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    高円寺『JULES VERNE COFFEE』で出会った、自家焙煎コーヒーと萌え断すぎるフルーツサンド

    中央線沿線は大正時代より多くの文豪が居を構えたエリアで、その影響か喫茶店文化が根付いています。今回訪れるお店は、高円寺と阿佐ヶ谷のちょうど真ん中にあるコーヒーショップ。自家焙煎のコーヒーはもちろんのこと、その断面が惚れ惚れするほど美しいフルーツサンドが話題を呼んでいます。

    奥様の亜希子さん。彰一さんは奥でフルーツサンドをカット中

    どんなきっかけでそのフルーツサンドは誕生したのでしょうか? 店主の小山彰一さんと亜希子さんご夫妻にお話をうかがいました!

     

    “何もしない”をしに行くコーヒー屋さん

    杉並の住宅街にあるとは思えないくらいのどかな雰囲気

    飲み屋やライブハウスがひしめく高円寺駅。その高架下をずっと西側に進むと、芝生が美しい広場がありました。ここはもともとJR東日本の社宅で、現在は『アールリエット高円寺』というリノベーション賃貸マンションになっています。

    ものづくりのアトリエとしても使える土間付きの住居やファミリー向けのお部屋など特徴のある物件が魅力で、1階部分には数件店舗があり、その一角に目的地である『JULES VERNE COFFEE(ジュールヴェルヌコーヒー)』があります。

    店名の“JULES VERNE”は、SFの父と呼ばれているフランス人作家の名前からとったもの。彰一さんはヴェルヌ作品が好きでこの名前を看板にしたのだそう。なるほど、店内には地図や地球儀など冒険ぽいアイテムや、宇宙に関する本であふれています。

    もちろんヴェルヌ作品もあります!

    「ヴェルヌは『月世界旅行』などを執筆した作家ですが、現代の人たちにもヴェルヌ作品のような冒険の心を忘れないで欲しいんです。ここでは頭の中の想像力だけで空想する時間を過ごして欲しい。だから電源もWi-Fiもありません。お客様にはよく聞かれるんですけどね(笑)」と彰一さん。

    壁際の席はひとりでも過ごしやすい特等席

    本を読んだり、考え事をして欲しいからこそ、最近お店のレイアウトを変えたといいます。

    「壁に向かって座れる席を新しく作りました。そこで1人の時間を楽しんで欲しいです」と彰一さんが教えてくれた席に座ると、静かで心地よい空気が流れています。休日の昼下がりにここで読書をしたら、贅沢な時間が過ごせそうです。

    このお店がオープンしたのは2017年8月、それまでは茨城県つくば市で『太陽と月の珈琲』という名のコーヒーショップをやっていた小山さんご夫妻。そのお店は目の前が田んぼで、コーヒーを飲みつつ移り行く景色を眺めるには最高のロケーションだったそう。その環境を彷彿とさせるように、こちらのお店の前にある芝生が青く茂っていました。取材の途中ふと窓の外を見ると、小さな男の子がパパとかけっこをしていて、思わずほっこり。

     

    三位一体の素材が織りなすフルーツサンド

    『JULES VERNE COFFEE』が注目されるきっかけになったのが、旬のフルーツで作られるフルーツサンドです。

    「つくば時代からフルーツを使ったスイーツを作りたかったんです」というのは奥さんの亜希子さん。生のフルーツでかき氷をメニューにすることは決まっていたそうですが、夏以外にも食べられるメニューはないかと考えたところフルーツサンドを思いついたのだとか。

    「フルーツは高円寺の八百屋さんと相談して、その季節にぴったりなものを選んでいます。組み合わせはその時によって変わるので、毎週ちょっとずつ違うフルーツサンドになるんです」と亜希子さん。毎回違うフルーツサンドに出会えるのも楽しみですね。

    そして、フルーツのおいしさを引き立ててくれるのが、甘さを押さえた生クリームとふんわりとした食パン。この食パンに辿り着くまでに、たくさんの食パンを試食したそうです。どこの食パンを使っているかは企業秘密だそうですが、耳まで柔らかく生クリームと一緒に口に含んだときに渾然一体となります。生クリームはフルーツとの相性を考え高脂肪のものをセレクトし、砂糖の量は控えめです。

    計算され彩りも美しい断面。フルーツサンドをカットするのは彰一さんの仕事

    「食材を丁寧に扱えば必ずおいしくなるんです」と亜希子さんは教えてくれました。そしてこのフルーツサンドをさらに魅力的にみせてくれるのが、三角形のかわいらしいフォルムと美しい断面です。フルーツはキレイに見えるように配置され、食パン・生クリーム・フルーツが見事にカットされています。

    食器は亜希子さんがセレクトした益子焼

    ひと口に口に含むと、ふわふわの食感と生クリームのコク、フルーツの酸味と香りが絶妙なバランスで溶け合いました。フルーツサンドは人気&数量限定のため、オープン前の10時半頃に店頭に出される「予約順番表」に記入することがおすすめ!

     

    スペシャリストが焙煎するマニアックすぎないコーヒー

    フルーツサンドが注目されていますが、本来は自家焙煎コーヒーのお店。彰一さんは都内のロースタリーで経験を積み、日本スペシャルティコーヒー協会主催の大会で優勝したコーヒーのスペシャリスト。そんな小山さんが作るコーヒーのコンセプトは“普段の味で高品質”。クセがなく毎日飲んでも飽きないコーヒーを目指しているのだそう。

    「最近は本当に詳しいお客さんもいらっしゃるんですけど、僕のコーヒーは勉強していない人でもおいしいと思ってもらえるようにしたいんです。軽い飲み口だけど、酸味は少なめで、飲みやすさを追求しました」。

    小山さんの相棒・ギーセン社製の焙煎機

    オランダ・ギーセン社製の焙煎機で毎日焙煎しているので、いつでもフレッシュなコーヒーをいただけます。

    お店ではブレンド3種と、シングルオリジンを5種販売しており、コーヒー豆を購入した方には、違うコーヒーを1杯サービスしてくれます。そこからまた新しいコーヒーと出会える、ちょっとした心遣いもうれしいですね。

    今回は、おすすめの「時のブレンド」と「コスタリカ ウォッシュト」をフルーツサンドと一緒にいただきました。

    ※現在フルーツサンド提供時は、ドリップコーヒーは本日のドリップコーヒーと1種類のみとなります(フルーツサンド完売後はいろいろなコーヒーを選ぶことができます)。

    1杯1杯丁寧にハンドドリップされたコーヒー

    「時のブレンド」は小山さんがおっしゃっていたように、クセと酸味が少なくコーヒー初心者の方でも飲みやすい1杯。モーニングコーヒーにもおすすめです。一方の「コスタリカ ウォッシュト」はナッツのような香ばしさが特徴。甘いスイーツとのペアリングで、お互いのよさを引き立てあいます。

    おいしいコーヒーとかわいいフルーツサンド、それだけでも幸せですが、小山夫妻の笑顔がとても素敵でこのお店の雰囲気を朗らかにしていました。「このお店で自分自身を充電して欲しい」という小山さんの言葉通り、この空間では忙しい毎日からちょっとだけ解放されそうです。平日にお休みが取れたら、ぜひ『JULES VERNE COFFEE』で贅沢な時間を過ごしてみてください。

     

    ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

     

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