2020年12月、パリ市内に新しい駅が誕生しました!「パリに新しいメトロ?」と驚かれる人も多いかもしれませんが、実はメトロ14番線周辺を中心に新しい都市開発が進められていて、大変注目されています。今回は、新しい駅とその周辺の様子をレポートします。
パリオリンピックを目据えた都市計画
開発が進められているメトロ14番線は、1998年に開通された初めての無人メトロ。これまで9駅ありましたが、2020年12月14日に新しい駅が3つオープンしました。サン・ラザール駅から北に5.8km、パリに接する郊外都市を通り、Marie de Saint-Ouen(メリー・ド・サン・トゥアン)駅までを繋ぎます。2021年1月中に4つ目の駅、Porte de Clichy (ポルト・ド・クリシー)駅がオープンする予定です。
このプロジェクトは 『Grand Paris Express(グラン・パリ・エクスプレス)』と呼ばれ、国がパリ周辺の交通網を整えることを目的にスタート。国際空港との安定した連携を計り、飽和したパリ市内の交通網を緩和。郊外でも暮らしやすくするという、言うなれば『首都拡大プロジェクト』の一環で行なわれているのです。
また2024年のパリオリンピック開催までに、パリ南部のオルリー空港までの新7駅を開設する工事も現在進行中。これは見逃せません!無事オープンできれば、オルリー空港からオリンピック村までも短時間に繋ぐことになるそうです。
機能的で近未来感あふれる新駅
未来予想図を聞くだけでも楽しいのですが、今回は新しくできた駅を中心に開発された新エリア“クリシー・バティニヨール地区”をご紹介したいと思います。
こちらは『Pont de Cardinet(ポン・ドゥ・カルディネ)駅』の構内。サン・ラザール駅から一駅で、パリ17区にあります。「パリ市内にこんな敷地が残っていたなんて!」と驚きを隠せません。
ピカピカの新駅は14番線らしいスタイルを踏襲しつつも、近未来的な印象。シンプルで機能的、しかも明るい雰囲気で好感が持てます。まだ工事が終わっていないエスカレーターもありましたが、これもご愛嬌(笑)。ここまでたどり着くのに、数年の遅れがあったそうですからエスカレーターの一台くらい工事が遅れるのはありえることですね!
階段を上がっていくと、改札口に到着。全自動の開閉扉が設置され、車いすやベビーカー対応の広い改札扉もありました。パリ市内もバリアフリー化が進んでいますよ。
改札を出てもまだ続くエスカレーター。14番線は近年計画されたので、地下50mにおよぶこともあるとか!東京だと都営大江戸線のような感じでしょうか?
クールな建物が林立する新開発エリア
さて外に出てみましょう。最初に目に入ってくるのが、近未来を思わせる建物です!ここがパリとは到底思えないくらいに近未来的な建築が圧巻でした。駅前には、スーパーなどもでき、住宅地としても便利そうです。
54ヘクタールにもおよぶ開発地区の中心に位置するのは、壮大な緑地地帯。ここにはスポーツ施設やバスケットなどのコートなどがあり、住民の憩いの場になります。また大量の水やりを必要としないような植物を植え、雨水を利用できるような工夫もあるんだとか。綿密な都市計画がされていますね。
いい意味でパリらしくないポン・ドゥ・カルディネ駅周辺。一方で、エコを意識したパリ市らしい構想がされています。まだまだ未開拓の地ではありますが、これからの発展が楽しみなエリアでした。メトロ14番線の延長もこれから進んできますが、2030年までに15,16,17番線の開発も予定しているという『グラン・パリ』計画に一層期待が高まります。
なお14番線は2021年中、工事のため毎週月、火の22時15分から終電までのサービスを停止します。ご利用の際には他の公共機関を使うなど、注意してくださいね。
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