寒い日が続くと、何だかあたたかい食べ物が食べたくなるもの。いつものサンドイッチもいいけれど、こんなに寒い日はアツアツのチーズが溶け出すホットサンドがいいな〜と。今回は、ホットサンド専門店『メイプル』へ行ってきました。
『メイプル』は、品川区中延の商店街を抜けたところにあります。かわいらしい外観が目印です。
テレビ番組で、ホットサンド倶楽部の大林千茱萸(おおばやし ちぐみ)さんのおすすめホットサンドとして紹介されたこともあり、休日は行列ができることも多い名店。
店内はあたたかな雰囲気のヨーロッパの田舎風インテリア。
キッチンでテキパキと働いているのが、店長の柴田さん(左)です。
小学生の頃から自宅にあったバウルー(鉄製のホットサンドトースター)で、ホットサンドをよく作っていたという柴田さん。結婚後、久しぶりに作ったところ旦那さんから好評だったこともあり16年前にホットサンド専門店としてオープンさせました。
名前も具材も個性豊かなメニューが人気の秘密
「オッハーママ」「チキチキトマト」など、思わず目を奪われるネーミングは柴田さんによるもの。常時19種の定番メニューと2種類の季節メニューが楽しめます。
「メニューはどれもまんべんなく人気です。最近はテレビやSNSで紹介されたものが人気となることもありますが、常連さんたちはいつも同じものを頼まれますね。ときどき、違うものを頼んで『こっちもおいしいね』なんて言っていますが(笑)。私は最近『チキチキトマト』が好きです」と柴田さん。
『メイプル』のルーツ、ボンジョルノイタリア
「『ボンジョルノイタリア』は私のルーツとも言えるメニューです。小学校のときに作っていたのがまさにこのレシピと同じ。その後、16〜17歳のときにピザを食べ『私のホットサンドと具材が似てる!』と思ったので、イタリアっぽい名前にしました」と教えてくれました。
さっそくオーダーすると、間もなくパンが焼けチーズの溶けたいい香りが漂ってきます。
パンは地元のパン屋さんが焼いている防腐剤不使用のものを毎朝仕入れて使用
断面からはトロトロのチーズ、トマト、たっぷりのハムがちらり。思い切ってかぶりついて見ると、何層にも重なった薄切りハムと少しシャキシャキとした歯ごたえの残った玉ねぎのバランスが絶妙で繊細な食感。
「ソースはどれも市販のものにアレンジを加え『メイプル』の味にして使用しています。また、『ボンジョルノイタリア』のハムは厚切り1枚ではブリっとした食感になってしまうので、薄いものを幾重にも重ねることで繊細な食感と食べごたえを生み出しています」と、味はもちろん、食感までこだわっているそうです。
メニューはスタッフやお客様に実際に食べてもらい、具材や味、食感のバランス、ソースの絡み方などの調整を何度も重ね完成するとのこと。完成形になるまでに1〜2ヶ月かかることも。
ネーミングセンスと具材の組み合わせが光る季節のメニュー
『メイプル』に来たら、季節のホットサンドも外せません。
取材時は冬のスペシャルホットサンド「シンデレラの馬車」と「木の子の5人家族」がありました。毎年、春夏秋冬同じメニューが巡ってくるので、楽しみにしている常連さんも多いとのこと。
「シンデレラの馬車」というお伽話のタイトルのようなメニューはかぼちゃを使用したホットサンド。「かぼちゃは甘みがあるけれど、少しぼんやりした味わいなのでスパイスの効いた焼ベーコンでアクセントを加えています。また、モソモソとした食感なのでブロッコリーで歯ごたえをプラスしています。ソースは7種の中からチョイスできますよ」と、シンデレラのかぼちゃから、味や食感のバランスで食材がプラスされていく過程がとても興味深い!
「木の子の5人家族」は5つのきのこをソテーしたものと、チーズがサンドされています。こちらのメニューのみソースに「しょうゆ」もチョイスすることができます。ちなみにしょうゆは人気とのこと。
「家族とネーミングがついているので、『トマトソース』はイタリアファミリー、『ホワイトソース』はフランスファミリー、『カレー」はインド人ファミリーがイメージできますよね。だったら、『日本の家族も!』ということで、こちらのメニューのみしょうゆも選べるようにしました」と、またネーミングとメニューの深い関係性を伺うことができました。
「でも、ホットサンドにしょうゆ?」と、不思議に思い実際に食べてみると、しょうゆとチーズのバランスが絶妙!5種のきのこのそれぞれ食感とうまみがたっぷりパンの中に詰まっています。その秘密は車麩。きのこをソテーしたお汁をぎゅっと染み込んでいるので、パンの中でベチャベチャになることなくうまみを堪能することができます。また、きのこだけでは不足しがちな植物性のたんぱく質を補う効果も。
ホットサンドと一緒に、ぜひこだわりのフレーバーティーを。この日は「マスカット」をいただきました
ぎっしり詰まった具材を見た瞬間は、「ボリューム満点で食べられるかな?」と思ったものの、特別に7枚切りにしてもらったという食パンはカリッと焼かれていて軽い触感。あっという間に完食!「2皿食べられる女性も少なくないんですよ」と、柴田さん。(ちなみに、私も2皿ぺろりと完食)
ホットサンドのカリッと焼かれたパンの中には、いろいろな食材の味や食感のバランス、こだわりが詰まっているのなと実感しました。
「テイクアウトもできますが、まずは店内で焼きたてのものを食べてみて欲しいですね」と柴田さん。アットホームな店内でアツアツのホットサンドを食べながら、柴田さんのユーモア&センス溢れるお話を伺うことができ、お店を出る頃には心もあたたかくなったような気がします。
春になると年間で1番人気という「春はうらら」が登場するそうです。まだまだ寒い日が続きそうですが、『メイプル』のホットサンドであたたまりながら、春を待つのもよさそうですね。
※価格は変更となる場合がございます。
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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