PARISmagが今、気になる方に会いに行き、「小さなしあわせ」のヒントを教えてもらうインタビュー企画。今回のゲストは2月17日全国ロードショーの映画『パンとバスと2度目のハツコイ』に出演する深川麻衣さんです。
2016年に乃木坂46を卒業後、女優としての活動が注目を集める深川さん。映画初出演で初主演となる『パンとバスと2度目のハツコイ』では、パン屋で働く恋愛こじらせ女子・ふみを演じています。
深川さんに映画のこと、乃木坂46卒業後の生活や気持ちの変化、そして日々の「小さなしあわせ」についてお話を伺ってきました。
- 深川麻衣(ふかがわ まい)さん
- 1991年3月29日生まれ、静岡県出身。乃木坂46の1期生として2011年8月に加入。12年8月発売の3rdシングル「走れ!Bicycle」で選抜メンバーに初選出。2016年3月発売14thシングル「ハルジオンが咲く頃」でセンターを務める。同年6月「乃木坂46真夏の全国ツアー2016〜深川麻衣卒業コンサート〜」にてグループを卒業。2017年は、舞台「スキップ」や、ドラマ「世にも奇妙な物語‘17秋の特別編ポニーテール」(17/CX)での主演など女優としての活動で注目を集め、本作が初めての映画出演にして初主演となる。
- Instagram:@ fukagawamai.official
モヤキュンを楽しんで欲しい『パンとバスと2度目のハツコイ』
—もうすでに東京国際映画祭では、1度公開されていますが、間もなく全国ロードショーということで、これから多くのお客さんに観てもらうことになりますが、映画が公開される直前の今の気持ちはどんな気持ちか教えていただけないでしょうか?
深川:観た人がどんな感想を持つんだろう、どういうところに共感するんだろうというのがすごく気になります。時間をたっぷり使って、日常の一部分を切り取ったような映画になっているので。観る人の価値観や恋愛観によって、ふみとたもつの最後も違って見えるんじゃないかな。
年齢や性別によっても、大きく感想がわかれるんじゃないですかね。監督も観たあとの感想がいろいろあってほしいとおっしゃっていました。いい意見も悪い意見も含めて、観た人の感想が聞きたいという気持ち強いですね。
—観る人によっていろいろな感想が生まれそうなので、友人と行って感想で盛り上がれる映画ですよね。
深川:そうですね。ラブストーリーですが、ふみのようにちょっと恋愛に踏み出す勇気が出ない方にもぜひ観ていただきたいですね。この、モヤッとするけどキュンとする「モヤキュン感」を楽しんでもらえたらうれしいです。
©2017映画「パンとバスと2度目のハツコイ」製作委員会
—映画初出演で初主演ということですが、大変だったことはありますか?
深川:今回のこの映画で初出演だったので、ずっと緊張はしていました。でも、今泉監督がすごく和やかな雰囲気の方で、演出も「ここはこうして」と細かく決めきって撮る監督ではないので、本当に監督、出演者、みんなで作っていくといういい空気感の中で撮影することができました。そういう現場だったので、緊張もほぐれやすかったです。
−今回演じたふみは、恋愛をこじらせている女の子でしたが、深川さんご自身に似ている部分、逆にここは全然違うという部分があったら教えてください。
深川:たぶん今泉監督が私の実体験を反映させてくださったんだと思いますけど、静岡出身なところとか、美術を昔やっていたとか、環境が似ている部分はたくさんありました。でも、違うなという部分もありましたね。
ふみはプロポーズされるくらいまで付き合っていたのに、そこで、「その人がずっと自分のことを好きでいてくれるのか」「自分もその人のことをずっと好きでいられるのか」とかを立ち止まって考えちゃってるじゃないですか。私だったら、プロポーズされるぐらいまで付き合っていたら、喜んでプロポーズを受けるかなと思いましたね。でも、自分に自信がないところとかはわかる気もするかな…。
私の場合は、付き合う前の方がそういう不安が大きいんじゃないかなと思いました。まだお互いをあまり知らない段階で、全部自分をさらけ出していいのか探っているようなときのほうが、「嫌われないかな」「ずっと好きでいてくれるかな」と考えちゃうかもしれないですね。
理想のデートはショッピングモール!?
—ふみと片思いの相手たもつ(山下健二郎/三代目J soul brothers)が、ふたりともお酒を飲めないの居酒屋デートするシーンがありますよね。あそこがすごくかわいいなと思ったんですけど、深川さんがデートで行くなら、こういうお店がいいなとか、こういうものを食べたいというのはありますか?
深川:付き合っている月日にもよるかと思うんですけど、イケアとかニトリとか大きなショッピングモールで大きなカートを一緒に押して買い物するのが夢なんです。付き合ったばっかりだったら、最初の方は映画館などですかね。ふみたちみたいに居酒屋さんもいいですね。かしこまったところより、逆にくだけた雰囲気の焼き鳥屋さんなどに行きたいです。
—お菓子を作るシーンがありますが、プライベートでお菓子作りやお料理はしますか?
深川:お菓子はあまり作らないんですけど、自炊するように心がけています。和食が好きなので、ごはんに合うおかずだったり、あと味噌ベースの味が好きなので味噌炒めや鍋を作っています。今の季節は鍋が多いですね。野菜もたくさん食べられるし、お手軽なのでよく作っています。
恋人や好きな人と一緒にお菓子を作ることは、なかなかなさそうですが、鍋の準備を一緒にやるというのも楽しそうですよね。
—楽しそうですね!
今回パン屋さんで働く女の子の話ですがパンはお好きですか?PARISmagでもパン屋さんをいろいろと紹介しているんです!
深川:そうなんですね!パン大好きです!今回、実際のパン屋さんで撮影させていただいたんですけど、パン屋さんって朝も早いし、毎日忙しいので、卵黄の塗り方ひとつにもコツがあるんですよね。そういった部分を店長さんに教えてもらいながら撮影しました。
クロワッサンとかデニッシュ系も好きなんですけど、シンプルで味が主張しすぎないパンも好きです。ちょっとやわらかいバゲットとか白パンとか、シンプルなパンは好きでよく食べています。
©2017映画「パンとバスと2度目のハツコイ」製作委員会
—映画の中でもパンを食べているシーンが何回も出てきますよね。映画を観たあとパンが食べたくなりました。好きなパン屋さんはありますか?
深川:そうですね。観た人はおなかが空くかもしれないですね。好きなパン屋さんはいろいろあるんですけど、1度差し入れでいただいた麻布十番の『ポワンタージュ』のミルクフランスがすっごくおいしかったです!サイズも食べやすくて、何本でも食べられるくらい大好きです。
お休みの日に、無性にパンが食べたくなると、ちょっと足を伸ばして遠くのパン屋さんへ行ったりもします。あとはパン屋さんの香りって反則ですよね。お腹いっぱいでも、香りにつられて、つい立ち寄って、買うつもりなかったのにいっぱい買っちゃったということも多いです。
自由に使える時間の使い方を考えるのが楽しい
—乃木坂46を卒業されて約1年半になりますよね。卒業後と今で生活やお仕事も変わったと思いますが、変わったな〜と思うことはありますか?
深川:グループから完全にひとりになったというのがすごく大きいですね。卒業前も撮影やインタビューなどひとりのお仕事はありましたが、基本はメンバーと一緒の団体だったので。楽屋はもう学校みたいな感じでガヤガヤしているし、一緒にバスで移動したり、常に周りに誰かいる状態なんですよ。
今までは、誰かいるからフォローし合ったり、しゃべるときも役割があったりしたんです。だけど、今はひとりなので自分自身しかいないので、自分を知ってもらうためにはちゃんと自分で思ったことをその場で言葉にするようにしたり、意識を変えていかなきゃいけないと実感しています。
あとは、乃木坂46にいた5年間でついていた、気づかないクセに気づくこともあります。環境もすごく変わったので、時間の使い方も変わりました。
—プライベートの時間の過ごし方も変わりましたか?
深川:そうですね。今までは、ありがたいことに1日1日、スケジュールがぎっしり詰まっていたので、たまにポコッとお休みができても、細かいことをちょこちょこしていると1日が終わってしまうことが多くて…。これをやりたいから資格を取ろうとか、これを見たいからここに行きたいというようなことも考えなかったんですけど、今は環境が変わって、自分の時間が増えたので、「この時間をどう有意義に使っていこうか?」と考える時間が増えました。最初は、それに慣れずにそわそわしていた部分もあったんですけど、今はその時間の使い方にだいぶ慣れてきましたね。
お休みに弾丸で旅行に行ってみたり、友だちと会ったりなど、今までとは違う休日を過ごすことが楽しいです。年末年始も久しぶりに実家に帰って、友だちの赤ちゃんに会いに行くことできました。そういう時間が取れるのが楽しいですし、満喫していますね。
—そういうゆっくりと自分の身の周りに目を向けられる時間って、大事ですよね。今はバランスが取れた生活を過ごされているんですね。
深川:今までは考え方も毎日お仕事、お仕事となっていたんですけど、今は「自分の好きなものってなんだろう」とか、立ち止まって考える機会が増えました。自分が今、お仕事で何がしたいのか、お仕事以外で何に興味があるのかというのに、改めて向き合う機会が増えた感じがします。
何歳になっても趣味とか好きなものとか、興味は常に持っていたいと思うので。2018年は好きなものや知識を増やしていく年にしたいと思っています。
—例えばこれをやってみたいというのはありますか?
深川:お茶が大好きなので、今年はただ好きだけでなくて、ちょっと勉強してみようかなと思っています。あとは、やってみたい習い事もいろいろあるし、絵ももうちょっとちゃんとやってみようかなとか、いろいろあります!
−お仕事で、今後、挑戦してみたいことってありますか?
深川:今度挑戦させてもらう朗読劇もそうですが、声を使うお仕事はいつかやってみたいと思っていました。なので、朗読劇というかたちで、夢がひとつ叶うので、それが楽しみです。最近稽古がはじまったんですけど、聞き取りやすさやトーンなどすごく奥深いですね。悪戦苦闘しています(笑)。今回の朗読劇も含め、今後もいろいろと挑戦してみたいです。
—新しいことにどんどん挑戦していきたいとのこですが、ちょっと怖いな…と尻込みしてしまったりはあまりない方ですか?
深川:ありますよ〜。半々ですね。朗読劇もはじめてなので、来てくれた方が眠くならないかな…とか、すごく怖いし、いろんなことを考えちゃうんですけど、基本的には好奇心が旺盛なので、いろんなことをやってみたいという気持ちは常にあります。なので、楽しさ半分、不安半分という感じですけど、これからもいろいろと挑戦していきたいですね。
おいしいものを食べる瞬間が1番のしあわせ
©2017映画「パンとバスと2度目のハツコイ」製作委員会
—映画が間もなく公開で、そのあとはそのあとはフォトブックも発売、そして朗読劇への挑戦となり、お忙しい毎日かと思いますが、その中で、「小さなしあわせ」を感じる瞬間があったら教えてください。
深川:小さい頃から変わらないことは、食べることですね。食べることが大好きなんです。お仕事の合間にごはんに行ったり、仕事がちょっと早めに終わったら友だちと予定を合わせておいしいものを食べに行きます。おいしいものを食べる瞬間のしあわせは大きいですね。食べ物に興味がないという人ってたまにいると思うんですけど、信じられないです(笑)。
最近、お気に入りのフィルムカメラを見つけたので、それでいろいろ撮るのもハマっています。これで撮ると色合いがあったかくなるんです。ちょこちょこ撮りためて、それを現像に出すときはワクワクしますね。
—どういうものを撮るんですか?
深川:鮮やかなものを撮ると色合いがきれなので、景色だったり、人だったり…。特に「これを撮ろう!」と決めずに、いつも持ち歩いて、気ままに撮っています。スマホで撮ることもありますが、このアナログ感がいいですよね。
—写真だったり、Instagramでアップされているイラストだったり、物づくりがお好きなんですね!
深川:お母さんがもともと物づくりが好きで、大きな木工の棚とかも作っちゃうんです。実家には、お母さんが作った家具が溢れています(笑)。以前、お母さんが絵の教室をやっていたのを近くで見ていたので、その影響なのかもしれないです。
小さい頃はよくチラシの裏とかに絵を描いていましたね。それで絵が好きになったので、高校も美術の学校に進みました。本格的な絵を描く機会は今はなかなかないんですけど、今だにイラストを描いたりするのは好きです。
以前、雑誌の挿絵を描かせてもらうこともできて、すごくうれしかったです。自分の好きなことがお仕事につながっていくのはとてもありがたいことなので、これからも続けて行きたいと思っています。
深川さん、素敵なお話をどうもありがとうございました!
- ■映画情報
- タイトル:パンとバスと2度目のハツコイ
- あらすじ:
- パン屋で働く市井ふみ(深川麻衣)は、「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という独自の結婚観を持っている。付き合っていた彼にプロポーズされたものの、結婚に踏ん切りがつかず別れてしまったふみ。そんなある日、中学時代の初恋相手・湯浅たもつ(山下健二郎)と偶然再会。モヤモヤしながらキュンとする感情を抑え切れないふみだったが、たもつもまた離婚した元妻のことを今でも忘れられずにいた……。
- 出演:深川麻衣、山下健二郎、伊藤沙莉
- 監督・脚本:今泉力哉
- HP:http://www.pan-bus.com/
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