最近、パリでは公園の一部が畑になっているのをよく見かけます。少し前はただの植え込みだったり、あまり役立っていない空間だったところを「ジャルダン•パルタジェ(Jardin partagé= 共有農園)」として活用し、数種類の違ったお花や野菜が植えられ、まるで箱庭になっているのです。大きさはたいてい1平方メートルほどでしょうか。
春の種まきイベントも開催!
3月末には春の種まき時期を盛り上げるべく、パリ11区では区が企画者となり、「Enjardinez-vous!(=ガーデニングしよう!)」 というイベントを立ち上げて、共有農園を運営する団体に声をかけて市民も参加できる日を設けたり、それを見学して周るツアーが組まれたり、アトリエなども開かれました。
うちの息子も飛びついて参加。土を掘り返して種まきをしたり、お花にお水をやったりして楽しんでいました。先生は、地元の庭好きな人たちです。パリ市内に住みながら園芸を楽しみたいという人たちが自主的に集まり、アソシエーションを立ち上げていることが多いようです。
パリ11区はそういう空き地が上手に利用され、公園が比較的多くあることでも知られていますが、その上、エコロジーに関心がある人々が多いエリアでもあるようです。都会の真ん中なのに、スロー生活、新鮮ですよね!そんなこともあり、子育てがしやすい環境でもあります。
愛嬌たっぷりの手作り感ある箱庭
ひとつひとつの区画には個性があって、こういうパネルが可愛いデザインになっていたりします。
プロが手がけたフランス庭園とはまた違って、高さや花が咲く時期がめちゃくちゃだったり、野菜と花が混在しているようなところもありますが、それがまたなんだか愛嬌があってかわいい。
街角には小さな緑化政策がたくさん
パリ市では2014年から2020年まで、この緑化政策を推進中。さらに2015年6月からは、パリ市に申請すると、家の近くの道端や公共施設区域内の空き地、街路樹の足元の植え込みなどを利用して、農園化してもいいという許可証を出してくれるようになりました。
区役所では、スコップや鋤のような大きな道具の貸し出しもあり、「メゾン・ド・ジャルディナージュ(Maison du Jardinage=園芸の家)」では、希望者にはアドバイスをしてくれたり、土ももらえるのだとか。
この政策もどんどん知名度を上げていて、最近はうちの近くでもよく見かけるようになりました。
これは広い歩道がある「Boulevard de la Charonne」。道端に箱庭ができています。犬や歩行者に踏みつけられないようにガードもこんなに高くまで立てています。
植木鉢をポールに直接設置しているところも。3月末から4月のパリはまだ初春なので、植え替えの時期で、生えているのは冬でも生きられる球根系の花々(水仙)などがまだ多いです。
都会生活のオアシスは、パリのいろんなところにありました。週末になるとワイン片手に共有農園で乾杯する人たちも。みんななんだかとてもリラックスしていて、優しい。こんな新しい形のエコ活動も、パリの魅力のひとつです。
■一緒に読みたい記事