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    高級クリスタルを生んだロレーヌ地方の村・バカラへショートトリップ

    高級ガラス製品といえば、フランスを代表するクリスタルブランド『BACCARAT(バカラ)』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。その名前の由来が、工場のある村の名前だということをご存知でしたか?

    今回は、世界有数のクリスタルブランドを生んだバカラ村を紹介します。

     

    アルザス・ロレーヌ地方の村、バカラ

    バカラ村を目指すには、まずパリからTGVで2時間半ほど、アルザス・ロレーヌ地方の玄関口であり、アールヌーボーの街としても知られるナンシーへ向かいます。

    ナンシーからレンタカーに乗り込み南東へ50kmほど走ったところにバカラ村があります。

     

    クリスタルの一大産地バカラ

    バカラは人口5000人程度の小さな町。 観光案内所に立ち寄ると、まずは市役所へ行くのがおすすめとのこと。

    普段は結婚式などに使われるというこの部屋にある大きな3つのシャンデリアと壁に付けられたランプもすべてバカラ社のクリスタルなのだそう!

    部屋が使用されていないタイミングなら無料で見学も可能です。

    次は、市役所からすぐのところにあるサン・レミ教会へ。ムルト川沿いにあり、お散歩にも気持ちがいい場所です。

    とても斬新なデザインの建物は、第二次世界大戦の戦火で破壊された教会の跡地に1953年、建築家Nicokas  NAZIS(ニコラ・ナズィ)によって建てられたもの。

    中に入ると、素晴らしい色の世界!思わず絶句!

    まるで虹かプリズムの中にいるような色の世界が広がっていました。

    ここのステンドグラスにもバカラのクリスタルが使用されています。なんと150もの色のクリスタルが20000個も使われているのだとか!

    礼拝堂にもクリスタルを使った装飾がありました。こちらは右側の礼拝堂の部分。聖人をモチーフにしているのでしょうか。50年代のアールデコを感じさせるデザインが特徴的。

    グラフィカルな薔薇窓もありました。

    フランスで代表的なゴシック建築とは違い、シンプルでありながらも、デザイン性がとても高くて、じっくり楽しめます。

     

    バカラのクリスタルをもっと深く知れる美術館

    ムルト川にかかる橋を渡り、対岸に行くと、そこにはクリスタル村が広がっていました。メインストリートに並ぶ店は、多くのクリスタルを扱うお店といくつかのパン屋とレストランのみ。

    これらの店でも、バカラのアンティークや他のクリスタルブランドの商品を見ることもできますが、やはりバカラのクリスタルが見たい!そこで、バカラの私立美術館に行くことにしました。

    小高い丘になっているこのエリアに並ぶ建物や公園すべてが、バカラ社です。

    敷地内には、チャペルや工房で働く人々の住居、学校などもあるのだそう。バカラの工場で働く人たちは、この敷地内で暮らすことができたそうです。

    敷地の真ん中に大きな煙突が目印の工房があります。この中でガラスを溶かし、クリスタル作品を作ります。

    煙突がある工房の反対側に美術館があります。大きくはありませんが、内容はかなり充実。ガイドの方から町づくりの歴史を聞き、ビデオで製造工程をみることができます。

    こちらは、バカラの代表作でもある「HARCOURT アルクール」。1841年、ルイ=フィリップ王から注文を受け、完成したグラスです。六角形の台座に3段の膨らみがある脚、そして平たく斬新に削ぎ落とされたフォルムは、「完全なるフォルム」と呼ばれています。ナポレオン3世がこよなく愛していたことでも有名。今でも、時を越えて愛され続けています。

    足の部分を型に入れて作る様子も展示されていました。

    こちらの美しい巨大なシャンデリアは、目の高さでじっくり味わうことができます。

    デザイン原画も展示されていたのですが、かなり忠実に再現できていることがわかりますね。

    バカラがクリスタル製造を開始する歴史も説明されています。1764年、フランス王ルイ15世の許可のもと、初めてクリスタル製造会社ができたのだそうです。ヴォージュ山脈にも近いバカラは、火力を上げるに不可欠な木材の宝庫だったため、クリスタルの産地として発展していきました。やがて王室御用達の品々が作られるようになり、1881年には会社名も『バカラ』に改名したそうです。

    こちらは赤色がついたカットグラスのでき方を説明する展示。

    バカラカラーといえば、赤。特に、ルビー色のイメージがある方も多いかもしれませんね。「Le rouge à l’or = 黄金の赤」とも呼ばれます。

    「Le rouge à l’or」は、1839年、クリスタルの素材に24金の金粉を混ぜることで赤色を再現できることを発見したことで生まれたのだそう。

    他にも珍しいコレクションの数々を見ることができます。こちらは、1878年のパリ万博の際に発表されたジャポニズムの影響を受けた手描きの絵付け作品郡。

    明治天皇がフランスを訪問なさった時のテーブルコーディネートも!

    明治天皇のために特注されたセットには、菊の紋章が刻まれています。

    カッティングが美しいグラスは、当時のフランス大統領のためのグラス。イニシャルが刻まれています。

     

    ここでしか買えないアイテムもたくさん!オフィシャルショップ

    敷地内にはバカラのオフィシャル・ショップもあります。「バカラの工場まで行けば、安く買えるの?」と気になるところですが、現行商品は、基本的にはバーゲンされることはないのだそう。そして、2級品もすべて溶かして作り直されてしまうため、販売もしていないのです(ちょっと残念…!)。

    でもオフィシャルショップだからこそ手に入るアイテムもたくさんあります。その名も『Les trouvailles de Baccarat (トルヴァイユ ド バカラ=バカラの思いがけない発見)』と名付けられたコーナーには、MOFの名誉職人賞をもらった職人達による自由な作品が展示されています。そして、現行のモデルより価格もリーズナブル。

    1点もののアート作品も。

    美術館に並んでもおかしくない珍しいものばかり!

    お手頃なグラスコーナーもありました。現行のものとはサイズやデザインが違う試作品などがここで販売されています。

    生産終了になるモデルなど、たまに20~30%になっている商品もありました。

     

    バカラまで来たら食べたいグルメ「パテ・ロラン」

    バカラ好きには溜まらない旅になりそうなバカラ村散策。せっかくなので、名物グルメも楽しみましょう。バカラ村で、ぜひ味わいたいのがこちら「パテ・ロラン」です。例年、パテ・ロラン大賞を決める大会も行われるというほどの名物料理。

    マリネされた子牛肉をパイ皮に包んで焼き上げてあり、焼き立ては熱々でジューシーで最高!冷たくなってもマリネの風味でおいしいのですが、ぜひ、温めて召し上がってみてください。パン屋さんでも温めてくれますよ。

    観光局で無料で発行してもらえるロレーヌ地方観光に便利なカード「Pass Lorraine」。ロレーヌ地方の見どころがまとめられているほか、割引特典も。バカラ美術館も5ユーロから3ユーロになります

    パリから足を伸ばして行けるバカラ村。美しいクリスタル作品に会いに、ぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

     

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