中に観客が入るような感覚が新鮮です。

    今回のアトリエ・デ・リュミエール』では、そんなプロジェクションマッピングの技術が会場中にいっぱい。さっそく紹介していきましょう。

     

    19世紀には鋳造工場だった場所をリニューアル!

    1835年築のかつて鋳造工場だった場所を利用し、床面積2,000㎡、天高は10mの広いスペースに140機のプロジェクターと50個のスピーカーを設置。床から壁まですべてがキャンバスとなり、その総面積はなんと3,300㎡にも!

    はじめのエキスポは、『クリムト展』です。2018年4月13日〜11月11日までの長期間展示ですが、今でも週末は大行列になるほど。プロジェクションマッピングだけでなく、展覧会の内容も人気の秘密のようでした。

     

    フランスでクリムト作品を見られる貴重な展覧会

    グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862 – 1918年)といえば、ウィーンの巨匠と言われる画家のひとり。彼の作品は、フランスでもファンが多いと言われていますが、意外とフランスで作品を見られる機会は多くありません。名作はウィーンの美術館などに貯蔵されているか、個人蔵や海外に散らばっているので、なかなか一挙にクリムトの作品を目にすることが難しいのです。

    そこで、今回の展覧会では、最新技術を使い、モダンな空間にクリムトが生まれ育ったウィーンの街や影響を受けた芸術などと共にクリムトの作品の数々を投影。

    この映像は『ベートーベン・フリーズ』という1901年にクリムトによって描かれた壁画作品がベースになっています。オリジナルの壁画は縦7ft(約2m)、横幅は112ft(約34m)もあるというので、ウィーンまで行かないと見られない作品ですが、ここではプロジェクションマッピングで投影された臨場感ある映像で鑑賞できます。ベートーヴェンの『第9』がテーマになっている作品ということで、会場に流れていました。音楽を聴きながら観られるのも魅力ですね。

    こちらが大変有名な『接吻』という作品です。1906〜1908年に描かれた作品で、実物サイズは180×180cmで金箔をたくさん使って描かれた豪華な作品です。この時代、クリムトは好んで金を使っていたため、黄金時代と呼ばれているようです。

    こちらは、クリムトの自然をモチーフにした作品です。この時代の作品をあまり見たことがなかったのですが、音楽とともに彼が描く独特な世界に引き込まれてしまいました。

    こちらは、花のモチーフですが、なんと水面に映し出されています。

    他にも、円形をした空間やガラス張りの空間もあり、2次元である絵画を違った次元で体感することができるようなさまざまな工夫されています。

     

    クリムトに影響を受けたウィーンの芸術家の作品も

    クリムトに影響を受けた画家たちの作品の展示もあり、ウィーンの芸術の流れを体感することができます。

    例えば、エゴン・シーレ(Egon Schiele 1890-1918)。クリムトと同じ時代を生き、女性を描き続けた画家としても知られていますが、クリムトから影響を受けた画家として、対比して紹介されています。

    17歳のときに、クリムトに出会ったエゴン・シーレは、クリムトを師匠のように慕い、多大な影響を受けました。独自のスタイルを持つ人物画が有名ですが、彼の風景画を見るとクリムトからの影響を感じずにはいられません。

    これはシーレの風景画の一部。手が届くところにプロジェクションされていて、子どもも楽しそうです。

     

    2つめの展示会場でもあるカフェコーナー、『Le STUDIO』

    もうひとつの展示会場であるル・ステュディオでは、「POETIC_ AI(ポエティック・アイ)」という人工知能をテーマにした現代デジタルアートを展示。カフェをしながら座って作品を見ることができます。

    大ホールで行われている『クリムト展』の始まりのタイミングをこちらのスペースで確認できるという親切なサービスもありました。

    出口付近にあるブティックでは、アートに触れて大人の世界を感じた子どもたちが興奮気味でポストカードなどを選ぶ姿も。絵画鑑賞をするには、まだちょっと小さい子どもたちにもデジタルアートは人気のようです。

    パリ11区という子育て家庭も多いエリアに出現した新スポットは、家族でもアートを楽しめる人気スポットになっていました。

     

     

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