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    世界遺産に!フランスを代表する建築家ル・コルビュジエを訪ねて

    古いアパルトマンが並ぶ街並みや教会、エッフェル塔やポンピドゥー・センターなど、さまざまな建物が見どころとなっているフランス。

    今回はそんなフランスを代表する建築家ル・コルビュジエについて紹介したいと思います。

     

    絵画から都市計画まで手がけた建築家、ル・コルビュジエ

    ル・コルビュジエは20世紀に活躍し、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと並び、「近代建築の3大巨匠」として位置づけられる建築家です。その作品には、個人住宅、集合住宅、教会といった建築物の設計の他、家具や都市計画まで大小さまざまな作品があります。

    画家として活動していたこともあり、そのときの作品が現在開催中の「ポンピドゥー・センター傑作展」で展示されていたりもします。

    そして、この夏はコルビュジエによる7カ国計17件の建築が世界遺産登録されることが決まり、さらに注目を集めている建築家なのです。今回は世界遺産登録される建築物の中から、特に押さえておきたい作品を5つご紹介したいと思います。日本で見られるものもあるので、ぜひ、チェックしてみてくださいね。

     

    パリ郊外の住宅「サヴォア邸」

    Villa Savoye – JCBC97-0004 – Jean-Christophe Ballot© CMN, Paris

    コルビュジエ初期の作品である「サヴォア邸」は、パリ郊外にある個人住宅。芝生の上に浮いたような四角形が印象的な建物です。コルビュジエによって提唱された「近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)」が実現されています。

    建物の中は白い壁と外から入る光が明るい空間。写真右にあるスロープを上がると…

    中庭を望む大きな部屋が。正面に見える横長の窓(水平連続窓)は、コルビュジエ建築の特徴のひとつです。

    写真右:Villa Savoye – JCBC97-0113 – Jean-Christophe Ballot© CMN, Paris

    歩くごとにさまざまな空間に出会うことができるので、建築に詳しくない方も存分に楽しめるのではないでしょうか。

     

     

    両親のための住宅「レマン湖畔の小さな家」

    こちらはスイスのレマン湖の湖畔に建つ小さな家。コルビュジエが両親のために建てたものです。

    幅3m、長さ20mというコンパクトな室内ですが、家具の配置、動線が工夫されていたり、水平窓からはレマン湖とアルプス山脈の雄大な風景が見えたりと、小ささを感じさせない空間になっています。

    小さな庭や屋上庭園もあり、両親が心地よく暮らすための工夫が随所に見られる建築です。「ここでどうやって過ごしたのかな?」と想像しながら見学するのもまた、建築探訪の楽しみ。コルビュジエのご両親に思いを馳せながら見学してみてくださいね。

    • ■施設情報
    • 小さな家(La Petite Maison)
    • 住所:21, Route de Lavaux 1802 Vevey(地図
    • 見学について:4月〜10月の水曜日(13:30~17:30)のみ見学可能

     

     

    光が作る神聖な空間「ロンシャンの礼拝堂」

    ここまで2つと随分違う印象の建築ですが、こちらもコルビュジエによるもの。フランス東部にある通称「ロンシャンの礼拝堂(正式名称:Chapelle Notre-Dame du Haut)」です。

    コルビュジエ後期の作品で、20世紀最高の建築と称されることもある名建築のひとつ。

    正面から見るとキノコのようにも見え、裏側から見るとなんだか顔のような塔が。少し不思議な外観ですが、中に入ってみると…

    天井から光が降り注ぐ空間があったり、

    壁に嵌めこまれたステンドグラスの窓から光が射していたり。光が創りだす美しく、厳かな空気を体験することができます。分厚い壁のせいか外の空気よりも少しひんやりと張り詰めたような空気で、より一層神聖な気持ちに。

    わざわざ行くには少し不便な場所ですが、訪れると気持ちが洗われたような気分になるので、ちょっと足を伸ばして行ってみてはいかがでしょうか?

     

     

    泊まれる世界遺産!?「ラ・トゥーレット修道院」

    コルビュジエ後期作品の中で「ロンシャンの礼拝堂」と並んで、代表作とされているのが「ラ・トゥーレット修道院」です。

    リヨン郊外の丘の上に、傾斜に沿うよう建っている四角い建物が特徴です。実際に修道士が生活している施設で、建物の中には礼拝堂、食堂、図書館、寝泊まりする個室などが入っています。

    薄暗い礼拝堂ですが、色とりどりの壁に反射しながら射す光がとてもきれい。壁のカラーはコルビュジエの絵画を思わせる配色です。

    こちらは修道院の個室。この個室のサイズは、コルビュジエが提唱した人間の身体のサイズを元にして作られたモデュロールという単位によって作られています。実はこちらの修道院、実際に宿泊することも可能。有名建築に泊まり、その空間を体験するということはなかなかできないので、おすすめです。

    他にも、随所にコルビュジエの工夫やアイデアが散りばめられています。窓の作り方やあしらいもとても秀逸で、時間による光の変化も見どころ。じっくりゆっくり建築の魅力を体験することができる場所です。

     

     

    日本でもコルビュジエ建築を体験!「国立西洋美術館」

    「コルビュジエの建築を見たい!」と思っても、フランスやスイスまで足を伸ばすのは大変…という方もご安心を。日本にも1つだけコルビュジエの建築があります。

    © 国立西洋美術館

    上野にある「国立西洋美術館 本館」です。

    © 国立西洋美術館 本館展示室

    「国立西洋美術館 本館」にも、ピロティやスロープ、光の取り入れ方やモデュロールなど、コルビュジエが提唱してきたアイデアがたっぷりと詰まっています。

    © 国立西洋美術館 19世紀ホール

    「国立西洋美術館」のサイトには、コルビュジエの建築の魅力をより深く感じたい方のためにマップも公開されているので、こちらを片手に建築探訪するのもよいですね。

    また、このお向かいにある「東京文化会館」はコルビュジエの弟子である前川國男設計によるもの。併せて見るのもおすすめです。

    • ■施設情報
    • 国立西洋美術館
    • 住所:東京都台東区上野公園7-7(地図
    • 開館時間:9:30~17:30(冬季:〜17:00)、金曜日は20:00まで ※入館は閉館の30分前まで
    • 休館日:月曜日(休日の場合は翌火曜日)、年末年始

     

    「建築」というとどうしても少し難しいイメージを持ってしまいますが、あまり考えすぎず、訪れて、使って、体験して感じるものの方が大切。この夏は、フランスを代表する建築家・コルビュジエの建築巡りなんていかがですか?使いやすさや居心地など人が使うための建築を作ってきたコルビュジエ。その建築をぜひ体験してみてください。

     

    ※施設情報、見学情報は変更の可能性があります。

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