ビジネスビルが立ち並ぶ赤坂の喧騒を抜けた静かな場所にあるホットケーキパーラー『Fru-Full(フルフル)』。
2012年、ファンに惜しまれつつ閉店した果物専門店『神田万惣』の職人さんたちが集まってオープンしたお店です。
店に入ると、カウンターの奥にはパンケーキを焼く銅板。手前には食べ頃のフルーツがぎっしり詰まったショーケース。明るい照明がフルーツを照らし、食欲を刺激します。
隠れた名品「フルーツサンドイッチ」
万惣時代から味を引き継いだパンケーキは行列ができるほど人気ですが、隠れた名品が「フルーツサンドイッチ」。最近のパンブームを受けて、昨年冬からメディアなどでも取り上げられるようになったんだそう。
三角形の端正なルックス。真っ白なパンとホイップクリームに色とりどりの果物で彩りを添えて。三角形の頂点には滑らかな舌触りのパパイヤ。サイドには濃厚なバナナが続き、最後にイチゴのキリッとした酸味が訪れます。別のピースでは、バナナに代わり甘酸っぱいキウイの爽やかな余韻が。
中の果物は、果汁が少ないものを中心に4種類。水分が多いとクリームが溶けてグズグズになってしまうので、万惣時代からずっと変わらずこのラインナップなのだそうです。
特に、いちごは夏でも国産にこだわり、今の季節は長野県の紅ほっぺという品種を使用。昔からお付き合いのある長野の農家から直接仕入れているとか。
まず目に入るのは、鮮やかなカット面。包丁をあたためて、クリームを溶かしながら切ると断面がつるりときれいになるのだそう。
フルーツ本来のおいしさをたっぷり味わってもらいたいという思いから、大胆にカットするのも特徴。三角形のどの面からも果物がきれいに見えるように、職人が緻密なバランスで仕上げています。
あっさりした味わいのホイップクリームはシュワっとはかない口どけ。ジューシーなフルーツと調和して、軽く一皿ペロリとたいらげてしまいます。クリームは動物性と植物性のミックス。フルーツの味を引き立てたいから甘さは控えめに。
ほのかな甘みと軽やかな食感が特徴の角食は、大手ホテルや老舗レストランが使う大手のパン屋さん『サンワローラン』から取り寄せているそうです。
フルーツとクリームを挟んで30分〜1時間程度休ませ、味を落ち着かせてから提供するので、クリームとパンがしっとり馴染んだ一番おいしいタイミングでいただくことができます。
持ち帰りもできますが、美しい断面を楽しみながらお店で楽しむのがおすすめ。フルーツの繊細な味わいを引き立てる紅茶はインドから取り寄せたもの。ホットでいただくと一番相性が良いそうです。
目利き直伝!果物選びの秘訣
『フルフル』代表の川島さんは、フルーツの目利き。感触や色で食べ頃かどうか判断できるのだそう。特別に私たちにも分かる簡単な見分け方を教えてもらいました。
パパイヤは色がオレンジがかってくると食べ頃。持ったときにふわっと柔らかいと甘く熟している証拠だそうです。
キウイは机の上に置いた時、ヘタの方から見て楕円形に近い形の方が甘いのだそうです。これは木になっている時に、根元の方が楕円になるからなのだとか。根元にある果実により栄養が行き渡たるので、より甘みを感じるようです。
いちごは真っ赤に色づいているのもの方が、甘くおいしいように思いがちですが、実は熟れすぎ。甘みが強すぎて、いちご本来の味がボケてしまうのだそう。色が少し白っぽいものを選ぶと、酸味が効いてバランスが良いようです。
バナナは、掴んだときにふっくら丸い方がおいしい証拠。まっすぐか曲がっているかは、味には特に関係ないそう。
また、果物は冷蔵庫に入れがちですが、常温で保存するのが基本。リビングや台所よりも、玄関先など温度変化が少ない場所に置くのがコツなのだとか。
老舗スイーツの懐の深さに夢中
目利きが厳選したとびきり上質なフルーツがこだわりのパンとクリームと調和すると「フルーツってこんなにおいしかったの!」という魅力を再認識することができます。自宅では再現できない豊かな味わいに、優雅な気持ちに包まれるはず。
フルーツサンドイッチはテイクアウト可能。おもたせにぴったり。
熟練の技が引き出すフルーツの魅力にすっかり夢中になってしまうパーラーです。
- ■ お店情報
- ホットケーキパーラー Fru-Full(フルフル)
- 住所:東京都港区赤坂2-17-52 パラッツオ赤坂 1F
- 電話:03-3583-2425
- 営業時間:平日 11:00〜19:00
- 土日・祝日 11:00〜18:30
- 定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌火曜日)
- ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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