「松陰神社前」という地名を聞いたことはありますか?東京都世田谷区のほぼ中央に位置し、東急世田谷線という路面電車が走る小さな駅です。今、その街におしゃれなカフェや書店ができ、にわかににぎわっているのだそう。小さな商店街の中に、新しいお店と古いお店が混在する様子は、少しパリのサンマルタン運河周辺のようでもあります。
今回は秋の始まりのお散歩におすすめの松陰神社をガイドします。
松陰神社前の駅前に古くからあるパン屋さん『ニコラス精養堂』
東急世田谷線の松陰神社前駅を出てすぐの線路沿いにあるのが『ニコラス精養堂』。この周辺にはパン屋さんがたくさんありますが、ここはかなり古くからあるそうです。
店内にはさまざまな種類のパンが所狭しと並んでいます。写真右下の「胡麻ごぼうフランスパン」は人気商品のひとつ。
定番の食パンはレトロなパッケージがかわいいです。
甘いパンも人気ということで、「チョコクロワッサン」を食べ歩き用に購入しました。
- ■ お店情報
- ニコラス精養堂(にこらすせいようどう)
- 住所:東京都世田谷区若林3-19-4(地図)
- 電話:03-3421-1100
- 営業時間:8:00~20:00
- 定休日:日曜日・祝日。お盆休みあり
お店を出て商店街を南に進みます。
両側にさまざまなお店が並んだ、まっすぐに伸びた商店街。
冬以外でもたのしめるおでん種屋さん『おがわ屋』
赤い看板が目印のお店は、おでん種を扱っているちょっと珍しいお店。
見たことのないくらいたくさんの種類のおでん種がありました。「松陰ジンジャー」というちょっとおもしろいネーミングのものも。ちなみに、しょうがたっぷりの「松陰ジンジャー」は『おがわ屋』さんの一番人気。
おでん種はそのままお醤油やポン酢につけてもおいしくいただけるそう。おろししょうがやワサビとも相性抜群なんだとか。ビールとも合いそう!
冬だけの楽しみにするにはもったいない、おでん種の楽しみを教えてもらいました。
- ■ お店情報
- おがわ屋
- 住所:東京都世田谷区若林3-17-10(地図)
- 電話:03-3414-7914
- 営業時間:10:00~売り切れ次第終了
- 定休日:日曜日・祝日 ※正月、お盆休みあり
- ※記事の内容は取材当時のものです。
アート系の本がそろう古本屋『nostos books』
『おがわ屋』さんの向かいには、おしゃれな古本屋さん。
デザインやアート系を中心に選書された古本屋さんです。
内装もとてもおしゃれ。古くからあるお店とおしゃれなお店が一緒に楽しめるのも松陰神社前の魅力のひとつです。
何時間いても飽きないような素敵な本の数々。地元の方も利用するお店なので、エッセイや小説などの古本もあります。
- ■ お店情報
- nostos books
- 住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12 1F(地図)
- 電話:03-5799-7982
- 営業時間:[平日]13:00~21:00、[土日祝日]12:00〜20:00
- 定休日:水曜日
『nostos books』の横の路地にも飲食店がずらり。夜ごはんはこの辺りのお店もよさそうだなと物色。
八百屋さん、魚屋さんなどの専門店が多いのも特徴。実は、この商店街の中には、スーパーマーケットがないんです。都心ではなかなか見かけなくなった風景なので、懐かしさを感じます。
お散歩の休憩にカフェ『STUDY』へ
喉も乾いてきたので、駅の方に戻り、線路を渡ったところにある『STUDY』というカフェで休憩することに。
明るくグリーンに囲まれた空間は広々としています。
季節ごとにかわるというパフェとレモネードをいただきました。8月のパフェは、夏らしいマンゴーとグレープフルーツ。ヨーグルト風味のアイスとマッチしてとても爽やかな味わい。
グリルした国産のレモンが入ったレモネードも、苦味と酸味と甘味のバランスがクセになります。
今回はいただきませんでしたが、以前コーヒーの淹れ方を教えていただいた坂尾さんがオーナーをつとめる『ONIBUS COFFEE』のコーヒーも飲むことができます。
大きな窓から商店街の人の動きを眺めつつ、のんびりとできる素敵なお店です。
- ■ お店情報
- STUDY
- 住所:東京都世田谷区若林4-20-7 1F(地図)
- 電話:03-6804-0160
- 営業時間:[月〜土]12:00〜23:00(L.O.)
- [日曜]12:00〜18:00(L.O. 17:30)
- 定休日:水曜日
休憩し、元気も復活したところでお散歩再開。
『STUDY』の隣の本屋さんでちょっと寄り道。路面に雑誌が並んでいる本屋さんもなんだか懐かしいですよね。
自家製コロッケとめんちかつがおすすめ『肉の染谷』
駅を背にさらに進むと、夕飯の材料を買う地元住民で賑わうお肉屋さんがあります。
揚げたてのお惣菜がずらり。
自家製の「松陰コロッケ」と「特製めんちかつ」を購入。お肉では「豚の味噌漬け」が人気メニューなんだそうです。
食べ歩きできるようにソースも用意してくれています。
コロッケとめんちかつを食べる場所を求めて近くの公園に。
『肉の染谷』のお向かいにある酒屋さんで購入した「松陰ビール」と一緒にいただきます!
まだ明るいうちからビールを飲むのも休日の贅沢のひとつ。
もちもちとしたポテトがたっぷりのコロッケと、お肉の旨味がぎっしり詰まっためんちかつは、かなりの絶品!ビールとの相性も抜群のお惣菜です。
- ■ お店情報
- 肉の染谷
- 住所:東京都世田谷区若林4-17-11(地図)
- 電話:03-3419-2941
- 営業時間:9:00~19:30
- 定休日:日曜日
今話題の吉田松陰をまつる『松陰神社』
松陰神社前の名前の由来にもなっているのが『松陰神社』。今まで歩いてきたまっすぐな道は、松陰神社へ続く参道でもあります。
大河ドラマでもおなじみの吉田松陰を祀っていることでも有名な『松陰神社』。
境内は緑が茂った気持ちのいい場所です。
吉田松陰の開いた松下村塾は、日本を主導した多くの人材を輩出しました。そこから、『松陰神社』は学問の神様としても信仰されているのです。
松陰神社をお参りしたところで、駅の方に戻ります。
夏こそ飲みたい甘酒『せたがや縁側カフェ』
商店街を歩いていたら、甘酒のお店があります。「夏に甘酒…?」と、ちょっと不思議に思い店内へ。
小さな店内には、全国の珍しい調味料がずらり。店主の方が、日本全国をまわり厳選したものなのだとか。
店先にあった甘酒は、その場で飲むこともできます。『せたがや縁側カフェ』で扱う玄米甘酒は、砂糖不使用でとってもヘルシー。ビタミンやアミノ酸など栄養豊富なドリンクなので、江戸時代には夏バテ防止としても飲まれていたそうです。
今回は凍らせたコーヒーに冷たい甘酒を注いだラテをいただきました。思った以上に飲み心地がすっきりしています。ミルクや紅茶で割っても合うそう。いろいろな楽しみ方ができそうです。
再び踏切を渡り、ブラブラとお散歩。
懐かしの駄菓子に心踊る『駄菓子屋ロンゴロンゴ』
歩いていたら、懐かしい雰囲気の駄菓子屋さんを見つけました。
子どもの頃の懐かしい思い出がよみがえり、テンション上がること間違いなしです。
陽気なお母さんとのおしゃべりも弾みます。
- ■ お店情報
- ロンゴロンゴ
- 住所:東京都世田谷区世田谷4-2-10(地図)
- 電話:03-3420-0660
- 営業時間:9:00〜19:00
- 定休日:無休
- ※問い合わせ先は『写真のロンゴロンゴ』となります。
おいしいお料理とワインを楽しめるビストロ『LA GODAILLE』
夕方になり、少し陽が傾いてきたところで、ちょっと早いけれどディナーにすることに。
『nostos books』の横の路地を進みます。
路地の先にある『LA GODAILLE(ラ ゴダーユ)』が本日のディナー場所。
外の暑さを忘れられるような、静かな空間。欧風料理や自然派ワインを提供してくれるビストロです。
自然農法や減農・無農薬野菜を使用したおすすめの1皿「野菜そうざい盛り合わせ」をいただきました。ファラフェルやひよこ豆のペースト、お野菜のマリネ、クスクスのサラダなど、どれを食べても感動の味わい。
季節によってお料理やワインのラインナップが変わるそうです。地ビールもあるそうですよ。
- ■ お店情報
- LA GODAILLE(ラ ゴダーユ)
- 住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12(地図)
- 電話:03-3439-6668
- 営業時間:[ランチ]12:00〜14:00 ※売り切れ次第終了。定休日明けのランチはお休み。
- [ディナー]18:00〜24:00
- [ティータイム ※土日祝のみ]14:00〜17:00
- 定休日:月曜日
懐かしさと新しさが共存する松陰神社の魅力
「小さな商店街だし、都心から少し距離もあるけれど、何でも揃うのが松陰神社前のいいところ」とは、松陰神社通り商店街の理事を務める鈴木一史さんの言葉。
昔ながらのお店が並ぶ商店街に新しい風が吹き始めたのは、今から5年前『STUDY』のオープンがはじまりだそう。その後新しいお店が続々とできましたが、古くからあるお店も新しいお店もみな、「自分の住む街をよくしたい」その思いは一緒。結果的にいいコラボレーションが生まれ、今の懐かしさとおしゃれさが共存した活気ある商店街となったようです。
また、都心から電車と路面電車を乗り継ぐ、少し不便なところも松陰神社前の魅力のひとつ。のんびりと路面電車に揺られる時間もとても重要です。ちょっとした小旅行気分を楽しめるはずですよ。
懐かしくもおしゃれでもある小さな街、松陰神社前。ぜひ、秋のお散歩プランにいかがでしょうか。
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