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    明日のわたしが変わる。草場妙子さんが教える心地よく楽しめる毎日メイク

    毎日のメイク、なんとなくしていませんか?「そもそも何が似合うか分からない」「メイクページを読んでも理解できない」「コスメカウンターに行くのは億劫」。そんなモヤモヤが積み重なって、結局ルーティーンになってしまう方が多い気がします。でも本当は自分らしいメイクを楽しみたい。

    今回、楽しみ方を教えてくれるのは雑誌・広告で幅広く活躍しているヘアメイクアップアーティストの草場妙子さんです。著書『TODAY’S MAKE-UP』やInstagram を見ていると、メイクに対する漠然とした苦手意識から解放されて、好きなように楽しめるかも?誰かが決めたモテや美人を目指すのではなく、私が心地よく楽しめるメイクをしてもいいのかもしれない、と前向きになれます。

    今回は草場さんに、メイクを楽しむコツやパリジェンヌメイクの秘訣を教えてもらいました!

    草場妙子(くさばたえこ)

    ヘアメイクアップアーティスト。サロンワークに携わりながらヘアメイクを志し、アシスタントを経て2006年に独立。雑誌や広告、CMなどを中心に幅広く活躍している。こだわりの美容アイテムを紹介するInstagramも話題。昨年初の著書『TODAY’S MAKE-UP』(アノニマ・スタジオ刊)を出版。

    Instagram:@kusabataeko

     

    まず試してみることで、なんとなくメイクは卒業できる

    ―昔からメイクが苦手で、結局いつも同じような顔になってしまうんです。でもアップデートしたいという気持ちもあって、なりたい自分とできない自分の狭間で毎日モヤモヤしていました。

    草場妙子さん(以下、敬称略):メイクは自分が楽しむためのもの。でも漠然とした苦手意識をお持ちの方も多いですよね。今日はそのハードルを下げるお手伝いができるとうれしいです。

    ―メイクを楽しみたいと思ったら、何から始めるのが良いでしょうか?コスメを選ぶにしてもブランドや商品がたくさんあってどう選べばいいかわからなくて…。

    草場:まずは直感で自分が好きな色や質感のコスメを選びましょう。肌色診断などを参考にする方法もありますが個人的には気にしなくていいと思っています。「この肌色だから青が似合う」と決めてしまうと、メイクの幅を狭めてしまう気がします。

    ―えー!直感で選んで良いのでしょうか?

    草場:大丈夫、興味のある所から始めるのが一番楽しいです。見当が付かない方はポイントメイクを楽しむことから始めましょう。アイシャドウやカラーマスカラ、リップなどを変えるとひと目で分かりますし、気分が上がるので即効性がありますよ(笑)。「新しいリップを買ってしっくり来た!」という感動は何ものにも代えがたいです。

    ―ポイントメイクなら使う面積も少ないし、チャレンジできそうな気がします!

    草場:まずはテスターで試してみるといいですね。と言いつつメイクに苦手意識を持っている方って“試す”こと自体が怖いと感じていませんか?

    ―たしかにテスターで試すことさえ怖いです。誰も見ていないのに「ちぐはぐな印象になったら恥ずかしい」って考えてしまったり(笑)。

    草場:興味のある色は全部試してみるくらいの勢いでもいいと思います。私がリップのレッスンを開くときは、あえて普段はしないような毒々しい色も試してもらって皆さんのメイクの幅を広げるようにしています。一度、極端な色をつけたことがあればコスメカウンターで試すハードルがぐっと下がるので(笑)。

    ―コスメカウンターは独特の雰囲気があって緊張してしまう人も多いと感じます。

    草場:コスメカウンターを苦手に感じる方は「イセタンミラー」や「フルーツギャザリング」などのコスメセレクトショップはどうでしょう。ブランドの垣根を超えて様々なコスメが揃っているので、CHANELとTHREEといった別ブランドのリップを比較して試せますし、店員さんも付かず離れずの接客なので「買わなきゃ」というプレッシャーも少ないはずです。

    草場:あとは素敵なメイクをしている人に「どこのリップを使ってるの?」と聞いてみたり、Instagramでコスメ情報を発信している人をフォローするのもおすすめです。まずは生活の中で無理なくコスメを意識してみる。気になるアイテムがあればお店で試してみる。その繰り返しでルーティーンメイクが少しずつ変わっていくはずです。

     

    バランスを意識するだけで、ぐっとあか抜ける

    ―草場さんはヘアメイクアップアーティストとして女優・モデルさんのヘアメイクをする一方で、ご自身のメイクもしますよね。セルフメイクをする時に大事にしているポイントは何ですか?

    草場:厳密でなくて良いのですが、まずなりたい自分や使いたいコスメを考えます。たとえば「今日はこの服を着たい」「リップを使いたい」とか。そこから逆算してバランスを調整しながらコスメを選ぶようにしています。

    草場さんのこの日のセルフメイク。ファンデーションを極力使わないことで素肌感を大事に。ポイントメイクも際立っている。

    ―具体的にどのように選んでいますか?

    草場:赤リップをカジュアルに見せたいなら、TシャツやGジャンなどのラフな洋服を選んで、リップの輪郭を少しぼかしたりティッシュオフして色味をおさえることでバランスを取っています。

    ―大事なのはバランスなんですね。

    草場:そう思います。もちろん自分のコンプレックスをチャームポイントにとらえて、魅力を引き出すメイクができたら素晴らしいですけど、個人的には「プラスに変えなきゃ!」と気負わなくてもいいと思っているんです。

    最終的に大事なのは全体のバランス。もし顔で気になる部分があってもヘアスタイルやファッションを変えることで、見え方をガラッと変えることができます。私は甘めな顔立ちですが実はシックなテイストが好き。だからロングヘアをバッサリ切ってシャープにスタイリングし、洋服はモノトーンを多めに。その結果、甘辛のバランスが取れて、好きなテイストに近づけました。

    洋服はシンプルに。重厚感のあるブレスレットを選ぶことで辛口感をプラス

    草場:メイクだけでなく「ヘア」「メイク」「ファッション」のトータルバランスを意識しましょう。その相乗効果を意識するだけで、ぐっとあか抜けて見えます。あと上級者向けかもしれませんが、好きなテイストやアイテムの中で選択肢を増やすのもおすすめです。

    —それはどういうことでしょう?

    草場:好きな色のリップがあるとそればかり使って、結果的にいつもワンパターンな印象になってしまう方がいるんです。たとえばベージュリップを例に挙げるとブラウンベージュ、コーラルベージュ、ピンクベージュ、艶感、マット感、シアーな仕上がりなどたくさんの種類があります。

    ハンサムな気分の時はブラウンベージュで仕上げて、エレガントな装いのときはコーラルベージュでやわらかさを出してもいい。好きなテイストやアイテムの中で選択肢を持つことで、自分らしさを大事にしながら選ぶ楽しみを味わえると思います。大事なのは毎日なんとなく同じメイクをするのではなく、毎日のメイクを自分で選ぶこと。その積み重ねが”自分らしさ”を際立たせていきます。

     

    パリジェンヌメイクは抜け・素肌感・くすみカラー

    ―草場さんは少し前にパリに滞在していたと伺いました。ヘアメイクアップアーティストから見るパリジェンヌのヘアメイクはいかがでしたか?

    草場:肩の力が抜けていて、ヘアもメイクもファッションもその人の個性になじんでいるところがパリジェンヌらしくて素敵だと感じました。ぱぱっと塗った赤リップ、手ぐしでまとめたヘア、洗いざらしのTシャツにデニム、靴は少しクラシカルにレペット、みたいな。

    草場さんが選んだパリジェンヌ風メイクを叶えるコスメ。左から「クラッシュドリップカラー06クランベリー/ボビイブラウン」「ファイバーブロージェル/トムフォード」「イプノミニマキシ01ブラック/ランコム」「パーフェクトモバイルタッチアップ003/アディクション」

    ―私たち日本人がパリジェンヌのようになれるメイクがあれば知りたいです!

    草場:パリジェンヌと言えばやっぱり赤リップが印象的です。赤リップを活かしたいなら素肌感を残しましょう。しみやそばかすはあえて隠さず、薄付きのファンデーションをふわっとまとう程度にとどめて。個人的におすすめなのは筆タイプで気軽に使えるモバイルタッチアップファンデーション。みずみずしくて伸びも良く、薄付きだけどカバーもできる優れものです。

    —ポイントメイクを活かすためにファンデーションをきちんと塗る必要があると思っていましたが逆なんですね。

    草場:ファンデーションをきっちり塗った肌にポイントメイクをプラスすると、抜けのないしっかりメイクという印象になるので要注意です(笑)。

    ―ポイントメイクのコツはありますか?

    草場:やっぱり抜け感です。チークを使わないのもひとつの手ですし、アイラインを引かずマスカラを根本にしっかりつけて目のフレームを際立たせたり。眉はペンシルでしっかり描くのではなく眉マスカラで色・毛流れを整えるくらいがなじみます。

    ―ヘアとのバランスはどうでしょう?

    草場:パリジェンヌって手ぐしでまとめたようなラフな雰囲気が素敵ですよね。でも、ただ手ぐしでまとめるだけだとボサボサに見える危険性があるのでこれも要注意(笑)。きちんとケアした艶のあるヘアで分け目をラフに崩すなどバランスを意識してほしいです。

    ―これひとつあればパリジェンヌになれるコスメってありますか?

    草場:ボビイブラウンの「クラッシュドリップカラー06クランベリー」です。おそらくパリジェンヌがつけている赤リップってもっと発色の良い色だと思いますが、彼女たちのエッセンスを取り入れて日本人の肌色になじむ赤リップならこれが本当におすすめ!

    「クラッシュドリップカラー06クランベリー/ボビイブラウン」

    ―少しくすみのあるカラーなんですね。

    草場:日本人の肌には、くすみや深みがあって黄味寄りの赤がなじむ印象があります。青みの強いあざやかな赤は色白に見せてくれる一方で、目立ちすぎて肌になじまない人も…。

    写真左から「ラッシュペルシードリップスティックX01・03・02/THREE」「アフターグローリップバーム3424・3426/NARS」「コントロールカオスマスカラインク03/SHISEIIDO」

    ―そうなんですね!この夏、草場さんが注目しているコスメを教えてもらえますか?

    草場:カラフルなアイテムが気になっています。その中でもイチオシは透けるリップ。とにかくすごくかわいいんです!

    ―たしかに見ているだけでときめきます!あざやかなピンクやパープルは浮きませんか?

    草場:大丈夫、とても薄付きなので色つきリップ感覚で使えますし、他のポイントメイクと合わせて色遊びも楽しめます。

    あとはカラーマスカラですね。正面からは目立たないけど、横顔だとチラリとパープルが映えて今っぽい顔になれます。透けリップ×カラーマスカラはこの夏のトレンドになるかも。アイシャドウにもチークにもリップにも使えるマルチバームも気になっています。目元にキラッと入れたり、まぶたではなくあえて眉下に入れるのもおしゃれです。

    写真左から「カムフィースティックブラッシュ02/セルヴォーク」「インフィニトリーバーム01/セルヴォーク」

    ―草場さんのお話を伺って、長く閉ざしていたメイクの扉を今日開けられた気がしています(笑)。メイクって楽しいんですね。

    草場:そうなんです!新しいコスメを選ぶのも楽しいし、手持ちのコスメから選んで自分のなりたい雰囲気に近づけることも楽しい。天気や予定に合わせて洋服を選ぶのと同じようにメイクも選んでみましょう。その繰り返しでメイクの幅が広がり、毎日がぐっと楽しくなっていくはずです。

    著書『TODAY’S MAKE-UP』

    —今日、新しいコスメを買って帰ろうと思います(笑)草場さん、本当にありがとうございました!

     

    • ■書籍情報
    • TODAY’S MAKE-UP
    • 著者:草場妙子
    • 出版社:アノニマ・スタジオ

     

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