フランスへ行ったらパンやスイーツ、ワインにチーズ…など、食べたいものはたくさんありますよね。その中でぜひ、食べていただきたいのが「タルタルステーキ」。日本で「タルタル」と聞くとタルタルソースなどマヨネーズを使ったソースをイメージしがちですが、この「タルタルステーキ」は、馬や牛を柔らかくなるまでたたいて生のまま食べるお料理です。ユッケのようなものというとイメージしやすいでしょうか。フランスの伝統料理のひとつで、フランスのビストロなどでは定番のメニューとなっています。
そんなフランスグルメの「タルタルステーキ」を、日本でも食べられるお店があるのだとか。今回は「タルタルステーキ」を求めて西麻布の『le Severo(ル・セヴェロ)』へ行ってきました。
パリジャンが愛する熟成肉ビストロ
「パリでもっともおいしいステーキ店」として30年以上もパリジャン、パリジェンヌに愛される14区の名店『le Severo PARIS(ル・セヴェロ・パリ)』。創業者であるウィリアム氏のもと、熟成に適した牛を見定め、それぞれに適した熟成状態を見極める技術力で、パリ随一の熟成肉ビストロとして、モンパルナス付近に住む詩人や作家、近所に住む人たち、国内外の旅行者はもちろん多くの星付きシェフたちが日常的に訪れる名店です。
その『le Severo PARIS』の日本初出店店舗が『ル・セヴェロ』です。『ル・セヴェロ』では、パリの店舗で経験を積んだ齊田シェフ(写真左)のもと、『le Severo PARIS』が長年かけて培った熟成技術を受け継ぎ、本場の味を楽しむことができます。
肉を一番おいしく味わうための方法が熟成
「熟成肉は健康に自然に育てられている牛だからこそ赤身に旨みが宿る」というウィリアム氏のポリシーのもと、『ル・セヴェロ』では牛を厳選し、それぞれ最適な状態に熟成させたお肉を楽しむことができます。
日本では近年、“熟成肉ブーム”なんて言われていますが、肉を熟成させるというのは古くから行われていたことなのだそう。
「屠殺(とさつ)してすぐの動物の肉は、血がフレッシュでみずみずしいので、ねっとりした旨味成分が少ないんです。時間をかけて枯らすことで、肉の旨味が増えていきます。
ヨーロッパでは昔、料理番の他に冷蔵庫番という人がいて、肉の状態を見て『今が食べごろ』というのを見極める人がいたんですよ。日本でも昔から熟成はされていましたが、ヨーロッパのほうが歴史は古いかもしれないですね。
とはいえ、熟成は特別なことではなく、あくまでも肉を一番おいしく食べるための方法だったということなんです」と齊田さんは言います。
アットホームな空間で楽しむお料理
広尾駅、六本木駅の中間に位置した場所にあるお店は、大きな窓から光が入り、都心とは思えないアットホームな空間。
夜はカーテンをしめて、少しムーディーな雰囲気にも。
1階には個室も完備。シェフたちの動きが見える贅沢なプライベートルームです。
シェフをはじめスタッフの皆さんもとってもアットホームで、お肉について、お料理について、ワインについて和やかに教えてくださいます。
パリのタルタルステーキと同じレシピをいただく
メニューには、フランス産バザス牛と国産牛の熟成肉を食べ比べできるコースや生産者から直接届く旬の野菜を使った前菜など、おいしそうなメニューが並びます。
斎田シェフに「一番のおすすめはなんですか?」と聞いてみたところ、
「全部ですね。でもどれかひとつを…ということであれば、やっぱり『タルタルステーキ』でしょうか。パリのお店と同じレシピで作っています。シンプルな肉の味を楽しんでください」との返答が。
ちなみに『le Severo PARIS』の「タルタルステーキ」は、仏雑誌が選ぶ「パリ最高のタルタルステーキ」の第2位(2014年)にも選ばれたことのあるメニュー。パリジャンも愛する本場の「タルタルステーキ」が東京で食べられるなんて感激ですね。
『le Severo PARIS』でウィリアム氏が20年以上前から作り続けてきたレシピと同じという「タルタルステーキ」は、注文が入ってから熟成赤身肉を店内でミンチし、オリーブオイル、ケイパー、エシャロット、ケチャップ、マスタード、塩、コショウで味付け。
丁寧にミンチされているのでとっても柔らかく、またクセがまったくありません。スパイスで引き出されたお肉の旨みで思わずフォークが進んでしまいます。ケッパーがいいアクセントに◎。シンプルながらも肉本来の味を堪能できるメニューです。ワインとも相性抜群。
なんでも、フランスではスタミナをつけたいときに食べるエナジーメニューなのだとか。生肉なのでさっぱりしており、150gも気づいたら完食。タルタルは前菜としても、メインとしてもOKとのこと。気分やシーンに合わせて選べるのもうれしいですね。
日仏の熟成肉を食べ比べ!
「タルタルステーキ」で食欲スイッチが入ったら、ぜひ、熟成肉のステーキを。国産牛とフランス産バザス牛やパリ近郊ランジスにある肉屋のメツゲェ氏が厳選した牛の熟成肉の違いを楽しめる贅沢なコースもご用意しています。
お肉は仕入れによって変わっていくとのこと。「今日はどんなお肉に出会えるかな?」というのも楽しみになりますね。
自然放牧、牧草飼育牛(グラスフェッド)ならではの味、日仏それぞれの味の違いを体験してみては?
付け合せのフライドポテトも熟成
実は付け合せのフライドポテトも熟成なのだとか。
「特別に北海道から取り寄せているじゃがいもを1年8ヶ月雪室の中で熟成させているんです。フリットのフリッというのは『カリッ』という意味なので、カリッと感を出せるように、期間を調整しながら熟成させています」。
カリッと揚げられたポテトは、フライドポテトのポテトの概念が変わるようなおいしさ!とてもあまく、しっとりしていて新感覚の食感!香りも芳醇です。
絶品タルタルステーキやこだわりの熟成肉を味わえるはもちろんですが、アットホームな雰囲気も『ル・セヴェロ』の魅力。
「着飾って特別なときに来てもらうのはもいいですが、肩肘張らずに普段使いして欲しいですね。『今日はおいしいものが食べたいな』『ちょっと1杯飲んで帰ろうかな』というときに気軽に来てもらえるとうれしいです。『ちょっと元気がないかも』というときにタルタルステーキを食べに来てもらうのも大歓迎です!」と齊田さん。
特別なディナーだけでなく、いろいろなシーンで訪れたくなるお店『ル・セヴェロ』。フランスのビストロのように、会話と食事とお酒を楽しむ至福のひとときを過ごしてみてはいかがですか?
ちなみに2月18日〜25日は、『le Severo PARIS』の創業者ウィリアム氏が来日予定!お店でウィリアム氏に接客してもらえる貴重なチャンスを、ぜひお見逃しなく!
- ■お店情報
- le Severo(ル・セヴェロ)
- 住所:東京都港区西麻布4-2-15 水野ビル1・2階(地図)
- TEL:03-6452-6462
- 営業時間:12:00〜15:00(L.O.14:00)/18:00〜23:30(L.O.22:00)
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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