絵本に登場していた料理やお菓子を、「大人になった今でも覚えている」という人も多いでしょう。中でも「こまったさんシリーズ」は、世代を超えて読まれているロングセラーのお料理童話。ユニークで不思議な物語を読んでいくうちに、料理のコツやレシピがわかってしまうというストーリー展開がおもしろく、とっても魅力的。
そんな「こまったさん」の料理がレシピブックになって登場!憧れの“あの料理”を家庭で再現してみてはいかがでしょうか?
「こまったわ」が口ぐせのこまったさんの魅力的な料理の数々
駅前の小さな花屋さんを営むこまったさんの口癖は「こまったわ」。ふわふわの黒髪に大きなリボン、作品ごとに変わるキュートなエプロンがトレードマークの女の子です。
「こまったさんシリーズ」では、不思議な世界に迷い込んだこまったさんが、ある時にはアフリカゾウから、またある時には魔女のおばあさんなど、ユニークなキャラクターたちから料理の手順やコツを教えてもらい、料理を完成させていきます。こまったさんの口癖をマネする「きゅうかんちょうのムノくん」も時折こまったさんに料理のアドバイスをくれる重要なキャラクターです。
「オイルはたっぷり トクトク入れて たまねぎいためて あまみを出して…」
物語の中の料理のシーンでは、登場人物たちが歌うようにテンポよく料理の手順やポイントを教えてくれます。魔法の呪文のようなその文章にすっかり魅了された幼い頃の私は、「どんな料理が出来上がるのだろう、どんな味がするのだろう」とドキドキワクワクしながらページをめくっていたのを覚えています。
「こまったさんシリーズ」の作者は、「ぼくは王さまシリーズ」でもお馴染みの寺村輝夫さん。1982年に発行されたシリーズ1作目「こまったさんのスパゲティ」から、1990年発行のシリーズ10作目「こまったさんのシチュー」まで、10種類のメニューを不思議で楽しい世界観で紹介してくれました。1作目の発行から38年経った現在も、世代を超えて愛されているロングセラー童話です。
下準備や分量まで詳細に説明。ファンにも嬉しい再現料理が家庭でも!
『こまったさんのレシピブック』では、フードディレクターのさわのめぐみさんがアレンジを加えながら、シリーズに登場するメニューを厳選して再現。使う材料や分量、手順を写真と文章でわかりやすく説明し、「憧れのあの料理」を家庭で作れるようになりました。
巻頭にはトマトの湯むきやジャガイモのアク抜き、玉ねぎのみじん切りの「下準備」のコツも紹介され、サラダやサンドイッチなど、親子で楽しみながら作れるレシピがたくさん!中には鶏ガラを煮出してラーメンスープを作る本格的なものまで多彩なメニューが紹介されています。
本書ではページのあちこちに、こまったさんのかわいイラストが掲載され、まるでこまったさんと一緒に作っているような気分になります。巻末には絵本作家の岡本颯子さんの描き下ろしイラストも…!ファンにもうれしい充実の1冊です。
「懐かしい!」「楽しい!」「おいしい!」が詰まったレシピブック。料理を作る前に「こまったさんシリーズ」を読み返せば、作った料理がより美味しく感じられるに違いありません。
- ■書籍情報
- 書名:こまったさんのレシピブック
- レシピ原案:寺村輝夫、絵:岡本颯子、レシピ監修:さわのめぐみ
- 出版元:あかね書房
■一緒に読みたい記事
旅の思い出も反映された果物を使ったレシピ集。細川亜衣さんの『果実』