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街と子どもたちに育てられた小さなパン屋さん。吉祥寺『fig』

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街と子どもたちに育てられた小さなパン屋さん。吉祥寺『fig』

パリでは「パン屋さんはその街の人たちが作る」と言われているそうですが、今回紹介する『fig(フィグ)』は、まさに街と子どもたちに支えられ、一緒に成長してきたパン屋さん。

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土日は多くの人で混みあう吉祥寺駅から少し離れた住宅街にあるパン屋さんが『fig(フィグ)』です。小学校の通学路にちょこんと佇むかわいらしいお店。

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大きなガラス窓越しに、小ぶりのパンがずらりと並んだ大きなテーブル。その向こうにはピカピカに磨かれたオープンキッチンが広がっています。

「近くにある小学校の児童が学校の帰りに寄ってくれるんです」と店主の秋吉志津さん。自宅のように携帯ゲームをしている子、おしゃべりをしに来る子。いろんな子ども達がやってきて、お店をにぎやかにしてくれるのだとか。臨時休業にした次の日には「昨日休みだったでしょ!大丈夫!?」と、まるで家族のように心配してくれるのだそうです。

 

かわいい常連客たちは、パンのアイデアも提案

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お店の名前でもある「fig」というこのパンは、最初は普通の小さな丸パンでした。お客さんで来ていた小学生が、「先をクルッとつまむとお店のマークみたいになるよ!」と提案してくれたので、そのまま採用。今ではすっかりこの店のアイコン的なパンになったのだとか。

 

コロンとかわいい毎日食べられるパン

「私の店は、“こだわりがないのがこだわり”です」と謙遜する秋吉さん。普通に手に入る素材で、毎日食べて欲しいから値段も手頃に。普段使いのパンが理想なのだとか。

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どのパンもかわいらしいミニサイズ。「パンっていろいろ食べたいけどすぐお腹いっぱいになってしまうから、小さめサイズにしました」とのこと。このサイズが気に入って、たびたび訪れる女性の常連客も多いそう。

数を調整できるから、お腹いっぱい食べたい食いしん坊や男性にも好評で、お寿司のように、ひとつ、もうひとつ…とパクパク。いろんな味をたくさん楽しみたい時にもうれしいサイズなのです。

SONY DSC左:クリームパン。右:パン・オ・レ

お店を出す時に、大好きな「クリームパン」と「カレーパン」は、力を入れようと決めていたという秋吉さん。「クリームパン」は、きめ細かく焼き上げられた生地に、甘さ控えめのクリームがたっぷり入った上品なパン。コロンとしたキューブ型がかわいらしく、おやつや手土産にしても喜ばれそう。小さめのサイズですが、カスタードクリームが惜しみなく詰まって、満足感があります。今では一番人気のパンなのだそう。

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「カレーパン」は、油で揚げていないのでさっぱり食べられるのが特徴。吉祥寺のカレー屋さん『ブルーバード』に分けてもらっているというドライカレーがたくさん詰まっています。ふんわりしたパンの食感とマッチして食べやすく、ランチにもぴったり。

SONY DSC左手前:ベーグル(ボロネーゼ)。右奥:figパン

「figパン」は、柔らかいベーグル生地を使って、お店のロゴであるイチヂクのカタチに仕上げたかわいいパン。かめばかむほどおいしくなる、素朴な味わいが魅力。どんな料理にも合うニュートラルな味なので食事に添えてもおいしくいただけます。

女性には「ベーグル」も人気。「ボロネーゼ」は中に手作りのミートソースを織り込んだ食べ応えのあるパン。ボリュームたっぷりで1つでおなかいっぱいに。

 

ひらめきで作るパンのメニュー

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ボロネーゼ入りのベーグルの他にも、ちょっとひねりの効いたメニューが豊富。商品はひらめきで作ることも多いそうです。例えば「メープルシロップとチーズのパン」は、ある日、本を読みながら「しょっぱいチーズパンに甘いメープルシロップをかけたらおいしいかも!」と思って作った1品。ふわふわのパンと、香ばしいチーズ、優しい香りのメープルシロップが口の中で一体になって不思議なおいしさに!小さな容器に入れたメープルシロップをパカッと開けて、パンにかける瞬間もワクワクする、ときめきまで楽しめるパンです。

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「紅芋あんぱん」も友人が沖縄に旅行した話を聞いて、ふと食べたくなって作ったのだとか。鮮やかな紫色のあんこが詰まった、南国を感じさせるパンです。

その他、冬には、香りの良さとさつまいもの素朴な食感が優しい「さつまいもとアールグレイ」。夏の初めには、お肉がガツンと味わえる「豚肉と夏野菜のパン粉焼きパン」などが人気だったそう。今はこれから秋に向けての新レシピを考え中なんだとか。

 

街と子どもと一緒に成長できる店

パン屋さんをオープンする前は、お花屋さんや事務職員、介護職員など何度も転職を繰り返していたという秋吉さん。その中で、小さい頃、もの作りに憧れていたことを思い出し、得意なパン作りを活かしてパン屋さんをオープン。

SONY DSCひとりでお店を切り盛りする店主の秋吉志津さん

お店の運営には事務の知識が欠かせません。重い小麦の袋を抱える時は、花屋さんで大きな植木鉢を運んだ経験が役に立ちました。年配のお客様がお店に寄ってくださる時は、いたわりの言葉をかけると喜ばれます。たくさんの転職をしてきたけれど、パン屋さんを始めてからはすべてがひとつにつながったと思えたのだとか。

最近は、人生に無駄な経験などないと実感することも多く、充実した毎日を送っているそうです。

『fig』はこの夏でオープンして5周年。「続けられたのは、常連さんに恵まれたおかげです」と秋吉さんは言います。小さな常連さん含め、街の人たちに愛されているのは秋吉さんの人柄があってこそ。今後も街の人たちや子どもたちとの交流の中で、どんなパンが生まれてくるのかが楽しみなパン屋さんです。

 

  • ■ お店情報
  • fig(フィグ)
  • 住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町3-21-10(地図
  • 営業時間:11:00~19:00 ※売り切れ次第終了)
  • 定休日:月・木曜日(祝日の場合は営業します。 平日に振替休業あり。)
  • ※記事の内容は取材当時のものです。

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