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    フランスのレース装飾を学べる!カレーの「国際レース・モードセンター」へ

    フランス北部に位置するCalais(カレー)という街をご存知でしょうか?パリから電車で2時間半ほどの街で、北のベルギーとの国境線、そしてドーバー海峡に面したところにあります。

    ロダンの有名な彫刻、『カレーの市民』という作品でご存知な方も多いと思いますが、今日は、もうひとつのカレーの顔であるレース装飾についてお話しましょう。

    カレー市庁舎前に置かれているロダンの傑作 『カレーの市民』の彫刻

    カレーは、レース生産で世界的に有名で、フランスはもちろんのこと全世界に輸出されています。1830年頃、イギリスから持ち込まれたレースの織り機はシンプルなチュール地織りができるものでしたが、そこにリヨンの絹織物で有名なジャガード織りの技術を加えることに成功し、現在に近いモチーフ織りを機械化することができたといいます。

     

    斬新の建築が目を引く国際・レース・センター

    そんなレースの歴史を持つカレーに、『国際・レース・センター (Cité dentelle mode Calais)』があります。

    19世紀までレース生産が行われていた工場後に建てられた現代的な外観は、斬新でありながらエレガントで美しく、見つけたときは驚きで足を止めるほどのインパクト!ガラス張りの外観には、よく見るとジャガード織のパンチカードのモチーフが描かれています。

    総面積2500㎡という規模の展示スペースには、レースの歴史から150年前から使われている機械のデモンストレーションまで、大変充実の展示が配置されています。

     

    フランスのレースの歴史を知れる展示

    レースの歴史を学べるコーナー

    15世紀頃にオランダ、ベルギーの西部、フランスの北部一帯としたフランドル地方やイタリアのヴェネツィアで、女性達の趣味やお小遣い稼ぎとして「ボビンレース」などの手織りレースが盛んに行なわれていたそうですが、15世紀末から16世紀初頭にかけて、ヴェネツィアのレースがフランスの貴族の中でもてはやされ、レースの需要が高まったといいます。そのため、高額のレース購入費がフランスからイタリアへ流れたために、フランスは何度となく王侯貴族以外のレース使用が禁止されたほど!そんな歴史もあり、レースは『布の宝石』と例えられることもあるのだそう。

    こちらはヴェネツィアの「グロ・ポワン」と言われる技法。立体的で重厚感あるスタイルで、主に男性が使っていたとか。フランス国王ルイ14世が愛したと言われ、彼の肖像画にも描かれています。

    その後、イタリアから職人を呼び、フランスでも国営のレース製造所を作り、「ポワン・ド・フランス」と呼ばれるフランススタイルのレースが作られるようになりました。

    マリー・アントワネットがこよなく愛したという「ポワン・ド・フランス」。イタリアの「グロ・ポワン」が男性的であったのに比べ、繊細で透明感があり、可憐な印象です。

    フランスの柄は、繊細で左右対称なモチーフが多く、上に伸びるようなデザインが多いとか。これがフランスの見つけた独自のスタイルなのですね!

    こちらが「ボビンレース」です。ボビンの数が多い分、糸の本数が多く、複雑で大きなレースができるのですね。上質な麻が取れたことから、フランス北部のフランドル地方で盛んに生産されるようになりました。カレー市もかつてのフランドル地方に入りますから、まさにレースが発達する条件が揃っていたのですね!

     

    産業革命で劇的に進化したレースの製造

    産業革命後のレース織機

    こちらが、今でも稼働し続けるレース織機です。

    150年の歴史の中で改良が加えられ、1時間に2mも織ることができるようになり、用途が下着やプレタ・ポルテにも広がるようになっていきました。

    これを手で作っていたら4000人分の労力というから、気が遠くなりますね…。と同時に、手織りしかなかった時代のレースが、いかに貴重なものであったかがわかりますね!

     

    レースの編み機がすごい!

    縦糸と横糸への情報がこのパンチカードに刻んであり、それに合わせてモチーフができるそうです。

    今ではカレーのレースは、最高技術のレースとして生産量の80%近くを世界中に輸出しているそうです。世界のレース総生産量の75%あまりは、中国を中心とした人件費の少ない地域で生産されている中で、残りの生産量のほとんどはカレー産だと言いますから、フランスの誇る産業ということが理解できます。

    この『国際レース・センター』は、毎日デモンストレーションを見ることもでき、レースを知ることのできる素晴らしい博物館です。ぜひ、足を運んでみてくださいね。

    次回は、ここで開催されていたジヴァンシー展のお話をしたいと思います。

     

     

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