人と会う機会が減ってしまった昨今ですが、そんな中でも香水の需要が高まっているようです。PARISmagでも香水に関するトピックスは人気!
なぜ、今香水が注目されているのでしょうか?その秘密を教えてくれたのはニッチな香水をセレクトする専門店『NOSE SHOP』渋谷店店長・渡邉友希さん。『NOSE SHOP』で取り扱う香水は、独自の視点でセレクトしたユニークなものばかり!香水の“基本”についても教えてもらいました。
香水作りは畑作りから!?奥深い“ニッチフレグランス”の世界
今回訪れたのは、全国で6店舗を構える香水のセレクトショップ『NOSE SHOP』。「あなたの鼻が主役のお店」をコンセプトに約40ブランド600種以上の香水を取り扱っています。
「『NOSE SHOP』で販売している香水は全てユニセックスで使えるもの。国籍、年齢、性別を問わず、全ての人に香りを自由に楽しんで欲しいという思いからです。ですので、お店のデザインやスタッフのユニフォームもカジュアルにして、気軽に香り選びができる雰囲気でお客様をお迎えしています。」(渡邉さん)
“香水”というとラグジュアリーでかしこまった気分になりますが『NOSE SHOP』にその雰囲気は全くありません。実際、カップルやファミリーで香水を買いに来る方も多いんだとか。
ところで “ニッチフレグランス”とはあまり聞いたことがないワードですが、どういったものなのでしょうか?
「調香師がこだわり抜いて作っているブランドの香水です。大手メゾンで活躍してきた調香師が手掛けるブランドが多いのも特徴です。大手メゾンで作られる香水は、ブランドのフィロソフィーやマーケティング方針に沿って作らなくてはいけませんが、個人ブランドでは調香師自身のこだわりをとことん香水に投影することができます。香料は天然のものを使ったり、アルコールもオーガニック植物由来のものを使ったり、なかには香料のもととなる植物の畑から耕す調香師もいるくらいです!」(渡邉さん)
そのため大量生産は難しく、香水文化が根付いているヨーロッパでは香水の玄人が行き着く終着点のような位置付けだそうです。ニッチフレグランスは、なんとも奥深い世界なんですね。
心にダイレクトに伝わる“香り”
香水は仕事やデートなど、人と会う時につけるイメージのあるアイテムですが、人と会う機会が減った今改めて注目されています。実際、『NOSE SHOP』でもコロナ禍以降、オンラインでの購入者が増えているそうです。
「実は日本人は香りをまとうということに対してハードルが高い方が多く、人と会う時に「香りがすると相手に迷惑かな」と香水を避ける方も多いんです。しかしリモートワークが増えたことで、『自分だけで香りを楽める』と香水を買われる方が増えてきました。
香りの種類によって、リフレッシュしたり、リラックスもできます。また、記憶に残りやすいのも香水の特徴。香りの刺激が脳に伝達されるまでの速さは0.2秒以下と言われていて、他の感覚より脳にダイレクトに伝わります。香りによって記憶が蘇ってくるのには、そのような理由があるのです。それだけ香水は心を豊かにしてくれる効果もあるんですよ」(渡邉さん)
気分を高めたり、仕事モードに切り替えたりと、気持ちのギアを変えるときにも、香水はぴったりなんです。
シーンに合わせて香りを纏う…
心をスイッチしてくれる香水。そこで、どんなシーンでどのような香水がおすすめなのか渡邉さんに教えてもらいました。
●家で仕事をする時
Abel(オランダ):ホワイトベチバー
天然成分100%で作られたサスティナブルブランド。ライム、スペアミント、ベルガモットを基調にしたスッキリとした香りが、仕事中の脳をフル回転させてくれそうです。時間を追うごとに、ベチバーとバニラの優しい香りに変化していきます。
●久しぶりのおでかけ
Laboratorio Olfattivo(イタリア):ヌン
『NOSE SHOP』で最も人気の高いブランドのひとつ。エジプト神話で「原初の水(NUN)」という意味のこの香水は、レモンやネロリといった清涼感にフルーティーなペア(洋梨)の香りがアクセントになっています。さわやかな香りで、足取りも軽くなりそう!
●リラックスタイムに…
L’Orchestre Parfum(フランス):ピアノ・サンタル
2017年にローンチした『L’Orchestre Parfum(オーケストラ パルファム)』はその名の通り、音楽からインスパイアされたブランド。ピアノの中をイメージした香りは大聖堂の白檀、微睡の中のミルキーな香りをプラス。少し甘めでうっとりする香りなので、寝香水にもおすすめです。
●気分が落ち込んだ時
The House of Oud(イタリア):ザタイム
ひとつひとつ手仕事で作られるボトルが印象的なこちらのブランド。世界でも希少と言われる天然の最高級ウード(沈香)を使用した、高級感ある香りが楽しめます。『ザタイム』は、ムスクをベースにアールグレイ、アンバーの香りが疲れた心にそっと寄り添ってくれます。
●気分を盛り上げたい時
Etat Libre d’Orange(フランス)|リマーカブル ピープル
「理性のエッジに誘う危険な香りのジュース」がコンセプトの革新的な香水ブランド。“非凡な人々”という意味のこちらの香りは、グレープフルーツやシャンパン、カルダモンなどのスパイスの香りをミックス。ユニークな香りで、気分もアップデートできます!
おさらいしたい、香水の基本
香水には色々な楽しみ方がありますが、気をつけたいのが“香りのマナー”。あまり強い香りでは、“香害”と呼ばれてしまいます。近づいた時にふっと香るくらいがおすすめの付け方ですが、どこに香水を着けたらよいのでしょうか?
●腕の内側と首
腕は店頭でタッチアップする際に多い場所のひとつ。顔に近づくことも多いのでつける量は注意が必要。ポイントは手首に吹きかけた時に、擦らないこと。ゴシゴシ擦ってしまうと香りの粒子が潰れてしまい、綺麗に香りが立ちません。腕に香水を吹きかけたら自然乾燥させましょう。首には、腕に着いた香りをトントンと軽く移す程度でOK!
●みぞおち
最もパーソナルに香りが楽しめる場所。洋服を着る前に、みぞおちにシュッと2、3回ほど香水を着けます。他の人にはあまり香りませんが、洋服が揺れるたびに襟元からふわっと香りが漂ってきます。
●足元
食事など、あまり香りを強くしたくないシーンでおすすめ。足首あたりに着けると、ほのかに香る程度なので、料理の香りにも影響しません。歩くたびに香るのも素敵ですね。
●全身に
体全体に香りを纏うなら、香水を空中に2、3回シュッとして、その下を潜ってみましょう。全身に香りが広がりつつ、ふわっと軽く香る程度なのでおすすめです。渡邉さんもお気に入りの着け方なんだそうです。
また、香水を選ぶときに目にするのが、“ノート”。これは香りの層を指す言葉。ノートの中にもトップノート、ミドルノートなどありますが、どこをポイントに香水を選べばよいのでしょうか?
「トップノートが着けて5〜10分、ミドルノートが30分〜2時間、それ以降に香るのがラストノートです。実はどのノートも大事なので、ぜひお店のテスターをお試しで着けて1日過ごしてみてください。香りの変化はその人の体温や体質によって異なるので、実際に試してみるといいですよ。それでも迷ってしまう場合は、着けた瞬間のインスピレーションで選びましょう!」(渡邉さん)
また、香りの種類も千差万別。香りのタイプを“香調”といいます。いろんな香りを試してみて、お気に入りの香調がわかれば、そこから派生していろんな香りが楽しめますね。
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<代表的な香調>
・シトラス…柑橘系の香り、スッキリ
・フローラル…お花の香り、華やか
・ウッディ…樹木の香り
・フルーティ…ジューシーな果実の香り
・グリーン…草や葉などの緑を感じる香り
・スパイシー…刺激的な香り(ペッパーのようなシャープな香りから、シナモンやアニスのような甘い香りも)
・オリエンタル…エキゾチックな香り
・グルマン…甘いお菓子のような香り
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ぜひ香水選びの参考にしてみてください。
心がなかなか落ち着きづらい世の中ですが、香りはそんな心を穏やかに、時にはハッピーにしてくれます。『NOSE SHOP』でお気に入りの香りを見つけてみてはいかがですか?
- ■お店情報
- NOSE SHOP 渋谷
- 住所:東京都渋谷区渋谷1-26-5 RAYARD MIYASHITA PARK 2F
- 営業時間:11:00〜20:00
- HP
- ※取材当時のものとなります。最新情報は商業施設HPやSNSをご確認ください。
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