わざわざ買いに行く話題のパン屋さんも楽しいですが、デイリーに通えるおいしいパン屋さんが近所にあったらうれしいですよね。国分寺にある『パン屋志茂』はまさにそんなパン屋さん。
JR中央線の国分寺駅、西国分寺の両駅から徒歩10分以上にも関わらず昼過ぎには完売してしまうという人気のパン屋さんです。いったいどんなパンに出会えるのでしょうか?
2軒のパン屋さんで学んだ技術と思想
お店を切り盛りする志茂さんご夫婦
『パン屋志茂』は2019年3月に、パン職人のご主人と奥様の二人三脚で始めたお店。ご主人はレストラン、ケーキ屋さんを経てパン職人になりました。
「パン作りのプロセスが、自分に合っていたんです。パン屋での修行は2軒。1軒目ではパン作りの基礎を、2軒目では自由な発想や表現方法を学びました」(志茂さん)
独立を考えるようになってから、ご自宅がある国分寺エリアで店舗物件を探した志茂さん。
「パン屋ってとにかく時間がかかる仕事なんですよ。それを考えると家とお店が近い方が絶対にいい。そしたらたまたまこの物件に巡り合ったんです」(志茂さん)
お店に到着したのはオープン30分前。それにも関わらず、すでに多くのお客さんで列ができています!そのことを奥さんに伝えると「本当にありがたいですよね。近くに大きなマンションもあるので、ご近所の方がよく買いに来てくれるんです」とはにかんでいました。
お店の周りは閑静な住宅街で、お店もコンビニが1軒ある程度。だからこそ「近くにおいしいパン屋さんができてうれしい」と笑顔になるお客さんが少なくないのだとか。
焼き上がったパンが次々と並びます
意外な組み合わせが相乗効果に!試作を重ねて生まれるパンの数々
どんな味なのか想像できないからこそ、全部試したくなっちゃいます♪
『パン屋志茂』で提供されているパンは、毎日25種類ほど。バラエイティ豊かなパンが並んでいます!どれも旬の素材を使い季節を大切にしたものばかり。「八朔りんごのパイ」や「クリームチーズと芋」、「黒豆ラムあんぱん」など他では味わえない組み合わせのパンがたくさんあります。
「こういった素材の組み合わせの発想の仕方は2軒目に修行した店で学びました。食材ありきでレシピを考えています。新しいパンを試作したらまずは奥さんに試食してもらって、味はもちろん、パンの形・デザインについてアドバイスしてくれるんです。職人ではありませんが、彼女の視点をいつも取り入れています」(志茂さん)
りんごのタルティーヌ(中央)と八朔りんごのパイ(右)
生産者から直接果物を仕入れているという“八朔りんごのパイ”はこの季節だけの限定品。口に入れるとザクザクと心地よい音がして、食感も楽しめます。
「この八朔、すごく野生的な香りでおいしいんですよ。りんごとの相性もよいので、その香りと酸味を楽しんでください」(志茂さん)
「森のタルティーヌ」はロデヴの香りに負けないくらいきのこの具材も芳醇な香り
料理人としての経験もある志茂さんが作る惣菜パンは、具材も全て手作り。特に「森のタルティーヌ」は、きのこのソテーからベシャメルソースまでイチから作っています。
「正直言うとタルティーヌは最も手間がかかるパン。でもこれが好きだと来てくれるお客様がいらっしゃるので、作り続けたいですね」(志茂さん)
「ロデヴ」は水分を多く含んだもっちりとした食感
フランスの朝の定番・タルティーヌはバゲットで作ることが多いと思いますが、『パン屋志茂』では南フランスの小さな町・ロデヴが発祥のハード系「ロデヴ」を使っています。
「ロデヴ」は加水量が多く扱うのがとても難しいパンのひとつ。表面は固めで気泡が多く、独特の発酵臭がする無骨なパンです。そのロデヴと素材本来の持ち味を大切にした具材を組み合わせると、贅沢な逸品になるんです。訪れた日は惣菜系の「森のタルティーヌ」、そしてスイーツ系の「りんごのタルティーヌ」がありました。噛むほどに素材の風味を感じるタルティーヌは、それだけで立派なお食事のようでした。
1番人気は「食パン」!パンを通して伝わるこだわり
ぶどう食パン(左)と食パン(右)
タルティーヌの他にも、ワクワクするようなパンが勢ぞろいする『パン屋志茂』。なかでも人気なのが、食事パンの王道「食パン」と「ぶどう食パン」。国産の小麦を使い時間をかけて低温発酵させてから焼き上げた食パンは、独特のもちもち感。
「気泡の大きさと皮の厚みにこだわり、食感を大切にしています。トーストしてもおいしいですが、まずは焼きたてをそのまま食べて欲しいですね」(志茂さん)
食パンは1日に数回焼きあがるので、焼き上がり時間をチェックしてぜひ焼きたてをゲットしてください!
店主の志茂さんにおすすめを聞いてみると…。
「常に新しいパンを開発していますが、最近の自信作は“たまごパン”ですね。たまごをたっぷりつかったブリオッシュです。小さなお子さんにも好まれるパンです」(志茂さん)
次々と新作が生まれるので、「次はどんなパンに出会えるかな?」とワクワクしてしまいますね。
「毎日試作しているので、全然家に帰ってこないんですよ(笑)。それだけおいしいパンを作りたいんですよね」と語る奥様。お互いを尊重するお2人が作り出すパンはどれも絶対においしいはず!と確信しました。
出番を待っているパンたち
パン作りのこだわりを聞いてみたところ「うーん、特別なものじゃないし、オーブンもいたって普通の業務用…」と志茂さん。横から「いつも技術にこだわってると言ってたじゃない!(笑)」と奥様が声をかけてくれました。つまり、スタンダードな材料と機械で、どれだけおいしいパンを作れるのか?その技術をとことん研究しているのです。
「夫婦2人でやっている店なので、どうしてもやりたいことよりできないことの方が多い。それでもおいしいパンをお客様に届けたいので、飽きられずに長く愛されるパン作りを続けていきたいです」(志茂さん)。
愛情深い志茂さんのパンをいただけば、幸せな時間が漂いそうです。
- ■お店情報
- パン屋志茂
- 住所:東京都国分寺市東恋ヶ窪3-19-2-102
- 営業時間:10:30-16:00(売り切れ次第閉店)
- 定休日:営業状況はインスタグラムのストーリーズにてお知らせしています
- https://www.instagram.com/panya_shimo/
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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