PARISmagが気になる方々へ会いに行き、「小さなしあわせ」のヒントを教えてもらうインタビュー企画。今回は話題のドラマや映画へ出演するなど活躍が注目されている女優の真野恵里菜さん。
3月10日(土)公開の映画『坂道のアポロン』では、千太郎(中川大志)が一目惚れをする女性、深堀百合香を演じた真野さん。映画の見どころや日々の楽しみについてお話を伺ってきました。
真野 恵里菜(まの えりな)
1991年4月11日生まれ。神奈川県出身。2009年にハロー!プロジェクトよりメジャーデビュー。その後、本格的に女優として活動を開始。主な出演作は、テレビドラマでは、『みんな!エスパーだよ!」(13/TX)、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(16)、『逃げるは恥だが役に立つ』(16/TBS)などがある。映画では、『劇場版SPEC〜結〜』(13/堤幸彦監督)、『新宿スワン』(15/園子温監督)、『orange-オレンジ-』(15/橋本光二監督)、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』(16/山口雅俊監督)、『君と100回目の恋』(17/月川翔監督)、『覆面系ノイズ』(17/三木康一郎監督)、『不能犯』(18/白石晃士監督)。3月6日には最新写真集『ERINA』が発売。
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Instagram:@erinamano_official
映画『坂道のアポロン』で百合香を演じて
―今回、千太郎(中川大志)が一目惚れをする百合香という女性を演じられましたが、自分と似ている部分や違うなという部分があったら教えてください。
真野恵里菜さん(以下、敬称略):自分とはだいぶかけ離れていますね。最初のイメージでは、育った環境も容姿も「私とは全然違うな」と思っていました。情熱的な千太郎が一瞬で恋に落ちる女性なので、ミステリアスな印象でした。私は田んぼのあぜ道とかを駆け回っていた子どもだったので(笑)。
でも、役者さんってその都度その都度役に合わせて変わっていくものなので、この役をつかむことができたら私の中でもひとつ何かが変わるなと思い、オーディションを受けさせていただきました。それで決まったので、すごくうれしかったです!
−実際演じてみていかがでしたか?
真野:佇まいやしゃべり方、笑い方はかなり気をつけましたね。逆に普段の自分が出てしまうと上品さがなくなってしまうので(笑)。笑うときも大笑いじゃなく、フッと下を見て笑うとか、千太郎と出会う海辺のシーンで目を合わせるときもじっと見るのではなくふわっとそらしたり、帽子を受け取る手つきも指先まで意識したりとか、細かいところも気をつけて演じましたね。
—今回、百合香はお嬢様という設定ですが、お嬢様でありながらも芯がしっかりとしていて、大切な人(淳一/ディーン・フジオカ)のためにお嬢様であることを捨てますよね。真野さんご自身は、百合香のように「何を捨てても守りたい!」と思うような大切なものというのはありますか?
真野:うーん。まだ、そこまで思えるほどに守りたいものというのはないんですが、百合香は周りから「お嬢様」と言われるのが嫌だったと思うんです。決して、自分は「お嬢様」になりたくて生まれてきたわけじゃないし、家柄や時代によって「お嬢様」に見られてしまっているわけで。その気持は少しわかる気がしました。
私は昔からアイドルが好きで、アイドルになりたくて、ハロー!プロジェクトでいろいろな活動をさせてもらうことができました。そのうちに「お芝居を極めたい!」という思いから卒業したんですけど、卒業後は「真野ちゃんアイドルだもんね」という言葉を耳にすることが結構あって…。もちろんプラスの意味で言ってくださ方もいらっしゃるんですけど、私の中では百合香が「お嬢様だね」って言われるような感覚に通ずるものがあるなって思いました。
「アイドルだからお芝居でできないことがあっても仕方がない」「アイドルだからいつでも笑顔でいなくてはいけない」というようなイメージを持たれてしまうことが、悩ましくて…。ハロプロ卒業後2〜3年くらいは、よく悩んでいましたね。
そこから抜けられたのは、連続テレビ小説の『とと姉ちゃん』の早乙女朱美役や『逃げるは恥だが役に立つ』のやっさん(田中安恵)の役があったからだと思います。今は「アイドル」という言葉がプラスになればいいなと思っていて、「アイドルだったけどこんなにできる」って言われたいですし、「アイドルでしたけど?」ってちょっと強気になりたいなと思いますね。それは、自分の中にしっかりとした芯がないとできないことなんだろうなと感じています。
女優の仕事を通して自分が好きになれた
−先ほどおっしゃっていただいたように、今回の百合香役はかなりご自身の中で挑戦ということでしたが、『とと姉ちゃん』の朱美や『逃げるは恥だが役に立つ』のやっさんもご自身の中で挑戦する部分はあったのでしょうか?
真野:朱美もやっさんも、挑戦というよりもうれしい気持ちが大きかったですね。アイドルのお仕事だと嫌な部分ってあまり見せないじゃないですか。朱美ややっさんのように、世間からはちょっとびっくりされるくらい強気で意地悪な役のお芝居を通して、普段の私もこうやって怒ったり、泣いたり、友だちと愚痴ったりするんだよ、というところを見せられたらいいなと。「アイドル」というイメージからひとつ抜けられるかなというのはすごく思いましたね。
−なるほど。最近は本当にいろいろな作品に出演されていますが、お仕事をしている中でどんなときが一番楽しいですか?
真野:常に楽しいですね。もちろん落ち込むことも、理由もなくモヤモヤすることもありますけど(笑)。最近よく考えるのは、悔しい思いも悲しい思いも、ちょっと腹立たしい気持ちも、お仕事をしている上で感じることであって、逆にうれしい思いも楽しい瞬間や幸せだなということもお仕事をしているからこそ出会えるものなんだなって。この仕事をしているから自分を好きなれた部分もあるので。昔は鏡に写った自分を見るのがいやだったんですよ。
−そうなんですか!
真野:事務所入ってすぐの頃は、ダンスレッスンとかも自信がなくて…下ばかり見て怒られていました(笑)。未だに、自分が出演した作品を観るのは少し抵抗があります。
でも、この『坂道のアポロン』を試写で観たときに、すっと作品を楽しめたんです。自然と涙している自分がいて。いつもだと、「あぁ、ここの私ダメだな…」とか気になっちゃうんですけど、今回は純粋に楽しむことができました。新しい感覚を得られてうれしかったですね。
『坂道のアポロン』のセッションシーンに感動!
千太郎演じる中川大志さん
−試写も楽しくご覧になられたとのことですが、今回の『坂道のアポロン』は知念侑李さん演じる薫と中川大志さん演じる千太郎のジャズセッションのシーンが圧巻ですよね。ご自身もピアノを長くやっていらっしゃったということですが、ご覧になられていかがでしたか?
真野:いや〜鳥肌が立ちましたね。私は本作では楽器を演奏しない役だったので、撮影直前まで別のお仕事をしていましたが、みなさんは撮影に入るだいぶ前から他のお仕事と並行しながら練習をされていたみたいです。
撮影現場で出番を待っていたらピアノの音が聞こえてきたんです。「あ、ピアノの音だ」と思ってのぞいてみたら、知念さんが練習していて!カメラが回っていないところでもすごく練習されているのを見て、「すごい!」と思いましたね。普段、本当に忙しそうなのに、「いつの間にこんなに練習していたの!」と感動しました。
役者という仕事は経験のないこともプロ並にできないといけないことがあるので、プレッシャーもありますよね。でも、そこで挑戦することでできることも増えるのでやっぱり楽しいお仕事です。
−私もセッションシーンはすごく感動しました
真野:手元だけじゃなく、演奏中の気持ちよさそうな表情とかも映っていますからね。ときにはプロの方が助っ人で入ってくれて、手元だけ差し替えることもありますが、『坂道のアポロン』に関しては、みなさん本当に自分たちで演じられているので、そういうところも伝わったらいいなと思っています。
食事が一番のリフレッシュタイム!
−映画やドラマの出演が続いており、3月には写真集も発売とお忙しい毎日かと思いますが、忙しい日々の中で、この時間が幸せだな〜という時間はどんなときですか?
真野:オフの日は食べ物で1日が決まります!「今日は焼肉が食べたい!」「今日は、ビュッフェに行きたい!」「今日は甘いもの!」という感じで、常に「何食べよう?」って考えています(笑)。好きなものを食べて、友だちとおしゃべりするのが、一番のリフレッシュですね。そしたらまた明日からがんばれます。
—最近好きな食べ物やハマっている食べ物はありますか?
真野:焼肉ですね!すごく行きたいんです。ちょっと忙しくなりそうだなというときの前は、お肉で気合を入れるんですよ。もちろん役作りで、食事制限をすることもあるんですけど、お肉を食べればがんばれるというか。「どこのお肉がおいしい」というのをいつも調べています。夜行くと高いので、ランチに行きますね。ランチだったらたくさん食べても大丈夫かなって。
しっかり食べたあとに、カフェに行ってケーキセットとか頼んじゃうんですけどね(笑)。そこで友人とおしゃべりしたら、すごい気分転換になって、明日からがんばれます。
−長い休日があったらやりたいことはありますか?
真野:旅行が好きなので、それこそフランスとか行きたいですね。ヨーロッパがすごく好きです。4年くらい前にひとりでロンドンに1週間行きました。自分でお仕事したお金で海外に行くのが10代の頃からの目標だったんです。英語もまったくできないのに行ったんですけど(笑)。向こうのエンターテイメントに触れたときに、まだまだ自分は小さいなと思ったし、すごく得るものが多かったので、また行きたいなと思っています。
−ひとりで1週間ってすごいですね。
真野:若さゆえの勢いというか(笑)。ロンドンでは『レ・ミゼラブル』などのミュージカルを観たり、観光名所も巡りました。地下鉄に乗ったり、街なかを歩いたりするだけでも刺激をもらいましたね。「あ、ここ入ってみよう!」と思ったお店に入って食事をしたり、「もっとおいしいお店、他にもあったかも…」と失敗したこともいい思い出です。何事も経験だと思ったので、ほとんどノープランで行ったんですよ。言葉がわからなくても、行ってしまえば1週間ひとりで生きていかなきゃいけないので(笑)。
また、そういう旅行に行っていろいろ吸収したいなと思っています。
—いろいろと経験してみよう、吸収しようというモチベーションがすごくあるんですね!
真野:吸収したい気持ちもそうですが、そうやってパーッと遊んだり、気分転換したほうが、気持ちの切り替えができるんですよね。昔はオフの日でも練習しなきゃとか、何か仕事のために見に行かなきゃという気持ちが多かったんですけど、24時間仕事のことだけを考えるのは無理だなと気づいたんです。仕事から離れる時間も大事だし、そういう時間があるからこそまた仕事もがんばれるし、遊ぶ時間のためにも今はがんばろうというメリハリができるんだというのは、ここ2、3年で気づいたことですね。遊ぶことも必要なんだって。
−食べること以外に何か気分転換になることはありますか?
真野:基本的には食べるか、しゃべるかですね!女の子同士だと、なんでこんなに話せるんだろうっていうくらい話していられますよね。気づいたら5〜6時間話していた!なんてこともよくあります(笑)。親友とは本当にずっと話していますね。
休みの日はランチして、カフェに行って、結局日が暮れてそのままディナーして帰ったり。食べて、しゃべってしかいない!みたいな休日ですが、それがすごく楽しいんです。何を話していたかっていうと大したこと話してないんですよね。温泉行きたいね、ハワイ行きたいね、ペット欲しいねとか、夢と妄想の話を延々としています。男性から見たらびっくりするような、何ていうことのない話をしています。
作品をたくさんの人に観てもらえることがしあわせ
−最後になりますが、真野さんにとっての「小さなしあわせ」を教えてください。
真野:仕事の中だと、小さくないんですけど、自分たちが作ってきた作品が多くの方の目に触れた瞬間が幸せです。
たくさんの方が見てくださり、評価を受けたりして、作品が大きくなっていくのがうれしいです。これから『坂道のアポロン』も公開となりますけど、やっとみなさんに観ていただけるので、良くも悪くもいろいろな感想をいただけることが楽しみですね。『坂道のアポロン』をたくさんの人に観ていただき、どんどん大きくなっていけばいいなと思っています。
−プライベートでは?
真野:本当に小さなことですけど、寝るときですね。多少嫌なことがあっても、なんだかんだ寝る前は「今日もいい日だったな〜」と思えることが多いので。夜、すべて終えて寝る瞬間、「明日は明日でがんばろう!」とリセットされるような瞬間が一番しあわせです。
真野さん、素敵なお話どうもありがとうございました!
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