シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン “パリマグ”
  • BREAD

    フランスの味と文化を日本でも。こだわりと思いの詰まった『ブーランジェリー・パティスリー・アダチ』

    tags : , ,

    横浜市営地下鉄・センター南駅から徒歩約5分の位置にある『ブーランジェリー・パティスリー・アダチ』。ここは、フランスでパン作りの技術と経験を積んだシェフ、足立恵太さんが立ち上げたお店です。

    「フランスのブーランジェリーの味と文化を日本にも伝えたい」という思いの詰まった店内には、クロワッサンやパン・オ・ショコラ、パン・オ・レザンなどのブーランジェリーの定番品から、さまざまな種類のサンドイッチ、こだわりのバゲットなど100種類以上の商品が並び、訪れる人に「フランス」を感じさせてくれます。

     

    フレンチスタイルの店舗デザインで横浜へ

    学生時代から映画やアートなどでフランス文化に親しんでいた足立さんは、前職であるスタイリストからの転身を決意し、渡仏。パン職人の道を志し、複数のブーランジェリーで研修を重ねたあと、バゲットコンクール優勝という経歴を持つパリの名店『アルノー・デルモンテル』へ。そこで社員として勤務し、知識と経験を培いました。

    帰国後は静岡県伊豆市の自宅を改装し、2015年に『ブーランジェリー・パティスリー・アダチ』をオープン。しばらくは夫婦二人三脚での経営でしたが、お客さんが増えてきたこともあり、心機一転、横浜市に移転することに。従業員も雇い、内観デザインにもこだわった新店として、2018年3月に新たなスタートを切りました。

    お店の外から店内の様子や、陳列されている商品が見えるため、通りがかりの人もつい足を止めてしまいます。

    「フランスのブーランジェリーの多くがそうであるように、入口から出口まで一方通行の流れを作りたかったのと、店の外からでも商品が見えるようなデザインにしたかったんです」と話す足立さん。セルフサービスではなく、スタッフによる対面販売にも「フランス風」とこだわりを見せます。

     

    「フランス文化」を伝えるための100種類以上のラインアップ

    フランスではポピュラーな「ブーランジェリー・パティスリー」は、パンとスイーツを取り扱うお店のこと。日本のように「パン屋」「ケーキ屋」と分離させず、食事に合わせるパンからデザート、ティータイムの焼き菓子まで1つの店舗で購入できるのが特徴です。そのため、必然的に店内にはたくさんの商品が並ぶことになります。

    『ブーランジェリー・パティスリー・アダチ』で1日に仕込む商品数は100以上。クロワッサン、パン・オ・ショコラ、パン・オ・レザンのいわゆる「ブーランジェリーの3兄弟」や、定番のパン・ド・ミやバゲット、さっくり揚げて粉砂糖をまぶしたベニエなど、「ブーランジェリー・パティスリー」で欠かせない商品が、こちらのお店でも満遍なく手に取ることができます。

    生地は全て足立さんが仕込み、そのあとの工程を4人のスタッフで分担します。「フランスのパンは、他の食材と組み合わせて食べるのがおいしい」という足立さん。開店時間には約200本のサンドイッチが並び、ショーケースを賑わせます。オムレツ、ツナ、ビーフ、生ハムなど具材もさまざまで、それぞれの具に合ったパンを作るというから驚きです。

    パリッと焼かれたパンにオリーブがたっぷり練り込まれた「オリーブとローズマリーのパストラミビーフサンド」は、足立さんがフランスで働いていた頃、店頭に並べるパン以外にも、「エピスリー(惣菜店)」に卸すために作っていたパンを再現したもの。ローズマリーの爽やかな風味と、黒胡椒の効いたパストラミビーフがマッチする、食べ応えのあるサンドイッチです。

    「オムレツのサンドイッチ」の卵にはツナを混ぜ込み、ふんわりボリューミーに焼き上げられます。この「ツナ入りオムレツ」のアイデアも、フランス滞在時に味わった記憶から。

    具材の細部にまでこだわった商品は、足立さんが感じた「フランスの味」を再現したものばかり。ひとつひとつの商品にエピソードがあり、手間を惜しまず作られます。

    「言わなければ誰も気づかないほどの、小さなこだわりがあちこちに散りばめられています。手間はかかりますが、どうしても自分の中の『こうしたい』が勝っちゃうんですよね」と笑顔を見せる足立さん。

    イチジクやクルミ、レーズンなどをぎっしり練りこみ長時間かけて焼き上げる「パン・オ・フリュイ」も定番商品の1つ。どっしりと重たいこちらのパンは、薄くスライスしていただきます。

    「『パン・オ・フリュイ』やイチジクが入った『パン・オ・フィグ』は、フランスではフォアグラと合わせて食べることが多く、ライ麦とレモンのパン『セーグルシトロン』なら、牡蠣と一緒に合わせるとおいしい。日本でご飯と納豆を食べるみたいに、フランス素材とパンの組み合わせも楽しんでほしいです」と足立さんが教えてくれました。

    こちらのお店で販売されるバゲットは、パリの製粉会社・VIRON社の小麦粉とレシピを使用して焼き上げられます。美しい焼き色に豊かな香りの人気商品ですが、「まだまだ理想の食感と風味に仕上がらない」と足立さんは話します。

    生地作りのミキシング時間を5秒単位で調整しながら変化を見るなど、「理想」を追い求め続けるその姿勢からは、熱い職人魂を感じずにはいられません。

    移転オープンしてから約1年半。取材中も客足が途絶えず、人気店として街に定着している様子が伺えました。2020年には、静岡県に2店舗目をオープン予定。

    「ここ横浜店では『フランスの文化や味を楽しめる』をコンセプトに店づくりをしてきましたが、2店舗目では私の感じる『おいしいパン』を厳選した品揃えでいきたいです」と話してくれました。足立さんの飽くなき探究心とこだわりから生まれる、新しいお店と商品にも期待が高まります。

     

    ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

     

    ■一緒に読みたい記事

    優しい酸味ともっちり食感がおいしい北欧風パン!谷中『VANER』のサワードウブレッド

    酒屋さん×パン屋さん!東武練馬『まさもと』で楽しむパンとワイン

    上大岡『ブーランジュリー オンニ』で見つけた、カレーパンと夏を味わうパン

    PARIS mag OFFICIAL Instagram
    キャラWalker