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    花生師・岡本典子さんに習う、花のアレンジと日常への取り入れ方

    前回、おしゃれなご自宅を見せていただいた花生師(はないけし)の岡本典子さん。フランスやパリのご家庭のように花やグリーンがいたるところに飾られている空間がとても素敵でした。

    「さっそく、自宅に取り入れてみたい!」ということで、今回は実際にご自宅でも楽しめる花のアレンジ方法と楽しみ方を教えていただいた模様をレポートします。春を感じる季節にぴったりの花のアレンジです。

     

    花を生けるのは花瓶にこだわらなくてもOK

    さて、さっそく教えてもらおうと思ったのですが、いざ花を飾ろうとすると意外と悩ましいのが花瓶。専用の花瓶を買おうにもどんなものがいいのか分からなかったり、お気に入りのものが意外となかったり…。

    「『花を自宅に飾りたいけど花瓶がなくて…』という方は多いのですが、花瓶である必要はなくグラスでもジャムやジュースの空き瓶や深めのお皿でも何でもいいんですよ。気に入った花瓶がないならわざわざ買わずに、水が張れる深さのものであれば何でも大丈夫」と、岡本さん。

    岡本さんのご自宅でもピッチャーやお皿、グラスなどに花が生けてありましたが、それが気取らない雰囲気となり、とても素敵でした。これなら花を気軽に取り入れられそうですね。

    今回は実際にテーブル花のアレンジ2パターンとガーデニング気分も楽しい寄せ植えを教えていただきました。

     

     

    【初級編】テーブルが華やぐ小さなアレンジ

    1.グラスの大きさに合わせて花をチョイスします。

    今回は、花瓶のかわりに深さのある小さなガラスの器を使います。器の口が直径8cmくらいのものです。花はラナンキュラスを始め花びらに色が混じっているものをチョイス。

     

    2.花を切ります。

    器のサイズに合わせて花をカットして行きます。切り口から水を吸うので斜めにカットしましょう。お水につかると腐ってしまうので、下の方に付いている葉っぱは取り除きます。そうすることで花まで水が上がりやすくなり、長持ちするという利点もあります。

    切り口から花までの距離が短いほど持ちが良くなるので、もったいない気もしますが思い切って短めにカットしていきましょう。

     

    3.グラスに生けていきます。

    今回のように口が広い器の場合は、小ぶりの花を器の口に寄り掛からせ、頭の大きな花で止めていくイメージでバランスよく配置していきます。

    花を選ぶポイントは、単色ではなくて色が混じっている複雑な色を選ぶと雰囲気が出るとのことでした。また茎がうねっていたり、花びらがヒラヒラと動きがあるような花だと小ぶりでも単調にならずに華やかな仕上がりになります。

     

    4.バランスを整えて完成です。

    お水に位置は器の3分の1くらいに。葉っぱや茎が水の中で腐ってしまうとバクテリアが繁殖して傷みやすくなるので、できるだけこまめに水を変えたほうが長持ちするとのことでした。

    あっという間にテーブル花のできあがりです。小ぶりですが、360度ぐるりとどこから見てもかわいいのでみんなで囲む食卓などにもぴったりですね。

    普段のコーヒータイムも花があるだけで自然と華やぎます。植物の自然の色が足されるだけで気分が良くなるのを実感しました。

     

    【中級編】春にぴったり球根を使ったアレンジ

    春ならではのアレンジでおすすめなのが、球根を使ったアレンジです。今回はチューリップ、ムスカリ、ヒヤシンスの球根を使います。

    環境にもよるのですが、10日くらいは持つとのことで切り花よりも長く生花を楽しむことができますよ。

    1.球根を花器に入れていきます。

    浅いお皿だと時間が経ち伸びてくると倒れてしまうので、ガラスの円錐状のものがおすすめです。根っこだけがつかるくらいの量の水を張ります。そこにヒヤシンスの球根を器に寄りかからせるように入れていきます。

    バランスを見てチューリップの球根を同じ様に器に寄りかからせる様にどんどん入れていきます。

     

    2.バランスを調整し完成です。

    ムスカリの球根も入れて、バランスを整えたらできあがりです。

    ガラスの器に入れるだけという簡単さなのですが、テラリウムみたいで絵になります。

    ポイントは水の量。球根が水にひたひたにつかってしまうと腐ってしまうので根っこだけが水につかる様にして下さい。水はすぐに減ってしまうので、こまめに補給すると良いでしょう。

    普段見ている切り花とは違うおもしろさとかわいさがありますよね。花だけでなく、根っこまで一体となって見られるので植物の生命力やより自然な姿が楽しめます。球根が出回る春だからこその、おすすめアレンジです。

    切り花と一緒に飾っても素敵です。

     

    【上級編】多肉植物の寄せ植えにチャレンジ!

    上級編として、ガーデニング気分で挑戦したい寄せ植えも教えていただきました。今回は日持ちも良く室内でも扱いやすく、人気の多肉植物を使ってのアレンジです。

    1.材料を準備します。

    鉢、お好きな多肉植物の他、軽石と底網ネットを用意します。

     

    2.鉢に土を入れます。

    最初に鉢の底に底網ネットを入れます。底網ネットを入れることで虫の侵入も防いでくれるという効果も。

    水はけが良くなる様に軽石を鉢の底が隠れるくらいまで入れていきます。

    その上から土を入れていきます。鉢の深さと植物の大きさによって土の量は決めましょう。土はねっとりしているよりも水はけのよい乾いた土の方がおすすめとのこと。もし土が湿っている場合は、軽石などを混ぜて水はけのよい状態を作ってあげると良いそうです。

     

    3.多肉植物を植えていきます。

    土が入ったら、その上に植物を置いていきます。葉の形や色が違うものを入れると動きが出て、単調な感じになりませんよ。

     

    5.隙間に土を入れていきます。

    植物を入れたら、その隙間にしっかり土を入れていきます。

    土は風で飛ばされたり、水で流れたりして減っていくことはあっても増えることはないので、多めに入れていきます。

     

    6.土を均一にします。

    割り箸を土に刺していきます。1番時間をかけて丁寧やりたい作業がこの作業です。割り箸でつんつんとすることで、鉢の中で土を均一に行き渡らせることができます。手でぎゅうぎゅうと土を押し込んでしまうと土の中の酸素が減ってしまうので、割り箸や小枝で丁寧にやるのがおすすめ。この時に、根っこを傷つけない様に注意しましょう。

    このくらいの鉢さ土の高さが鉢より1cm〜1.5cmくらい下にある状態まで、土がまんべんなく行き渡ったら完成です。この空間はウォータリングスペースといって、水をあげた時に土が流れ出ないようにするために空けておくスペースです。

    小さな庭園のできあがりです。鉢から垂れるような植物が入っていると生き生きした印象になりますね。多肉植物の場合、水はあげすぎずに土がしっかり乾燥したらあげる様にしましょう。水をあげすぎると根が腐ってしまうので要注意です。

    ちなみに、海外でも花に携わっていた岡本さんから見て、日本と海外とでは一般の人の花との関わり方の違いはあるのかを聞いてみたところ、

    「今はだいぶ変わりましたけど、当時は明らかに違いました。日本では母の日やお祝いなど誰かのために豪華な花束を贈るというお客様が多いかと思うのですが、海外では自分のためや家族のために好きな花を一輪買って行くという感じで、もっと花との関係が身近なものでしたね」とのことでした。

    花=贈り物という概念にとらわれず、自分のために花を飾り楽しむという豊かさ。「花を普段の生活に取り入れてみたいけどどこから始めたらいいのかな」と思っている方も身の回りにあるものを上手に取り入れて活けてみるところからスタートしてみませんか?

     

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