世界から人が集まる美食タウン銀座の裏路地に素敵なお茶屋さんを見つけました。その名は『煎茶堂東京』。店名の通り、煎茶の販売をメインにしたお店です。なぜ今、“銀座で煎茶”なのか? その理由を、店長の李セロムさんに教えていただきました!
国も世代も問わずに煎茶を楽しんで欲しい!
日本は古くからお茶の文化が栄えていますが、現代ではきちんと急須でお茶を淹れることが珍しくなってしまいました。そんな中『煎茶堂東京』では、新しい煎茶カルチャーを提唱してくれています。なぜ煎茶に特化したお店をオープンすることになったのでしょうか?
店内には洗練されたパッケージの煎茶が並んでいます
「今お茶を飲むとしたら、格式高い茶道か、カジュアルにペットボトルか、二極化しているんですよね。でも若い方たちにもっと気軽に伝統の味を楽しんで欲しい、との思いから2016年に『東京茶寮』という日本茶カフェがオープンしました。その物販部門がこの『煎茶堂東京』です。銀座にお店を構えたのは、海外の方にももっと煎茶の魅力を知って欲しかったからです」
東京近郊のお茶を組み合わせられる「東京お土産セット」も販売しています
取材中も、何組か海外のお客様が来店していました。中国をはじめ、香港・台湾・韓国はお茶文化がもともとある国ということもあり、日本茶にも馴染みがあるそうでリピーターになっている方もいるんだとか。一方で、中東や欧米では“日本茶=ヘルシー”というイメージがあり、健康志向の方に人気なんだそうですよ。
『煎茶堂東京』の店内は白をベースに、グラフィカルなデザインの茶筒が壁一面に陳列されています。実は『煎茶堂東京』の母体はデザイン会社。だからこそ、店舗もプロダクトも若い世代や海外の方にもアプローチできるデザインなんですね。
そして店内の中央では、気になる茶葉をテイスティングすることが可能。
テイスティングで使われるのが、『煎茶堂東京』オリジナルの急須です。一見、ガラス製に見えるこの急須はトライタンという樹脂でできたもの。哺乳瓶にも使われていて、熱にも強く割れにくいのが特徴。グッドデザイン賞も受賞している機能的な急須です。
「お茶を身近に感じていただくために、できるだけレシピをシンプルにしました」と言う李さん。茶葉4gに対し120ml(オリジナル急須にいっぱい)のお湯で蒸らすことで簡単に煎茶を楽しむことができます。
<煎茶堂流おいしい煎茶の淹れ方>
・一煎目:70℃のお湯で1分20秒蒸らす
・二煎目:80℃のお湯で10秒蒸らす
・三煎目:玄米を加え、85℃のお湯で15秒蒸らす
一煎目は香り・甘味(アミノ酸)を抽出することで華やかな香りと深い旨みを感じ、二煎目は渋味・苦味(カフェイン・カテキン)を抽出することですっきりとした味わい感じることができます。最後の三煎目は玄米の香ばしい香りとコクが感じることができ、ひとつの茶葉で3回も異なった楽しみ方ができました。
煎茶のシングルオリジンとは!?
『煎茶堂東京』で販売されている茶葉はすべて“シングルオリジンの煎茶”。つまり、同じ土地で同じ生産者さんが育てた茶葉をブレンドせずに提供しています。厳選した茶葉は現在37種。すべてナンバリングされていて、新しい茶葉が登場すれば品番が増え、同一品種が生産終了となればその品番は欠番となります。
「日本には本当に多種多様なお茶の品種があるんです。同じ鹿児島でも霧島と川辺では全く味も香りも違うお茶になります。しかもシングルオリジンの茶葉なので、同じ茶葉でもその年の天候などによってまた変わってくる。産地や生産者、季節、天候によって変化を楽しむのもシングルオリジン煎茶の楽しみ方のひとつです」
カクテル用のサーバーで水出しされている煎茶
実際に鹿児島県で栽培された水出し茶をいただきましたが、全く味も香りも異なり、「こんなにも違うのか!?」と驚きました。改めて日本茶の奥深さを感じます。
煎茶とチーズは合う!?煎茶のペアリング
購入可能なナッツのお茶菓子
煎茶の魅力に触れたところで、次に気になるのが“お茶菓子”。『煎茶堂東京』では今までにない、煎茶とお茶菓子のペアリングを提案してくれます。例えば「031浅蒸しはるもえぎ」とモロゾフ「パンプキンプリン」を組み合わせたり、ときにはカマンベールチーズと一緒にいただくことも!
「チーズと煎茶って相性がいいんですよ(笑)」と李さん。どちらも旨みと香りの成分が高く、相乗効果でとてもおいしくいただけるのだそうです。そんなペアリングを学べるのが『煎茶堂東京』で毎月開催されている「銀座茶会」です。日本各地のおいしいお茶と銀座ウエストや銀座鹿乃子といった銀座に縁のあるお茶菓子のペアリングを楽しみながら、お茶の話をじっくりとうかがうことができます。
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銀座ウエストの「ヴィクトリア」と「007宵の七曜星」のペアリング
「お茶菓子は銀座らしいものを選び、そのお菓子に合う茶葉を選ぶこともあれば、逆に茶葉を決めてからお菓子を選ぶこともあります。長崎産の茶葉だからカステラをセレクトしたこともありました。その回ごとのテーマは担当するスタッフによって違うので、毎回違ったペアリングを楽しむことができますよ」
日本茶に詳しくなければ思いつかないペアリングですが、プロから教えてもらえると楽しみ方も増えますね!
自分で組み合わせて作るブレンド煎茶も!
お気に入りのラベルを選ぶこともできます
さらに深く煎茶を楽しみたい方には、オリジナルブレンドを作れるキットも。3種の茶葉と、お気に入りの茶筒を選びオリジナルのブレンド煎茶を作ることができます。ラベルにも品名を記入する欄もあるので、愛着もわきそうですね。
“体験できるお店”をコンセプトにしているという『煎茶堂東京』。取材の最後に「煎茶って本当においしくっておもしろい飲み物なんですけど、言葉で説明してもなかなか伝わらないんですよね。でも一口飲んでいただくだけでその魅力は伝わります。ぜひお店で煎茶の魅力に触れて欲しいです」と李さんはお話してくれました。
コーヒーや紅茶、ワインや日本酒など産地や作り手のストーリーとともに味わう飲み物が人気ですが、シングルオリジンの煎茶も奥深いです!今だからこそ、日本茶の魅力に触れたいですよね。ぜひ『煎茶堂東京』で煎茶カルチャーを学んでみて下さい。
- ■お店情報
- 煎茶堂東京
- 住所:東京都中央区銀座5丁目10-10(地図)
- 営業時間:11:00〜19:00
- 定休日:なし
- https://www.senchado.jp/
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