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    フランスで大ヒット!映画『パリ、嘘つきな恋』デュボスク監督インタビュー

    世界中で大ヒットした『最強のふたり』の制作スタジオ・ゴーモンの最新作『パリ、嘘つきな恋』は“嘘つき男”と“車椅子の美女”のふたりによる、笑えて感動する大人のラブストーリー。ゲーム感覚で恋愛を楽しむモテ男・ジョスランが、偶然見かけた美女・ジュリーの気を引くため「自分は車椅子生活だ」と嘘をつくところから物語がはじまるこの映画。ジョスランはジュリーの姉で車椅子のヴァイオリニストのフロランスと本気の恋に落ちてしまいますが、最初についた嘘をどうするのか?そしてふたりの恋の行方は…?

    映画は本国フランスでは第1位を獲得、さらに5週連続でトップ10入りを果たすなど、異例の大ヒットを記録しました。監督・脚本・主演を務めたのはフランスの大人気コメディアン・フランク・デュボスクさん。映画の魅力や、監督にとっての“アムール”についてお話を伺ってきました。

     

    お母さんがきっかけで生まれたアイデア

    ―映画大変楽しく拝見させていただきました。映画の主人公、“嘘つき男”と“車椅子の美女”という、ふたりの恋の設定はどういうところからインスピレーションを受けたのでしょうか?

    デュボスクさん(以下、敬称略):ありがとうございます。これは私の初めての長編映画なのですが、違いのある人たちのラブストーリーを描きたいと思っていたんですね。その違いというは、カルチャーの違いかもしれないし、社会的な違いかもしれないし、もしかしたら、肌の色の違いかもしれない。最初からその違いを明確には決めていたわけではありませんでした。そんな中、私の母が車椅子を使うようになり、そのときに母にとって辛いのは肉体的なハンディキャップよりも“他人の目”だということを知ったんです。そのことに気がついたときに、「このハンディキャップの違いを映画に使おう」と決めました。

    ヒロインは車椅子、それとは真逆の男を主人公にしたいと思い、そこで嘘つきで自分に自信がある、自分が車椅子生活になったらその違いを受け入れられないような人を想像したんです。

    ―今、お話にあったように、今回が監督と脚本、初挑戦ということですが、苦労したポイントや悩んだ部分はどこですか?

    デュボスク:実は、マルチタスクには難しい点といい点と両方あるんです。まず難しい点について説明しますと、やっぱり演技をしている時でも監督の目で見ちゃうんです。例えば相手役とのふたりのシーンで、自分はジョスランでいなくてはいけないのに、どうしても監督の目で「次はどうしようかな?」と考えちゃう。それが難しさその1です。

    難しさその2は、自分を見るのが辛いこと(笑)。ほかの俳優さんたちのことを監督の目で見ることは平気だけど、自分自身を監督の目で「この出来はどうかな?」と確認する作業は辛かったですね。

    よかった点は、私が脚本も書き、主演も演じて、監督もしているので、とにかく作品の理解が100%できていること。だから頭の中であらかじめどう演じればいいかわかっているので楽ですよね。あと、俳優さんたちもすでに共演したことのある人に出演してもらったのでやりやすく、撮影も早く進みました。

     

    子供の頃から大切にしている“アムール”

    ―この映画は嘘から始まる恋のお話ですが、監督ご自身は嘘がきっかけで何かが動き出した思い出や経験はありますか?

    デュボスク:私自身、嘘から始まる恋は経験したことがないです(笑)。私の友達には、いつも嘘をついている人がいます。彼は自分の年齢について必ず嘘を言うんですね。だから、必ず誕生日がくると問題になる…。そういう友達がいます。

    ―そういうお友達のエピソードも、今回のお話にも反映されていたりするのでしょうか?

    デュボスク:映画で描かれているエピソードはすべて架空です。でも、お医者さんの内診検査だけは、実際ああいう風に行われているということは知っています(笑)。

    ―映画の中のふたりの会話は、とてもユーモアが溢れていました。コメディにも多く出演されている監督にとって“ユーモア”とはなんでしょうか?

    デュボスク:ユーモアは私にとって今はもう“仕事”になってしまいました。小さい子どもがふたりいるパパでもあるので、今はユーモアを使ってできるだけ子どもたちを笑わせたい。けどなかなか笑わない、そういう難しさがありますね。

    でも、今はユーモアが“仕事”になっているので、家に帰ってくると真面目になってしまいます。特に今はコメディの舞台のツアー中なので、舞台でユーモアを背負っているような…。本当にユーモアの量が尽きた、使い果たした感じになっています。だからか、おうちでは普通のパパです(笑)。

    ―今回の映画は恋の映画です。フランスの方はいくつになっても、どんな環境でも“アムール”を大切にしていると感じているのですが、監督にとって“アムール”とは何かということも伺ってよいでしょうか?

    デュボスク:私にとって“アムール”というのはやはり妻と子ども。妻に向けるものと、子どもに向ける“アムール”の意味は違いますが、でもやはり今の私にとって“愛”というのは妻とふたりの子どもたちですね。

    よく「フランス人はロマンティック」と言われますが、結婚してしまうとどうしても忘れてしまうところもあるので、そういった部分は再発見していく必要があると思います。ちなみに妻はフランス人ではなくて、レバノン人ですが、フランス人の私と同じくらいロマンティックだと思います。

    ―素敵ですね!

    デュボスク:私は子どもの頃から“アムール”という概念が好きでしたし、みんなに必要なものだと思うんですね。“アムール”はすべての原動力になるものだと思います。

    ―この映画はフランスで大ヒットしたと聞いています。たくさんの人に見てもらった感想を教えてください。

    デュボスク:私は脚本の執筆と監督をしたので、もちろん「成功したらいいな」と思っていましたが、こんなにヒットするとは思いませんでしたし、とても驚きました。ハンディキャップがテーマなので、その部分が「ブレーキになっちゃうかも」と思ったんですけど、みんなお客さんが笑ってくれたし、すごく作品のエモーションを感じてくれました。

    笑いと感動というのは成功の秘密かな、と思います。初監督作品でこれだけ成功してしまうと、2本目が難しいですね。みんなの期待もあるし、自分も要求が高くなるから。

    ―日本人も好きなラブストーリーでコメディだと思います。日本でこれから見る人たちへ一言お願いします。

    デュボスク:もしパリが好きで、ロマンティックなものが好きで、笑いが好きだったら、この映画はきっと喜んでいただけると思います。ぜひ見てください! メルシー♪

     

    かっこよくてチャーミングなデュボスクさん、素敵なお話ありがとうございました!

    映画『パリ、嘘つきな恋』は、笑って泣ける大人の恋愛。ぜひ、劇場でお楽しみください。

     

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    • ■映画情報
    • 映画『パリ、嘘つきな恋
    • あらすじ:ジョスラン(フランク・デュボスク)は、パリの大手シューズ代理店で働くビジネスマン。イケメンでお金持ちの彼は女性にモテるが、恋愛に求めるのは一時的な楽しさだけ、という軽薄な男。ある日、ひょんなことからジョスランが車椅子に座っていると、偶然美しい女性ジュリー(キャロライン・アングラード)と遭遇。 彼女の気を引くために「自分は車椅子生活だ」と、とっさに嘘をついてしまう。すっかり信じたジュリーが彼に紹介したのが、姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)。2人はデートを重ね距離を縮めていくが、ジョスランはまだ本当のことを言えずに、車椅子に乗ったままだった。そんな時、ついに妹ジュリーに車椅子の嘘がばれてしまう!ジョスランは嘘を切り抜けるために奇想天外な計画を立てる。しかし一方、実はフロランスにも彼に隠し事があるようで…? 果たして、トンデモナイ嘘から始まった恋の行方は!?
    • 監督・脚本:フランク・デュボスク
    • 出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー(「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-」)
    • 製作国:フランス 制作年:2018年/英題:Rolling to You 原題:Tout le Monde Debout/ 上映時間:108分
    • 配給:松竹株式会社
    • 2019年5月24日(金)新宿ピカデリーほか全国公開!
    • © 2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public
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