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文豪も愛した老舗のカレーパン。下北沢『アンゼリカ』

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文豪も愛した老舗のカレーパン。下北沢『アンゼリカ』

住みたい街ランキングでも度々登場する世田谷区下北沢。多くの人でにぎわう駅前を過ぎ、商店街を進むと現れる山小屋を思わせるレトロな佇まいの『アンゼリカ』。

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水森亜土さんのかわいいイラストや、手書きのポップが少し懐かしい気分にさせてくれます。この店の一番人気は、作家・池波正太郎さんも大好きだったという「カレーパン」。地元の高校生も、海外からの観光客もこぞって買いに訪れます。

 

ルウから仕込む人気のカレーパン

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人気のカレーパンは「ベーシック」、中辛の「スパイシー」、辛口の「旨辛」、きのこがたっぷり詰まった「きのこの里」、オーブンで焼いた「カレーパンドライ」があります。

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朝の4時半から厨房で仕込んでいるというカレーは、数種類のスパイスやお肉、りんごの他に季節によって旬の野菜や果物を入れるのが特徴。夏はフキに似た植物のルバーブを入れることもあるそうです。爽やかな酸味が凝縮されて、食欲のない季節も食べやすいよう工夫されています。

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カレーパンを手に持つとズシッと重いのは、具がたっぷり詰まっているから。それに合わせてパン生地にもボリュームを持たせてあるので、食べ応えも充分。

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スパイシーな具材に合わせ、ほのかな甘みのある生地を使うなど、パン生地にもこだわっています。

断面を見てみるとよく分かるのですが、カラッとした表面とカレーの間に白い生地がちらり。厚みのある生地でカレールウを包みサッと揚げているので、表面はカラッと、パン生地はふっくらとしていて油っこくないのが特徴です。コクのあるカレールウと相まって、パーフェクトなおいしさを楽しむことができます。

 

個性豊かなカレーパン

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1番人気は「カレーパンスタンダード」。カラッと揚げたパンをガブッと行くと、辛さの中にほんのり生地の甘さが広がります。小さな頃、おばあちゃんの家で食べたカレーのような懐かしい味わいにほっこり。

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池波正太郎さんも愛した「中辛」は、「スタンダード」よりもスパイシーな仕上がりに。ただ辛いだけでなく、スパイスと酸味が複雑に絡み合った、奥深い大人の味わいです。

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7〜8年前にできた「旨辛」は、激辛というよりは、チリソースの旨みが効いたアジア風の辛さになっています。食べていると、あとからジワジワと辛さがやってきて、やみつきに。夏におすすめの1品です。

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きのこがたっぷり詰まった『きのこカレー』は、歯ごたえと食感が楽しいカレーパンです。きのこのねっとりしたとろみがカレーにコクを与えてくれ、スパイスが苦手な方でも食べやすい味になっています。カロリー控えめなので女性にもうれしいカレーパンです。

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「ドライカレー」は他のカレーパンと異なり、揚げていないカレーパンです。さっぱり食べたい時にぴったり。中心の福神漬けがアクセントになっています。

取材した水曜日は取り扱いがなかったのですが、この他にお肉を使っていないカレーパンもあるのだそうです。カレーパンと言っても、その特徴はそれぞれ。ひとつひとつこだわりのある味付けが『アンゼリカ』の人気の秘訣です。

 

優しい甘さのみそパンとちくわドーナツも人気

カレーパンと同時期に誕生した「みそパン」も『アンゼリカ』の根強い人気商品のひとつ。

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「パンを日本茶と一緒に楽しみたい」というコンセプトで作られたのがはじまりだそうです。みその香ばしいかおりと素朴な甘さがクセになります。12月と1月にだけ登場する『柚子みそパン』も毎年楽しみにしているお客さんが多い商品なのだとか。

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ここでしか見ることのないちょっと珍しいパンもあります。ちくわをドーナツで包んだ「ちくわドーナツ」。おやつにはもちろん、お酒のおつまみにぴったりのロングセラー商品です。

 

先代のこだわりが詰まったパン

オープンして約50年。当初は喫茶店だったそうです。

SONY DSC元々、喫茶店だったこともあり、ケーキ類の品揃えも充実

先代がこのお店を引き継ぐ時に、「ケーキだけでなく、パンも売りたい」という思いから、パンの修行をし、その後パン屋さんとしてリスタート。そして、今の『アンゼリカ』となりました。

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食べることが大好きな先代が、趣味の食べ歩きの最中に「おいしいカレーパンを作りたい!」と思い立ち、カレーパンを作りはじめたのが36年前の話。
当初から人気だったと言うわけではなく、当時の売り上げはスタンダードなパンと同じくらいでした。それから人気に火がついたのは、10年くらい前にTVで取り上げられてから。その後、バリエーションを増やして今の数になったのだとか。

SONY DSC水森亜土さんによる、先代のイラスト

SONY DSC先代のお母様と店主の林のぶ子さん

変わっていく下北沢という街を見守り、パンを作り続けてきた先代は水森亜土さんのイラストそのままの優しい人柄。「パン職人でなかったら料理人になっていただろう」と言われるほど味覚が繊細で、時代が変わっても愛され続ける名作パンを数多く生み出しました。

その意思を守り続ける、林のぶ子さんが現在の店主。17人のスタッフと一緒に今日も名物カレーパンを揚げ続けています。

スパイシーでどこか懐かしい味わいは、暑い夏を乗り切る元気をくれるはずです。

 

  • ■ お店情報
  • アンゼリカ
  • 住所:東京都世田谷区北沢2丁目19−15(地図
  • 営業時間:8:30~売切れるまで
  • 定休日:火曜日
  • ※記事の内容は取材当時のものです。

 

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