雑司が谷駅と早稲田駅のあいだにあるパン屋さん『神田川ベーカリー』は、2017年2月22日にオープンし、今月3周年を迎えます。それぞれの駅から歩いて10〜15分少々かかる場所にあるにもかかわらず、リピーターが多く人気のお店です。一体どんなパンが人々を惹きつけているのでしょうか?
地域に根ざした、おいしいパン屋さんを作りたい
お話を伺ったのは、店主の嶋田玲子さん。玲子さんは『神田川ベーカリー』をオープンする前、雑司が谷で『あぶくり』というサンドイッチのカフェを営んでいました。そのお店をクローズするタイミングでオープンしたのが『神田川ベーカリー』です。
「私自身、雑司が谷で暮らしていて『近くにおいしいパン屋さんがあったらいいな』と思っていたんです。友人にブーランジェリーがいたり、物件が空いたりと、いろんな偶然も重なって、このお店をオープンしました」と玲子さん。
その後、ご友人のブーランジェリーの方が鳥取からパン作りを教えに来てくれたそう。オープン当時はスタッフの方もみんなパン作り未経験だったというから驚き!オープンするまでのわずか2週間でみっちり研修を受けてパンを焼けるようになったのだそうです。
『神田川ベーカリー』のパンは、主に国産小麦を使い、添加物や保存料を一切使いません。体にいいもの使ってパンを作ることで、小さな子どもからおじいさん、おばあさんまで食べてもらえるパンを目指しているそう。
「地域に根ざしたパン屋さんでありたいというのと、やっぱりうちのパンを食べたときに、体も心も幸せになれるようなパンをお届けしたいなという思いがあります。私が常日頃思っていることがあって、働いている人たちもすごく楽しく働いて、そういう環境のなかで作るパンは絶対おいしいと思うんです!それがお客様にも伝わって、お客様も幸せな気持ちになる…という、いい循環ができればいいなと思って日々運営しています」。
選ぶ楽しさ、人におすすめしたくなるおいしさ
『神田川ベーカリー』は対面式のパン屋さん。「設計上、スペースをあまりとれなくて」と話す玲子さんですが、その結果お客さんとの会話も自然と多くなったり、ペットと散歩途中に立ち寄ってくれたりとうれしいことも。お客さんの声を受けて、登場したパンもあるそう。
「お客さんから、『バゲットないですか?』という声をよく耳にしていて、毎日は難しくても、週末に料理を作ったりするときにバゲットがあったらうれしいかなと思って、土曜日限定で始めました」。
カンパーニュ、フォカッチャ、食パン、ブリオッシュ、バゲット、ベーグルなど、いくつもの種類の生地を使いわけてさまざまなパンを生み出している『神田川ベーカリー』。それは、選ぶ楽しさを届けたいという玲子さんの思いから。
「私は、たくさんの種類があるなかから自分が食べたいものを選ぶのが楽しいと思うんです。もちろん、何か1つの商品に絞って販売しているお店も潔くて素敵です。でも、いろいろな世界観があるなかで、私たちのお店はいろんなパンを置いて、選んで買ってもらうというスタイルで、お客さんに選ぶ楽しみを感じてもらえたらうれしいなと思っています」。
こちらは、お店でも一番人気だという「塩パン」。「山型食パン」の生地で有塩バターを包み込んで焼き上げます。
「オーブンで焼きあげるときに、中のバターがジュワッと溶け出して、焼きあがるとカリカリになるんです。パンの生地は湯種製法で作るので、しっとりもっちり。でも外側はパリっとしています。『いろんな塩パンを食べてきたけれど、神田川ベーカリーの塩パンが好き!』と言ってくださるお客さんも多くて、うれしいです!」。
取材時はちょうど焼き上がりでふわふわ。もっちりとした生地と、底のカリッとした食感がたまりません!
パン購入したお客さんが帰り道に食べて、戻ってきて追加で購入する(!)なんてこともよくあるそう。家族や友人、職場の人にも…と「このおいしさを共有したい!」と“おすすめしたくなるパン”が『神田川ベーカリー』 のパンの魅力なのかもしれません。
いろいろな生活、シーンに寄り添ってくれるパン
いろいろな種類があるなかで、人気のパンをいくつか教えていただきました。こちらはいちおしだという「豆乳フランス」。名前だけ聞くとハードなパンの印象があるかもしれませんが、実はフォカッチャの生地で作るソフトなパン!さらに豆乳クリームを混ぜ込むことで、よりしっとりとした食感に仕上げています。乳製品がダメな方でも安心して食べられるとあって、お客さんからも喜ばれているそう。
「豆乳フランス」は、そのまま食べてももちろんおいしいですし、食事パンとして料理に合わせるのも◎。お肉からお魚、スープなどどんなお料理でも合います。
人気のカンパーニュは、季節によってさまざまな食材と組み合わせてアレンジ。訪れた日は、「ショコラカンパーニュ」や「デーツとクランベリーのカンパーニュ」が並んでいました。玲子さんも、スタッフの方々も面白い組み合わせを考えるのが好きなのだそう。これまでにも「ブルーチーズといちじく」「安納芋の蜜漬けと栗と白ごま」などユニークなカンパーニュが登場しています。
「私含め、スタッフもおもしろい組み合わせを考えるのが好きなんです。『これとこれが合うんだ!』というちょっと意外なものを組み合わせたり、混ぜ込んだりして、1皿のお料理をいつもイメージして作っています」と玲子さんが教えてくれました。
『神田川ベーカリー』には、食事に合うパンもあれば、カレーパンなど1つで朝ごはんにもなってくれるお惣菜パンなど、色んな生活に寄り添ってくれるラインナップが並んでいました。何度も訪れたくなる理由やおすすめしたくなる気持ちがわかったような気がします。人が人を呼ぶパン屋さん、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
- ■お店情報
- 神田川ベーカリー
- 住所:東京都豊島区高田1丁目11−14
- 営業時間:11:00〜18:00
- 定休日:月・火曜日
- http://www.kandagawabakery.com/
- https://www.instagram.com/kandagawa_bakery/
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