2021年9月、横浜の瀬谷駅改札脇にオープンした『時をとめるベーカリー』は、神奈川や、東京、海外など、約50店舗のベーカリーのパンを取り扱うフローズンブレッド専門店。食パンやバゲットなどの食事パンを家庭の冷凍庫で保存する人も増えてきましたが、こちらのお店では、具材がたっぷり入った惣菜パンやクリームパンなどのスイーツ系パンも、最新技術で風味を損なわずに冷凍してしまうというから驚きです。
忙しい朝や手軽に済ませたいランチタイムにあるとうれしい冷凍パンのお店を取材しました。
人気ベーカリーのおいしさを閉じ込めた冷凍パン
店内に陳列された冷凍庫の中には、ピザやベーグル、クロワッサン、惣菜パンなど、たくさんの冷凍パンが並んでいます。その数なんと500種類!『ベッカライ徳多郎』や『ボンヴィボン』、『ブルディガラ』など、神奈川や東京の人気ベーカリーから、スペイン、ドイツ、リトアニアなどの海外メーカーのパンなど、常時約50店舗のベーカリーの冷凍パンを手に取ることができます。
品質を損なわずに冷凍加工するために、液体急速凍結機を使用。専用の袋にパンを入れて空気を抜き、マイナス30度の液体に入れて約20分。生地はもちろん中のクリームや具材などもあっという間にカチカチに冷凍されるのだそう。
こちらのお店で取り扱っている冷凍パンの賞味期限は製造日から90日間。常温保存だと賞味期限の短いパンですが、冷凍パンなら個数を気にせず購入できる上、密閉袋に入っているため、冷凍庫内のにおい移りの心配もなし。
食パンやバゲット、カンパーニュなどの食事パンは、「冷凍保存してリベイク」が一般的になってきましたが、こちらのお店では惣菜パンやスイーツ系パンも、風味を損なわず冷凍されて販売しています。自宅のレンジでおいしく解凍できるとあって、オープン直後から、仕事帰りの人や年配のお客さんが、まとめ買いしていくそうです。
自宅のレンジで簡単に解凍!出来立ての味がいつでも楽しめる
人気の3種類のパンを実際に解凍して食べてみました。解凍時するときは、500Wのレンジで40~50秒程度温めます。レンジの設定や、パンの大きさによっても、温める秒数に差があるので「もう少しかな?」と思ったら「追いチン」するといいそうです。
食感や風味も冷凍パンとは思えないクオリティー!マロンデニッシュの栗も、食感を損なわずおいしくいただけました。
ナッツがぎっしり乗ったフロランティーヌも、ナッツのザクザク感はそのままに、温まったキャラメルがとろけます。
置いてあるパンは、仕入れ状況によって異なるため、その時にどんなパンに出合えるかはお楽しみ!
パン屋業界のフードロスと労働環境改善の一手として
『時をとめるベーカリー』は、パン屋業界のフードロスと労働環境の改善を目的として立ち上がりました。
こちらのお店を手がけるハットコネクト代表の中島慶さんは、「もっとたくさんの人に、冷凍パンのおいしさを知ってほしい」と話します。
「仕込みから焼き上げまで、数日がかりで作られるパンの賞味期限は1〜2日程度。天候などによっては大量にロスが出るのも珍しくありません。かといって、1個数百円のパンを、閉店間際に値下げして売り切ろうとしてしまうと、利益を出すことができず、結果的に労働賃金の低下、労働環境の悪化につながってしまいます」。
また、夜中から仕込み作業が始まるパン屋の仕事は、労働時間が長く、定休日であっても仕込み作業は必須。中島さんは、「消費者が冷凍パンという選択肢を持ち、パン屋も冷凍パンを導入することで、『開店時間までに全商品を並べなくては』というプレッシャーから解放されるはず。冷凍パンが少しでもパン屋の労働環境を改善できれば」と冷凍パンの市場拡大に期待を寄せています。
瀬谷駅の1日の平均利用者数は約4万人。この駅に店を構えた理由は、駅からの帰宅平均時間を考慮してとのこと。横浜や東京などの主要駅だと乗り換えなどで帰宅するまでに1時間を超えてしまう人も多く、保冷剤が入っていても家に帰る頃には解凍されてしまう可能性が。しかし駅利用者にとっての「自宅の最寄り駅」であれば、冷凍パンが解凍されることなく、持ち帰ることができます。
風味やおいしさを損なわず、長期保存が可能。しかもフードロスなどの課題解消につながる『時をとめるベーカリー』の冷凍パン。さまざまなお店の味を自宅の冷凍庫にストックして、食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょうか。
- ■お店情報
- 時をとめるベーカリー瀬谷店
- 住所:相鉄線「瀬谷駅」改札外(横浜市瀬谷区瀬谷4-1−1)
- 営業時間:10:00〜21:00
- 定休日:なし
- https://www.tokitoma-bakery.jp/
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