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    クロワッサンの専門店!自由で新しい楽しみを教えてくれる『plat』

    クロワッサンといえば、パリの朝食でも定番なスタンダードなパンの1つ。そんなクロワッサンの専門店が三軒茶屋にオープンしました。東京では初のクロワッサン専門店なのだとか。自由な発想でさまざまなクロワッサンを創り出しているとのこと。さっそくお店へ行ってきました。

     

    クロワッサンの専門店『plat』

    三軒茶屋駅から歩くこと7分。小さな商店街を進むと見えてくるのが今回の目的地。2019年4月にオープンしたクロワッサン専門店『plat(プラット)』です。お話を伺ったのは、代表であり建築家の上林さん、そしてクロワッサンショップを担当する須藤さん。クロワッサンのお店でありギャラリー、そしてアトリエでもあるという『plat』。どんなきっかけから誕生したお店なのでしょう?

    「建築をしていると、その建物やお店が完成したあとは関与しないことがほとんど。でも実際にお店として使われ始めたときに、『どんなお客さんの反応があるのか』『どんな空間になっていくのか』を、自分の目で確かめてみたかったんです。そこで、アトリエの前にお店を作ることで、ずっと関わってくことができるんじゃないかと考えました。もともと食にも興味があったので、お店をやるなら食にまつわるものを、そしてアート性の高いものをやりたいというところで、共感できる仲間と一緒に始めたのが『plat』です」と上林さん。

    また、地域に開かれた場所にしたいという想いから、住宅街の中に路面店という形でオープン。『plat』がある1本隣の通りは、千歳台から三宿まで続く烏山川緑道。その賑わいと、この裏通りとの関係性がおもしろいと、この場所に即決したそう。同じ通りで、昔から続く商店の人々には驚かれるとともに、とても喜んでもらえたと言います。

    クロワッサンを手がけるのは須藤さん。この場所でパンを作るなら力を集中させて作りたいと1つの商品にフォーカスした専門店にすることに。そこで、パン作りの中でも技術が最も出やすいバゲットかクロワッサンに絞り、最終的には「地域の人に愛されるパンは何だろう?」と考え、老若男女みんなが好きなクロワッサンに決めたそうです。

     

    “おいしい時間”のクロワッサンを堪能

    店内に入ると、ガラス張りのキッチンが。実際にクロワッサンを作っている様子も見ることができます。

    「作品を作っている感覚なので、建築もクロワッサンも境目はないと思っています」と上林さん。たしかに、クロワッサンを作る様子を見ているとそれはまるでアート作品のよう。

    わずかおよそ3.5坪の空間で、生地作り・成形・焼成まですべてを行なっています

    「クロワッサンは、素材の味を感じていただけるように意識しています。粉の風味が出るように、石臼引きの粉を使っていて、基本的に甘味もハチミツときび砂糖しか使っていません。コクがあって、体にやさしい材料を選んでいます。バターはいろいろ試してみて、スタッフみんなの意見も取り入れて北海道のバターに決めました」と須藤さん。

    クロワッサンの焼きあがりの目安は、オープンの11時と、14時、16時頃の3回。『plat』では、焼きたてではなく、少し水分が飛んでサクッとする30分後から3時間後までを、クロワッサンの “おいしい時間“として定義しているそう。『plat』では、いつ訪れてもおいしいクロワッサンが味わえます。

     

    自由でユニークなクロワッサン

    まるで作品のように並ぶクロワッサン

    クロワッサンの種類は時季によって変わり、定番の「クラシック」と合わせて常時5〜6種類ほどのクロワッサンが並んでいます。

    須藤さんいわく、自分が食べたいなと思うものやこの食材を使ってみたいなというもの、そして季節の食材を取り入れたものなど、都度メニューは変わっていくそうなので、それも楽しみの1つですね。

    左から、夏限定の「レモン」、9月に始まった「チャイアーモンド」、子どもに人気の「チョコバナナ」

    訪れた日のクロワッサンは、なんと7種類!ストライプがかわいい「チョコレート」に「チョコバナナ」「チャイアーモンド」などのスイーツ系、「ハム&チーズ」という食事系のクロワッサンもありました。

    たくさんの種類に驚いていると、「まだまだたくさんあるんですよ。もう少し涼しい季節になったらクリームを巻き込んだものや、「ルヴァン」という天然酵母で作るクロワッサンも。それは牛乳は一切使わず、水と粉と塩と折り込みのバターだけでシンプルに作るんです。あとはキーマカレーもカレーパンみたいな感じで人気です。最近は、コーンとお醤油を使ったメニューなども考えています」と須藤さんが教えてくれました。

    まわりはサクサク、中はしっとりとしていておいしい!

    自由な発想のクロワッサンは、須藤さんが仲間やスタッフみんなで食べて、試作を繰り返して完成したそう。

    「商品をクロワッサンに絞っているからこそ、いろいろなアレンジや挑戦ができるなと思っています。私は専門学校は出ていますが、特定のお店で修行をしていない分、発想はあまり縛られていないというのはあるかもしれません。みんなからも意見をもらってアイディアを融合させています。パンの知識がない人だからこその、結構突拍子もない意見をもらうこともあったんです(笑)。でも、それもおもしろいなと思って、できる範囲で取り入れようと作っています」と須藤さん。

    9月から始まった「ナッツ」、人気の「チョコレート」

    この日、クロワッサンと一緒にいただいたのはアイスコーヒー。1杯1杯ハンドドリップで淹れて、毎回氷で冷やすという手間ひまがかけられています。コーヒーは「クロワッサンに合う」というのを軸に、昔ながらの深煎りで酸味の少ない、コクのあるコーヒーを選んで、新潟のロースターから仕入れているそう。

    オープンして半年が経ち、早くも地域の人たちに親しまれています。ご近所の方で、お孫さんが遊びに来たときに買いに来たり、今まで食べたクロワッサンの中で一番おいしいと言って毎週買いに来てくれる常連さんも。路面店ということもあって、クロワッサンや1杯のコーヒーを気軽に買えるのもうれしいですね。

     

    空間を通して共有する時間

    ちなみに、店名『plat』はフランス語で「フラット」の意味。上林さん自身、客観的に、ある一定の平等の価値観で物事を見ることを普段から意識しているそう。

    「“個人的”には、そういう意味を込めています。ただ、店やブランドの名前は勝手に1人歩きするものなので、そこは建築と一緒で大きな受け皿を作ってあげているだけなんです。あとは、見た人や訪れた人がどう解釈するのかは自由だと思っています」と上林さん。

    『plat』の店内を進むと、奥にはギャラリーが広がっています。この日は、イラストレーターさんによる展示で、クロワッサンのイラストも飾られていました。上林さんが気になるアーティストの方々へ声をかけ、『plat』とコラボしていくのだそう。クロワッサンをモチーフにしたさまざまな作品を楽しめるギャラリー。ギャラリー運営は年内いっぱいを予定しているそうなので、気になる方はお早めに。

    実際に建築をして、その先をリアルに見ていけることが面白いと上林さんは言います

    「この場所をきっかけにいろいろと新しい出会いがあり、そこからいただけるご意見もすごく勉強になります。また、お店を作ったことで、ひとつの共通の空間が生まれ、そこでの時間を共有できるのは、すごく繋がりを意識できるかなと思います」と上林さん。

    これからどんな広がりを見せるのかとても楽しみですね。

    「クロワッサンってこんなに自由なんだ」と、これまでの常識を良い意味で裏切ってくれる『plat』のクロワッサン。そして、お店を通じて共有する時間や空間を楽しみに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

     

    • ■お店情報
    • plat|https://plat-inc.com/
    • 住所:東京都世田谷区太子堂2-38−3
    • 営業時間:[土・日]11:00〜18:00
    • 定休日:月〜金曜日
    • ※当日の営業状況はお店のInstagramからご確認ください。

     

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