吉祥寺駅から井の頭通り沿いに数分歩いた場所に、アメリカンスタイルのサンドイッチを味わえるお店があります。その名も『The Daps Famous Hood Joint(ザ・ダップス・フェイマス・フッド・ジョイント)』。
このお店は、ニューヨークの有名デリで経験を積んだ宮本佳和さんが経営するサンドイッチ店。宮本さんが現地で味わった「アメリカのおいしいもの」を集約したラインナップで2021年7月にオープンしました。以来、クチコミで人気を集め、日本人だけでなく米軍基地から足繁く通うファンも多いそう。ビールやソーダと一緒に豪快に頬張りたい、ボリューミーで濃厚なアメリカンサンドイッチをご紹介します!
アメリカの有名デリの味を正しく再現した「Authentic Chopped Cheese Sandwich」
お気に入りの場所に腰を下ろしてサンドイッチを召し上がれ!
英語のラジオが流れる店内の大半を占めるのがレンガ造りの階段。レジ前の棚にはスプライトやドクターペッパーなどのソーダドリンクに並んで食器用洗剤なども陳列されていて、日本によくある飲食店とは「なにか違うな」という雰囲気。
日用品から食品まで幅広く扱うのが「デリ」のスタイル
提供しているサンドイッチは全部で6種類。なかでも人気なのがグリルドビーフとチェダーチーズがたっぷりサンドされた「Authentic Chopped Cheese Sandwich(オーセンティック・チョップド・チーズ・サンドイッチ)」です。
「このサンドイッチは、僕がアメリカ滞在時に働いていた店で提供していたレシピを再現したもの。“アメリカ”というと皆さんハンバーガーをイメージしますよね。でも、アメリカ横断の旅をしていた時、あんまりハンバーガーを食べた記憶がないんですよ。日本で店を出すにあたって『アメリカンフードってなんだろう?』と考えたとき、『サンドイッチ』という答えに辿り着いたんです。そこでアメリカで味わったサンドイッチを中心にメニューを展開することにしました」(宮本さん)
約4年アメリカで経験を積んだ宮本さん。英語での接客もウェルカムです!
宮本さんが働いていたのは、ニューヨークのハーレム地区で有名な『hajji’s(ハジーズ)』というデリ。その店が発祥とも言われているチョップド・チーズ・サンドイッチを、味や食感の「統一感」を大切にしながら再現しています。
こちらはフィラデルフィアチーズステーキ用のビーフ
鉄板の上で焼いたビーフを細かく刻み、トーストしたパンにチーズ、トマト、タマネギとともにサンド。仕上げにアメリカから取り寄せているというスパイスを調合したソースをかけて完成!
したたる肉汁とスパイシーな香りに食欲を刺激されます。大きな口で頬張れば、細かく刻まれたビーフのうまみが口いっぱいに!トーストされたパンも外側はサクッと歯応えがあり、中はふんわりと具材を包んでいます。
見た目は濃厚で豪快なサンドイッチですが、アメリカンフードの味を追求した、調理法やスパイスのバランスなど、こだわりが細部まで感じられる一品です。
ヒップホップ発祥の地で生まれたサンドイッチも人気!イタリアン要素を含んだ「Kichijoji Fat Boy Sandwich」
もうひとつのシグネチャー「Kichijoji Fat Boy Sandwic(吉祥寺・ファットボーイ・サンドイッチ)」は、ヒップホップ発祥の地と言われるブロンクス地区の名物サンドイッチ「ヤンキー・スタジアム・ファットボーイ」からインスピレーションを得たもの。
具材はプロシュート、モルタデッラ(ボロニアソーセージ)、サラミ、モッツァレラチーズにレタスとトマト。さまざまな食感と味が楽しめ、ハムの塩気、レタスとトマト、モッツァレラがバランスよく調和されています。
取材で訪れたのは15時頃でしたが、オーダーを待つ客足が途絶えません。ニューヨーク出身の人が「日本でこの味を食べられるとは思わなかった」と感激することも多いそうです。
「吉祥寺に店を構えたのも、渋谷や米軍基地からのアクセスを考えてのこと。アメリカの人には『懐かしい味』を、日本の人には『アメリカのサンドイッチの味』を提供していきたいです」。(宮本さん)
「アメリカンフードを日本にも」…その思いの先に見えてきたもの
ニューヨークのデリ『hajji’s』で働いていた頃の宮本さん
もともと日本でDJとして活動していた宮本さんは、当時知り合ったメンバーとこの店を立ち上げました。店内のデザインを手がけたのはニューヨークで知り合った日本人建築家。タイムズスクエアの赤い階段とハーレムエリアのブラウンストーンビルディングをイメージしてデザインしてもらったそうです。さらに店の奥にはBarber(理容店)があり、店内を通過して出入りする外国人のお客さんの姿も。
バーバーショップ「Chill chair」。レンガ階段の奥に入り口があるユニークな設計
「遊び仲間の先輩がバーバーショップを経営していて、『帰国して飲食店を出す』という話をしたところ、『おもしろそうだから、一緒にやってみよう』ということになったんです」。(宮本さん)
このお店が自由な雰囲気に満たされているのは、さまざまな文化がミックスするアメリカンカルチャーが、宮本さんの中にも染み込んでいるからかもしれません。
ラジオからはラテンの曲が。「アメリカってヒップホップよりも実はラテンアメリカの曲がよく流れる」と宮本さん
今でも音楽イベントを企画したり、クラブやコンサートイベントのケータリングを請け負ったりすることもあるそう。忙しい毎日を送る宮本さんですが、海外への出店も視野に入れています。
「海外にも店を出して、アメリカで働きたい日本人と、日本で働きたいアメリカ人を行き来させて、お互いのカルチャーをシェアできたらいいですね。そのほうが日本の経済も豊かになると思うんです」。(宮本さん)
不定期でイベントを開催していて、時には驚くような大物がプレイすることも!
現在は、「アメリカに出店した時のメニューを考えている」とのこと。日本では「アメリカの味の再現」に注力している宮本さんは、「アメリカ出店時に語れるような『日本らしさ』を味わえるサンドイッチを作りたい」と締めくくりました。
過去を生かして今を楽しみ、さらに先の未来を自由に広く見据える宮本さん。『The Daps Famous Hood Joint』のファンは、国内外でますます増えていくに違いありません。
- ■お店情報
- The Daps Famous Hood Joint
- 住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-20-3
- 営業時間:11:30〜20:00(イベント開催時は23:00まで)
- Instagram:@thedaps125
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