フランスのナントという街をご存知でしょうか? 聞いたことは、あるけれどどこにあるのかわからない、いまいち何があるかわからないという方も多いかもしれませんね。
パリから電車に乗って約2時間で行けるフランスの西部ブルターニュ地方にあるロワール川沿いの街です。フランスでは6番目に大きな都市であるナントは、今、フランスでは移住先として、そして、アートの街としてジワジワと人気が高まってきています。
今回はそんなナントの魅力をご紹介!2泊3日のバーチャルツアーをお届けします。
1日目 ナントの歴史を訪ねてゆっくり散歩
食、ファッション、アートなどの見どころのほか、自然も豊かなナント。パリをギュッとコンパクトにした街というのが、ナントの第一印象でした。パリよりも穏やかな雰囲気なので、ファミリーでの旅行にもぴったりの環境です。
●歴史的建造物とアートのコラボレーション
1日目は歴史的建物などを見て回ることにしました。まず訪れたのは「Place Graslin (グララン広場)」。ネオクラッシック様式の劇場の前には、なぜかスケートリンクが!これは、TITANというナント発のクリエイティブチームによって制作されたアート作品なのだそう。周囲をベンチのように利用しており、人々の憩いの場となっているようです。このようにアート作品が市内の至るところにあるのもナントの魅力。そんなところにも注目しつつ巡っていこうと思います。
グララン広場のお隣にあるのが1791年に作られた「cours Cambronne(カンブロンヌ広場)。中央にナント出身の将軍Pierre Cambronne の像が勇ましく立っていました。
「Place Royale(ロワイヤル広場)」の方へ向かうと、今度は大きな船のモニュメントが現れました。これは夏季限定のアート作品の1つ。近くにある噴水から吹き出す水が、太陽の光で反射しキラキラと煌めいて、広場をより一層ドラマチックに見せてくれていました。
船の真ん中に鎮座するのは女神さま。かつて貿易で栄えたこの港町にとって、大きな船というのは街の繁栄や自由を意味しているのでしょう。
ロワイヤル広場のすぐ隣に堂々とそびえ立つ「Basilique Saint-Nicolas de Nantes (バシリカ聖ニコラス教会)」で、一息休憩を。美しいステンドグラスにうっとり。厳かな空間に癒やされます。
お次は真っ白の壁に赤みをおびた花崗岩のアクセントが上品で美しい「Château des Ducs de Bretagne(ブルターニュ公爵城)」へ。
13世紀からブルターニュ公の住居として、そして1532年以後はフランス王家の居城としても使われていたブルターニュ公爵城。「ナントの勅令」が発布された城としても有名です。
古いお城の内部に展示されているのは、現代アート。こちらはアフリカ人アーティスト、ロマールアズメの作品「Water Cargo」。貧困をテーマにした作品で、優雅な城内にあることで、問題提起を浮かび上がらせます。
現代アートというと難しい印象を持ちがちですが、あまり深く考えず自由に想像すればOK。それぞれの解釈で楽しんでいいのです。作品が何を意味し、作者が何を意図しているのかを考えるのももちろん大事ですが、作品をみてどんな「第一印象」を受けたのかが大事だと私は思います。美しい、怖いなどの抽象的な印象でまずぼんやりと何も考えず鑑賞してみる。その後、気になった作品についてはネットなどで調べてみるのもよいでしょう。自分との意外な共通点があったり、作者が気になっていたアーティストの友だちだった!なんてことも。アートは何かのメッセージで、あなたの心の奥底に眠っていた情熱や興味を引き出してくれるきっかけになるモノだと私は思っています。
2日目 アートを存分に楽しむ1日
とにかく街中でアート作品に出合えるナント。2日目はとことんアートを楽しみたいと思います。
ナントに現代アートが溢れるようになったのは、街を芸術の力で活性化するという目的のため。さらに、ナントには有名な芸術大学もあり、アーティストのたまごたちが暮らす街でもあります。街のアート作品は、彼らに多くのインスピレーションを与えるという意味でも活きているのです。
●巨大な機械仕掛けの像に感動!Les Machines de l’Île
まず今回の旅の1番のお目当てでもある「Les Machines de l’Île(レ マシーン ドゥ リル)」に行ってきました。
2人のアーティストグループ「ラ・マシーン(La Machine)」によってデザイン、設計された機械仕掛け遊園地「Les Machines de l’Île」。ナント生まれのSF小説家ジュール・ヴェルヌの世界を再現した遊園地です。
彼らの代表作であるこのエレファント(Grand éléphant)は、高さは約12メートル、重さ約48トンの木と鉄でできた機械仕掛けの像です。体の表面は全て木で作られているのですが、木とは思えないほどなめらかで、艶やか。象の耳のシワも巧妙に表現されていて美しい。
よく見ると、目がちゃんと瞬きしていたり、時々大きな口を開けて「パオーン」と鳴いたりも。その動きもとってもリアルでした。鼻からは水を出してシャワーを噴出したりも。街に忽然と現れるこの巨大な象に大人も子どもも大はしゃぎです。
こんな風に非日常を楽しむことは、モノの見方をガラリと変えてくれるきっかけになったり、何より最高のリフレッシュになりますよね。
メリーゴーランドは、カメレオン、タツノオトシゴなどメリーゴーランドでは、見慣れない動物たちがたくさん!1つ1つ丁寧にデザインされている構造がとても美しくずっと眺めていれそうです。
カメレオンの目が動いたり、舌を出したり、ペガサスの翼が羽ばたいたりと、木と鋼でできているとは思えないリアルな動きに子どもたちも大興奮でした。
●グリーンラインを追え!地図なしで現代アート巡り
まだまだナントのアート巡りは尽きません。ナントでアート巡りをする際の目印が、こちらの緑色のライン。街中にこの緑の線が描かれていて、この線を辿っていけば簡単にナントの観光名所やアートスポットを巡ることができるんです。ひたすらこのグリーンライン沿いを散歩するだけでOKなので、方向音痴さんも安心!
フランス出身の人気イラストレーターJean jullienとのコラボレーション作品もありました。
公園の自然の中に馴染んでいて、とてもユニークです。
街中や散策途中に訪れたギャラリーにも、たくさんのアートを見つけたので写真でご紹介します。
他にもまだまだ紹介したい作品が沢山…!こちらのWEBサイトから作品の情報が確認できるので気になる方はチェックしてみてください。
●アーティスティックな空間でランチタイム
たくさん歩いて疲れてきたところでランチタイムに。『LACANTINE』でランチをいただくことにしました。アートが散りばめられていて楽しい店内。
施設の横に常設された有機野菜の畑からとれたての野菜を使ったサラダとジューシーなチキンとホクホクのじゃがいもの付け合わせのランチを。テラスでロワール川を見ながら食事を楽しんで、見てきたアート作品をゆっくりと振り返りました。
3日目、日帰りでサンネゼールを楽しむ1日。
最終日はロワール川沿いから船に乗り、1時間半かけてサンナゼールへと向かいます。
ここでは、船からたくさんのアートを眺めることができるのです。
ストリートアートはADORというアーティストによるもの。
船内にはジュール ヴェルヌの海底2万マイルを彷彿とさせるオブジェも発見。
中でも印象的だったのが、サンネゼール到着前に見ることができた「Maison dans la loire (ロワール川の家」という作品。
皆さんにはこの作品、どのように映るのでしょうか?私の個人的な解釈では、家という、我々になくてはいけない存在が川という人間がコントロールできない自然に埋もれている…つまり、人間の生活は本来コントロール不可能なもので、自然に一体化すれば我々の力というのは微々たるものであるという意味ではないかと考えました。
現代アートを見ながら自分なりのイメージを膨らませてみて、友人などと意見交換するのも楽しいですよね。
さて、サンナゼールに到着!この小さな港町は漫画『TINTIN(タンタン)』の舞台にもなったことがあるとのことで、大きな絵が飾られていました。
海を眺めながら新鮮な海鮮が楽しめるレストラン『la Plage』
レストランの内装もアーティスティックで素敵!ぜひ、サンナゼールを訪れたら海の味覚を味わうことをお忘れなく。エビもサーモンも新鮮で最高でした!白ワインと相性最高でした。
実はこのレストラン、窓際の席からアート作品を鑑賞することができるんです。こちらの作品は「le pied et le pull-over(足とプルオーバー)」。
食後は大西洋を見ながら海岸を散歩しながら、この旅で出会ったたくさんのアート作品、そこからもらったインスピレーションと向き合いました。
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街を歩いているだけで、さまざまな歴史、アートに次々と出合えるナント、サンネゼール。想像力を掻き立てられる現代アートや時代背景やロマンを垣間見ることのできる歴史的建造物は、アートが好きな方はもちろん、アートには詳しくないけれど…という方も、きっと楽しめます。
- ★日本語でのナント観光情報はこちらから!
- ・https://www.saint-nazaire-tourisme.jp/
- ・https://fr.calameo.com/read/0001068669a57c6be3266
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