私たちの身近な飲み物のひとつ、コーヒー。コンビニでも買えるし、カフェもいっぱいありますが、おうちでゆっくりとコーヒーを淹れる時間もなかなかいいものです。せっかく淹れるならおいしいコーヒーが飲みたいもの。
しかも、最近“スペシャルティコーヒー”といった言葉も耳にするようになり、にわかにコーヒーが盛り上がっている様子。ということで、渋谷区道玄坂にあるコーヒーショップABOUT LIFE COFFEE BREWERSが開催する、スペシャルティコーヒーの魅力やおいしいコーヒーの淹れ方について教えてくれる講座「ABOUT LIFE,ABOUT COFFEE」に、PARIS mag編集部も参加してきました!
講師は、ABOUT LIFE COFFEE BREWERSのディレクターである坂尾篤史さん。日本でのスペシャルティコーヒーの第一人者でもある坂尾さんのレクチャーを聞こうと、様々な方々が参加されていました。
講義はコーヒーの種類から取り巻くライフスタイルのお話まで、多岐にわたり、みなさんの表情は真剣そのもの。
コーヒーカルチャーの聖地であるメルボルンやシドニーのスタンドを巡り、さらに各地の農園まで足を運び、コーヒーの研究を重ねている坂尾篤史さん。奥沢のONIBUS COFFEEのオーナーでもあります。
コーヒーをワインのように楽しむ!?コーヒーの“イマ”を知るための用語
まずは、講座の中で出てきた3つの重要なキーワードをご紹介します。
1.スペシャルティコーヒー
スペシャルティコーヒーとは、産地、農園、精製方法、焙煎、淹れ方まで、すべてにこだわって淹れたコーヒーのこと。アメリカ、オーストラリア、北欧の先進国で、このようなコーヒーが飲まれるようになりブームになっています。
2.シングルオリジン
シングルオリジンとは、スペシャルティコーヒーの中で、単一の農園で作られ、品種・精製方法にこだわった生産者の顔が見える上質なコーヒーのこと。一般的なシングルオリジンの豆の情報欄には、農園、品種、精製方法、標高などが記載されているので、いつどこで誰が作ったコーヒーなのか知ることができます。
3.サードウェーブ
1986年頃、スターバックスなどに代表される、高品質の豆やエスプレッソマシーンなどを使い、紙コップでテイクアウトできるシアトル流のコーヒー文化が世界中に広まったセカンドウェーブがありました。その後、北欧、サンフランシスコ、オーストラリアなどの文化レベルの高い国々で一般化してきた、産地、精製方法、焙煎、淹れ方、すべてにこだわったスペシャルティコーヒーカルチャーが、サードウェーブです。
このような自分が飲むコーヒーの起源を知り楽しむという、コーヒーとの新しい関係が日本でも注目されてきています。
産地や農園の違うコーヒーをそれぞれ飲んでみると、その味の違いは歴然。種類によって、ベリーやはちみつなど風味の特徴があり、コーヒーってこんなに味が違うんだと、驚きました。
ポイントをおさえれば誰でもできる!おいしいコーヒーの淹れ方
コーヒーの味の違いを実感し、ますますコーヒーをおいしく淹れたいという思いが強くなったところで、淹れ方を教えてもらいました。
おうちでもやりやすく、私たちにもなじみのあるドリップでの淹れ方をご紹介いたします。
講座では、オーストラリアなど世界のバリスタも使用しているというハリオのV60というドリッパーと、ハリオの無漂白のフィルターペーパーを使用しました。フィルターペーパー(特に茶色のもの)は、紙の味がしてしまうものがあるので、その際はドリップ前に湯煎すると良いようです。
さっそくおいしいコーヒーを淹れてみよう
STEP1:コーヒー豆を用意します。
1杯につき約15gのコーヒー豆を用意し、グラインダーに入れます。豆は到着後、1ヵ月以内に飲むのがおすすめです。冷蔵庫で保管すると、より鮮度を保ちやすくなりますよ。
STEP2:コーヒー豆を挽きます。
電動のグラインダーの方が均等に挽けますが、ご自宅の場合は手でゆっくり豆を挽くのも楽しみのひとつ。写真はポーレックスのセラミックコーヒーミルを使用。いずれも挽きの粗さを調整ができますので、お好みで調整してください。粗挽きはさっぱり、細挽きは濃く苦めの味となります。
STEP3:蒸らします。
ドリッパーなどの器具は、前もってお湯を入れてあたためておくとよいでしょう。器具が冷えている状態で淹れると、温度が下がってしまい酸味が強く出てしまうことになります。その後、お湯を注ぎ蒸らします。この時、お湯は95℃がベストです。ちなみに、浅煎り・中煎りまたは深煎りのどの豆を使用するかで、お湯の注ぎ方が少し違ってきます。
・浅煎りの豆の場合は…
50mlくらいお湯を注ぎ、しっかり混ぜて全体が蒸らされるようにします。ゆっくり注いでしまうと酸味が気になる味になってしまいますので、短時間で淹れるように気をつけてください。
・中煎り・深煎りの豆の場合は…
混ぜずに、お湯をやさしく注ぐだけでOKです。混ぜてしまうと苦味が出てしまいます。ゆっくり蒸らすために、お湯も30mlくらいに調整しながら注いでください。
お湯を注いだあとは、きちんと蒸らすことで風味を逃さず、より豊かな味わい仕上げることができます。
STEP4 :お湯を注ぎます。
蒸らし終わったら、2~3回に分けて円を描くようにお湯を注ぎます。まず真ん中に注ぎ、その後外側、そしてまた内側と、内→外→内と注ぎ、お湯の合計が250mlになるようにします。時間は、シングルオリジンは2分30秒くらいで、ブレンドは3分くらいで注ぎ切るのが目安です。
STEP5:しばらく待ちます。
あとはドリップされるのをゆっくりと待ちます。きちんとお湯の量を測っているので、お湯は落とし切って大丈夫です。
おいしいコーヒーの秘訣はきちんと測ること
以上が、おいしいコーヒーの淹れ方となります。意識するポイントはいくつかありましたが、そんなに難しいことはありません。どうやら時間とお湯の量をきちんと測りながら、ドリップするのがおいしいコーヒーの秘訣のようです。
講座では他にも、コーヒーのテイスティング(カッピングと言います)や、エアロプレスという淹れ方も体験することができました。
実際に飲んでみると、コーヒー豆や淹れ方によって、味の違いがあることを実感し、コーヒーの奥深さを知ることができました。
コーヒーを豆から挽き、ゆっくりと丁寧に淹れる時間もいいですよね。淹れ方をマスターしたら、豆にこだわってみたり、気分によって豆を変えてみたり、楽しみは広がっていきそうです。