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    芸術の秋を食卓から。『モネ 庭とレシピ』で再現するクロード・モネの料理

    印象派を代表するフランスの画家クロード・モネは、絵を描くことと同時に、庭づくりと日々の食事にも強いこだわりを持っていました。モネがフランスのノルマンディー地方にあるジヴェルニーという小さな村に移り住んだのは43歳の頃。終の棲家となったモネの家には広大な庭があり、作品を売ったお金の多くを庭作りの資金にあて、季節の花々とともにハーブや野菜も育てていたそうです。

    林綾野さんの著書『モネ 庭とレシピ』では、モネが残したレシピノートを参考にした21点の再現レシピが、庭作りへの情熱とともに紹介され、モネの日常生活を垣間見ることができます。今回は実際にモネの食卓を再現し、SNSで注目を集めたmeiさんに、本の魅力と再現料理の楽しみ方について伺いました。

    11月はモネの誕生月でもあります。歴史に名を残す画家の日常を「料理」と「庭」という視点で見つめて、いつもとはひと味違った芸術の秋を堪能してみませんか?

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    • mei/編集・ライター(フリーランス)
    • 高校生の頃から旅と写真を好み、さまざまな国のカルチャーやアートに触れる。大学ではフランス語とフランス文学を専攻。SNSでは読書や映画、食べること飲むことなどの「好きなこと」について発信。
    • Twitter:@meiku03
    • Instagram:@meiku0330
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    時間や場所を越え、画家の想いと繋がれる一冊

    ―『モネ 庭とレシピ』では、フランスのジヴェルニーという小さな村で、モネがどのように生活していたのかを感じ取ることができますね。

    meiさん(以下、敬称略):この本は、文章と絵画と写真がギュッと詰まっていて、いろいろな角度からモネの絵画やお庭、レシピを楽しめます。著者の林綾野さんは、アーティストと食の関係を研究しているキュレーターです。そんな林さんならではの情報や知識がちりばめられているので読み応えもあります。

    掲載されているレシピを見て、実際に料理を再現しながら「この料理を誰と食べたのだろう?」「食べながら何を考えていたのだろう?」と画家の生活や想いと繋がれるのもうれしいですね。

    本書には、レシピノートから抜粋された再現レシピとともに、キッチンやダイニングルームの写真や、こだわりの庭のガーデンマップ、モネが好んで植えられた木々や植物がイラストで紹介されています。モネが生きた時代と、当時の情景を思い浮かべつつ、画家としてのこだわりを間近に感じることができるのも魅力です。

     

    食器やテーブルクロスにもこだわり、モネの世界観を食卓に再現

    ―掲載されているレシピは、「トマトソースのオムレツ風」や「農家風にんじん」など、シンプルな素材を使った料理が多く、思わず「試してみようかな?」と思わせてくれます。meiさんがレシピを再現するときにこだわったポイントがあれば教えてください。

    mei:モネはフランスの画家なので、実際にフランスで購入したお皿やフランスのブロカント(古道具)の器などを使用することで、その世界観に近づけるように意識しました。

    盛り付けの際は、緑とオレンジなどの補色関係にある色同士を組み合わせるようにします。味付けについては「適量」と説明されている部分も多いので、自分好みに調整してOKです!

    また、モネの絵画にはよく布が用いられていて、その上に色味の鮮やかなフルーツが置かれていることが多いです。そういう観点でも、テーブルコーディネートはこだわり甲斐がありますね。

    モネは「光の画家」とも呼ばれていたんです。だから、私も自然光が降り注ぐ時間帯を選んで、植物を画角に入れて撮影しました。

    ―庭づくりにもこだわりを持っていたモネの世界観を演出するためには、「光」も「植物」も大切な要素ですね。

    mei:写真だと食べ物の温度感までは伝わりにくいので、あたたかい雰囲気を演出するためにも花や植物は欠かせないですね。

    ―最後に、meiさんの芸術との関わり方や、日常に取り入れるためのコツを教えてください。

    mei:私は幼い頃から、父によく美術館に連れて行ってもらい、「気に入った絵をじっくり観たらいいよ」と言われて育ったので、芸術は友人のような存在かもしれません。同時に、芸術に触れて「自分が何を想うか」も大切で、絵画を通してそのときどきの自分の心と向き合えることも芸術の魅力なのかなと思います。

    モネの絵は、光や色を繊細に捉えているものばかりです。すべての作品から画家の息遣いを感じることができるので、ただ眺めているだけでもしあわせな気持ちになるのではないでしょうか。

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    庭で摘んだハーブや、畑で収穫したばかりの野菜を使い、家族や友人と囲むモネの食卓。本書で紹介されるレシピはいずれも素朴な家庭料理です。しかし、どんなごちそうよりも魅力的に、おいしそうに思えるのは、「食べること」を彩る環境にもこだわっているからなのでしょう。

    食生活から1人の芸術家の生き方に触れることで、美術館で絵画を鑑賞するのとは違った目線で芸術を捉えるきっかけになるとともに、画家・モネへの理解がより深まった気がしました。

     

     

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