モデルにブロガー、ときにはツイッターの先生、インフルエンサーなど、時代とともに様々なことに挑戦してきたメディア・アイコンまつゆう*さん。3月に『まつゆう*をつくる38の事柄』を出版されたということで、著書についてはもちろん、お仕事のことやパリの思い出、ファッションのこと、日々のことについてお話を伺ってきました。
まつゆう*
東京生まれ、渋谷育ち。モデルとして1993年より活動開始。
1998年から独自の“かわいいカルチャー”情報をウェブで発信。TwitterやLINE、Instagram 等を紹介する著書や全編 iPhone で撮影された写真集を発表する一方で、国内外で影響力の高いブロガーとして数多くのメゾンやブ ランドをクライアントに持ち、WEB、ブログや SNS、TVCM や雑誌など多方面のメディアで、 形にとらわれない新ジャンル”media icon(メディア・アイコン)”として活躍中。2012 年『イ ヴ・サンローラン・ボーテ』にて「世界の女子ブロガー11 人」に唯一のアジア人で選出。仏campaygn.com では 2016 年『ファッション・ビューティにフォーカスしたクリエイティブな アジア人ブロガー10 人』に選ばれる。Web 黎明期より現在まで世界でも注目される東京のブロガーでもあり、影響力の高いインフルエンサーとしても圧倒的な支持を集める。
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『まつゆう*をつくる38の事柄』について
—今回初めてのエッセイ本『まつゆう*をつくる38の事柄』を作られたきっかけを教えてください。
まつゆう*さん(以下、まつゆう*):私、今年芸歴24年目になるんです。はじめは本名「松丸祐子」としてモデルから始まって、その後はCMモデル、クリエイター、ウェブサービスのプロデューサー、ブロガー、Twitter有名人、最近はインスタグラマーやインフルエンサーなど時流の流れや流行によっていろんなお仕事を経験してきたんです。
—すごく、いろんなことをされてきていますよね。
まつゆう*:その中で、昔から知っている方や今しか知らない方、途中しか知らない方など、みんなに「一体どうやって『松丸祐子』という女の子が『まつゆう*』になったのか?」ということをぜひ知っていただけたらなと思ったんです。
今だと、インフルエンサーというイメージがあると思うんですが、実際は表舞台から裏方も経験して、それでもう1回戻ってきたという歴史があったりとか。それを知った上で、「まつゆう*ってこんな人だよ、こういう考えを持っているんだよ」というのをみんなに知ってもらえたらと思ったんです。
私自身、上も下もすごく年の離れた人たちと仲良くさせてもらっていて、どちらからも学ぶことがあるし、逆に私の考えに共感してもらうこともある。年齢にかかわらず、私の考えることとか経歴とかを知ってもらって、そこからまたたくさんの人とつながってけたらいいなという第一歩として、本を書くのがいちばん早いと思って書きました。
—なるほど。本を読んでいて、「htmlコードもわからないけどホームページを作る、ウェブマガジンを作る!」など、いろんなことに対してすごい熱量を持っていて驚きました。そのモチベーションはどこから来るのでしょう?
まつゆう*:「自分の作ったものを人に見てほしい!」というところから最初はスタートしているんです。モデルのお仕事などを通して、周りにいるいろんなクリエイターの人たちと仲良くなっていくうちに、「私もなにかものを作る人になりたい」と思うようになりました。ものを作るようになってからは「見てほしい」という欲求も出てきて。フリーペーパーにしようかなとか、いろいろ悩んだ結果、ホームページやウェブマガジンというかたちにたどり着いたんです。
—そうだったんですね、周りの反応はいかがでしたか?
まつゆう*:とても喜んでくれました。自分が共有した情報を読んで「楽しい」、「教えてくれてありがとう!」って言ってもらえて、読んでくれた人も私もすごくハッピーになれたんです。造語で「しあわシェア」と呼んでいるんですけど、自分が発信したことで誰かひとりでもハッピーになってもらえたらということが、私の活動の根源になっています。
大好きなフランス・パリの思い出
—初めての海外のお仕事がフランスだったそうですね。パリにはもともと興味があったのでしょうか?
まつゆう*:パリは本当に大好きです。17、18歳くらいの時からフランス映画にすごく憧れて、フレンチミュージックもすごく好きです。パリジェンヌになりたかったし、フランス人として生まれたかった!
—本当にフランスやパリが好きなんですね!プライベートでもパリへ行くのでしょうか?
まつゆう*:3回目くらいまではプライベートで、4回目以降がお仕事でしたね。3、4年くらい前にお仕事でフランス観光機構さんから「フランスへ行ってみた!」というムービーのお仕事をいただいたんです。それでカメラマンとディレクターと3人で、フランスのニース、南仏に10日間くらい行きましたね。遺跡やマルシェを巡り、本当にいろんなところに連れて行ってもらいました!ムービーのお仕事がすごく好きなのでとても楽しかったです。
—パリで印象に残っている場所はありますか?
まつゆう*:ベルサイユ宮殿ですね!実は、ベルサイユ宮殿にはカスタマイズツアーというのがあるんですが、その中でもすごくおすすめなのがマリーアントワネットの秘密の部屋を見学できるツアーです。マリーの隠し部屋があって、本棚になっているドアの奥へ行くと、マリーが1人で本を読んで過ごしたりした部屋やお風呂があるんですよ。
首飾り事件のレプリカもその部屋の中に飾ってあるんですが、「こんなに素敵なのにどうして外に飾らないんですか?」と尋ねると、「なんででしょうね〜」みたいな感じで(笑)。それもフランス人らしいですよね。
ツアーでは、マリーとルイの結婚式のお祝いでお父様が作ったオペラ座も見ることができたのですが、本当に全部の装飾がきれいでした。当時の王様が座った席にも座らせてもらって、ちょっぴり王様気分を味わえました。
マリーアントワネットの「王妃の寝室」の内側に実は外へ向けて出れる扉があるのです。そこから扉を開けると沢山の観光客のみなさん!ベッドの横にちらっと出れるんですよ。「みなさん、内側から?なんで?」って、本当にレアな体験でした。マリーがこっそり逃げ出した廊下とか階段を見ることができるので、想像を巡らせながら楽しみましたね。
理想の女性像・パリジェンヌへの憧れ
—パリジェンヌへの憧れがあるとおっしゃっていましたが、どんなところに憧れるのでしょうか?
まつゆう*:パリジェンヌの無造作な感じが好きですね。適当という言葉が当てはまるのかわからないですけど、髪の毛は洗いっぱなしとか(笑)。あと、ジェーン・バーキンとシャルロット・ゲンズブールの親子がすごく好きで、バーキンのように金髪のロングにしたり、シャルロットみたいに茶髪のロングにしてみたり一時期はよく真似していました。
—たしかに、まつゆう*さんは金髪ロングのイメージがあります。その2人が理想像なのでしょうか?
まつゆう*:憧れの女性像はバーキンですが、「ママはこんなにかわいいのに私なんて」と、ちょっと劣等感があるシャルロットも大好きです。2人とも、すごく元気だし明るいけれど、影も見えつつ、それでも仕事には一生懸命だし、子育てもがんばる、というのがすごく憧れています。ああいう人になりたい!というか、もう少し早く生まれて同じ時代に生きたかったくらいです。
—映画や音楽もその時代のものが好きなんですか?
まつゆう*:やっぱり当時の映画が好きです。ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、あとはセルジュ・ゲンズブールの作品などですね。話がおもしろいかどうかよりもビジュアルと音楽の部分ですごく惹かれます。アンナ・カリーナや日本だと加賀まりこさんも大好きです。コケティッシュだったり、ファニーフェイスだったり、ユニークだったり。「私は私」という思いが強いのがパリジェンヌっぽくてすごく好きです。
—『まつゆう*をつくる38の事柄』を読んでいても、まつゆう*さんがパリジェンヌに通じるところがいっぱいあるなと思いました。
まつゆう*:そういう方々に憧れて映画を見たり、パリに行って自分で体感したりしていたからかもしれませんね。フランス人の友達もすごく多くて、彼らと遊んだり、仲良くしてもらったりしているうちに、みんなが私をパリジェンヌ風に育ててくれたんだと思います。
—たとえばコンプレックスをポジティブに変換したり、「私は私」と受け入れたりというのは、なかなかできないことだと思うんです。でもそれをまつゆう*さんは体現されていますよね。
まつゆう*:私もはじめはコンプレックスだらけでした。母と妹は美人系で、子どもの頃から「お姉ちゃんはユニークな顔立ちだよね」と言われてきていたので、「アヒル口」と呼んでいただいた口もはじめは嫌でした。
でも自分が歳を重ねて、いろいろと経験を積んでいくうちに、年齢不詳と言われるようになったんです。若く見えるではなくて、何歳かよくわからないと。そう言ってもらうようになって、年齢は本当に番号でしかないんだなって考えるようになったんです。そうすると、自然と自分の顔もどんどん好きにんなっていきました。ある日突然、「同じ顔がいないってすごくいいんじゃない?」って思えたんです。
映画から学ぶファッションのこだわり
—髪型もそうですが、洋服やファッションは何が影響を与えたのでしょうか?
まつゆう*:もう完全に映画の影響です。私、ファッションが詳しいと思われがちなんですが、そんなことはないんです。どちらかというと、周りにいるプロフェッショナルの方々にいつも教えてもらっています。本当に日々勉強ですね。ただ、私のファッションのソースになっているのは全部映画です。映画を見るとヒロインの髪型やメイク、洋服などの真似をしたくなるんですよね。だから、なにかの映画にはまるとその映画のヒロインの洋服みたいなものでクローゼットにいっぱいになってしまいます。
それ以外のときは、今日みたいなコットンのシャツやTシャツに、バギーデニムかスキニーデニム、足元はバレエシューズというのが多いですね。
—まさにパリジェンヌのようなファッションですね。まつゆう*さんのファッションのこだわりを教えてください。
まつゆう*:一番は着やすいことですね。動きやすくてきれい目に見えることと、あとはなんだかんだ言っても、やっぱりパリジェンヌが好きなので、気がつくとパリジェンヌ風になっています。
友人たちが日常とパリとつないでくれる
—まつゆう*さんはどうやってパリやフランスの情報を集めているのでしょうか?
まつゆう*:親友がフランスに彼氏がいるゲイの男の子なんです。彼がすごくファッションに詳しいので、いつもその子に教えてもらっています。彼はフランス語も英語も話せるので友達が多くて、彼の紹介でフランス人の友達がすごく増えました。だからフランスに行くとその友達みんなでお茶したり、逆にパリからみんなが東京に来ると一緒に遊ぶんです。彼のおかげでパリの情報もどんどん入ってきますし、いつもパリとつながっている感じがします。
これから挑戦したいこと
—今までもいろんなことに挑戦されてきたまつゆう*さんですが、これから挑戦してみたいことを教えてください。
まつゆう*:そうですね…。本を書いてみてやっぱり動画が好きだなということを実感したんです。もともとムービーのお仕事もしていたので、原点回帰じゃないですけど、改めてやってみたいなって思っています。あとは、お仕事や友達を通じて海外の人たちとも仲良くなれたので、またタイミングが合えばパリの方々ともお仕事をしたいですね。しょっちゅうパリに行っている人という感じになれたらいいなと思います。
まつゆう*さんありがとうございました!
- ■書籍情報
- まつゆう*をつくる38の事柄
- 著者:まつゆう*
- 出版社:光文社
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