フランスがペットに優しい国ということは、これまでもご紹介してきました。今、そんなフランスに暮らすフレンチブルドッグが人気を集めていることをご存知でしょうか?フランスのノルマンディ地方で暮らす日本生まれのフレンチブルドッグNINO(ニノ)です。飼い主であるAkiko de NAPOLEON(以下、Akiko)さんのニノとの生活を綴ったブログで人気に火が付き、2015年には写真集も発売されました。
写真集『フレンチブルドッグNINOのフランスのんびり暮らし』
今回は、ニノの写真集『フレンチブルドッグNINOのフランスのんびり暮らし』のご紹介とともに、Akikoさんにニノとのノルマンディでの暮らしについてお話を伺いました。
日本生まれのNINOとの出会い
笑った顔がとってもキュートなニノ。その柔らかな表情に癒されている人も多いはず
フランスのノルマンディ地方で暮らすようになって8年目を迎えるAkikoさんとニノ。その出会いはどんなものだったのでしょう。
「お買い物中にペットショップをのぞいたとき、背伸びをしてガラスケースに顔をべったりとつけて私を見ている仔犬に気づきました。あまりにもずっと私を見ているので、店員さんに出してもらったところ、仔犬は私のお腹にガシッと張り付いたまま眠ってしまったのです。それがニノでした。ニノが私を選んでくれたのだと思っています」とAkikoさん。
もともと犬と一緒に暮らしたいという思いもあり、その場で即決。それは人生で最高(額)の衝動買いだったそうです。
その後Akikoさんは「うちのフランス人」と呼んでいるフランス人の旦那様と暮らすため、ニノと一緒に渡仏されました。ノルマンディでの暮らしが落ち着いた頃、日本にいる家族やご友人に元気で暮らしていることを知らせるために、とブログを始めたのだそうです。
そのブログがきっかけで写真集を出版されたのですが、それはあまりにも絶妙なタイミングだったのだとか。
Akikoさんのそばでピアノを聴いているニノ
「私が腰を痛めてひと月ベッドで過ごしたことがあり、その際ニノは何度も様子を見にきてくれて、心配しすぎて脳のバランスを崩してしまったんです。今では回復して元気ですが『今までのようにニノと一緒に暮らせないのかも…』と絶望的な気持ちになりました」
そのことがきっかけで、撮りためてきたニノの写真をまとめてみようかなと考え始めたちょうど同時期に「ニノのブログを本にしませんか?」というお話が来て、写真集の出版に至ったそうです。
ノルマンディでのNINOとの暮らし
フランスの北西部に位置するノルマンディ。Akikoさんたちはその港町で暮らしています。イギリス海峡に面しているため海産物が豊富な他、りんごのお酒であるシードルやカルバドス、カマンベールチーズの生産地でもあり食も魅力の町です。
Akikoさんのブログからは、ニノの写真とともに、フランス・ノルマンディの自然豊かな風景や暮らしが見えてきます。ノルマンディでのニノとの暮らしの中で、印象的だったできごとをお聞きしました。
「フランスの犬はよく教育されているので、リードがなくても飼い主さんから離れていくことはありません。逆にリードにつながれている犬は『お散歩、練習中かな?』と思います。レストランなども一緒に入れるのですが、飼い主が食事中のとき、犬たちはテーブルの下に座っておとなしく待っています。本当にみんなおりこうさんなんです」。
Akikoさんはニノと一緒に出かける際、専用のマットを持っていくそう。カフェやレストランでもフランスでは犬と一緒に入れるお店が多く、食事の時間を一緒に過ごせるのはうれしいですよね。
魅力がいっぱい詰まったノルマンディ
Akikoさんたちは港沿いに住んでいるため、港周辺をお散歩することが多いとのこと。港にはジョギングやサイクリングを楽しめるプロムナードや広い芝生広場もあり、車などの危険もないため、よくそのコースを選んでお散歩しています。家の近くのお城を見にいくお散歩コースもあるのだそう。犬のお散歩でお城巡りができるなんて、さすがフランス!という感じですよね。
Akikoさんはお城や古い町並みがお好きで、時間があればニノを連れて出かけています。フランスというとパリを訪れる人が多いですが、田舎町にも歴史的な建物や食べ物、人々の暮らしなど魅力がたくさんあるのす。ニノの写真とともに紹介されるノルマンディの歴史的な建造物や自然豊かな風景を見ていると、まるでニノがフランス・ノルマンディを案内してくれているように感じます。
ニノの後ろには世界遺産モンサンミッシェルが
「せっかくノルマンディに住んでいるのだから、ノルマンディの美しい町並みや風景を紹介したいとも思っています」というAkikoさん。たくさんある魅力的スポットの中でも、おすすめの場所を教えていただきました。
ノルマンディの小さな村Beaumont-en-Auge(ボーモン=アン=オージュ)
「ノルマンディには世界遺産が4つあります。モンサンミッシェルだけじゃないんですよ!大きな町では、歴史を知ることができる建築物や文化遺産もたくさんあるのですが、もしひとつ選ぶとしたら、『フランスの美しい村』に選ばれている村々でしょうか」。
ノルマンディ地方の『最も美しい村』のひとつLyons-la-Forêt(リヨン=ラ=フォレ)は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが『クープランの墓』を作曲されたとして知られている村
「Barfleur(バルフルール)、Beaumont-en-Auge(ボーモン=アン=オージュ)、Etretat(エトルタ)、Gerberoy(ジェルブロワ)、Lyons-la-Forêt(リヨン=ラ=フォレ) 等、そういった村々には昔からの生活を垣間見ることができますし、かわいい町並みも見どころです。静かでのどかなノルマンディを感じられると思いますよ。季節によって風景が違い、雰囲気も変わるので何度も訪れてほしいですね」とのこと。
ニノはもともとのんびり屋さんだそうですが、普段の生活でニノを脅かすものがないからだと思うとおっしゃっていました。ノルマンディののんびりした空気感がニノの性格にあっていたのかもしれませんね。
ロカヴォー、新鮮で安心の食
ブログの中ではノルマンディの食材を使ったAkikoさんのお料理も紹介されています。
「フランスでは『Locavores(ロカヴォー)=地産地消』の文化が根付いていて、私も地元の新鮮な食材でお料理をしています。マルシェでは、いつも無農薬野菜の農家から直接買っています」とAkikoさん。
『ブイヤベース ノルマンディ風』(左がニノのごはん)
驚いたのは、ほとんど同じ食材で味付けを変えたりしてニノのごはんも毎日手作りされているということ。でも Akikoさんにとってそれは自然なことだと言います。
和食のメニューも!『アボカドマグロ丼』。ニノはブロッコリーで。
「『今日食べるものが明日の体を作る』と思っていて、私自身ができるだけ安全なものを口にしたいと考えています。マルシェなどで新鮮な食材が手に入る環境にいるので、それを利用しないのは残念ですよね。
自分のごはんを作るついでに、ニノのお鍋にはニノが食べられる食材だけを入れて一緒に作っています。そんなに難しいことではないですよ」とAkikoさん。
ニノのごはんもとてもおいしそう!季節の食材を使った料理の他、フランス料理の定番メニュー、ファルシやノルマンディならではのカマンベールを使った料理にスイーツなども紹介されています。そちらも注目してみてください。
最後にAkikoさんにとって、ニノはどんな存在なのか聞いてみました。
「ニノは犬ですけど、とてもかけがえのない大事な存在です。私の大切な家族です。ここノルマンディではニノと私、ふたりしかいない『ジャパニーズ』なので、異国の地で助け合って暮らす『同志』でもあります。見知らぬ地での暮らしがニノとの絆を強固にしてくれたように思います」と話してくれました。
これからもニノと一緒にたくさんのノルマンディの魅力を教えてくださいね。
パリからは電車で2時間ほどの距離にあるノルマンディ。田舎町ならではのゆったりとした時間の流れに身を任せる旅も素敵ですね。Akikoさんのブログを見ていると、美しい風景においしい食べ物、のんびりとした暮らしなど、楽しみは広がるばかりです。
「ノルマンディ旅行行きたいけど、すぐには行けない!」という方は、Akikoさんとニノの生活を通して、ノルマンディ散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。
- ■書籍情報
- 書籍名:『フレンチブルドッグNINOのフランスのんびり暮らし』
- 著者:Akiko de NAPOLEON
- 出版社:河出書房新社
- ■Akiko de NAPOLEONさんのSNS
- ▶︎ブログ | フレンチブルドッグNINOのフランス生活
- ▶︎Instagram | ninoennormandie
- ▶︎Twitter | ninoquincampoix
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