シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン “パリマグ”
  • STYLE

    竜星涼さんの日々の暮らしと小さなしあわせ

    PARISmagが気になる方々へ会いに行き、「小さなしあわせ」のヒントを教えてもらうインタビュー企画。今回は俳優としてもモデルとしても活躍中の竜星涼さんです。

    ©︎2020映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

    9月4日より公開の映画『リスタートはただいまのあとで』で古川雄輝さんとW主演を務める竜星さん。美しく牧歌的な長野に暮らすおっとりした性格の青年・熊井大和を演じています。この作品では、複雑な背景をもつ難しい役に挑戦。また男性と恋に落ちる役を演じるのも初めての経験なんだとか。映画のこと、そして“好きな街”と語るパリのことなど竜星さんにいろいろとお話を聞かせてもらいました!

     

    竜星 涼(りゅうせい りょう)

    1993年生まれ。東京都出身。2010年にデビュー。2013年にスタートした「獣電戦隊キョウリュウジャー」での桐生ダイゴ/キョウリュウレッド役が注目される。その後、連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK) 「アンナチュラル」(TBS系)「同期のサクラ」(日本テレビ系)「テセウスの船」(TBS系)など、話題のドラマに出演。2019年に公開の映画「トイ・ストーリー4」では先割れスプーンのフォーキー役を熱演。またモデルとしてパリコレにてヨウジヤマモトのショーにも出演している。

     

    テーマは“前に進む”。2人の青年の美しいバディムービー

    ―今回演じられた熊井大和はおっとりした性格である一方で、複雑なバックボーンのある役でしたが、演じる上で意識したことはありますか?

    竜星さん(以下、敬称略):愛を知らない青年の役だったので、自分にとっても大和にとってもそこが核になる部分だと思いました。それを自分の中でイマジネーションしながら埋めていくというのが演じるうえで最初に行った作業です。

    ―具体的には、どのようにイマジネーションしたのですか?

    竜星:僕は普段、セリフや脚本の中からいろいろとヒントを得ながら、目的や理由づけをしていく作業をします。そこから自分自身に問いかけながら想像を膨らませていく感じです。

    ©︎2020映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

    ―前半は明るく振る舞い、途中、東京でのシーンからは感情を出しつつ抑えた演技のギャップが印象に残りました。その心情の変化はどのように意識されましたか?

    竜星:この作品において“前に進むこと”はすごく大きなテーマでした。光臣も大和も停滞しているというか、前に進めない現実があったりして…。誰だって、前に進むことって難しい。でも、がんばって行動を起こしたということは、大和も「自分を変えなきゃいけない。変わらなきゃいけない」という答えに行き着いたからだと思うんです。

    特に1人で踏み出すことって難しいじゃないですか。だからこそ、近くにいる人や背中を押してくれる人の存在が必要で。それがきっと、大和にとっては光臣だったんですよね。

    最初の大和と、東京に行った時の大和では変わっていたのはそういうところかなという風に思います。

    ―2人の関係がバディムービーとしても、とても素敵な作品でした。竜星さんはさまざまな役を演られていますが、今回の大和役は無邪気な田舎の青年になっていて、すごいと思いました(笑)。

    竜星:ありがとうございます(笑)。でもそういう田舎のイマジネーションというのは、田んぼや農園の美しい風景や匂い、そういうものから刺激を受けました。あと僕のおじいちゃんとおばあちゃんは山形で農業をやっているので、幼い頃にそこでお手伝いをした思い出とかも参考にしました。だから案外、田舎暮らしというものに対してあまり距離感がないんですよ。

    ©︎2020映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

    ―長野でのロケが長かったそうですが、どのくらい行かれていたんですか?

    竜星:1ヶ月弱くらいはいたと思います。ロケ中は長野の土地を知るために、地元の人たちと交流をしようと、結構ひとりで出歩いていましたね。おいしいご飯屋さんを探して、そこのおじちゃんたちと仲良くなって、気づいたらあちこちいろんなところ紹介されて、周りには地元の人しかいない。みたいな状況でした(笑)。

    ―本当ですか!コミュニケーション能力が高すぎる!

    竜星:一緒にカラオケ歌ったりとか、一緒にお酒飲んだりしていましたね。最後お別れの時は、みんなに挨拶して回って名残惜しかったですよ。

    ―そこの懐に入るのはさすがですね(笑)!

    竜星:地元の方達には本当に優しくしていただいて、おいしい食べものもご馳走してもらいました。あと映画にも少し参加してもらっているんです。焼き鳥屋さんで撮影したときは、実際に焼き鳥屋の大将がそのまま出演しました。で、そこでまた仲良くなって、また1人で飲みに行って…(笑)。

     

    あのキスシーンが日常になれば素敵な世界になる

    ―今作では、古川さんはじめベテランの俳優陣の中で、竜星さんがすごくイキイキと演じている姿が印象的でした。特に古川さんとご一緒のシーン多かったと思いますが、一緒に演じてみた印象はいかがですか?

    竜星:古川さんの最初のイメージは、ミステリアスでクールな印象でした。でも一緒に演じていくうちに、古川さんの情熱をすごく感じ取れたんです。監督と常にディスカッションしている姿を見て、最初のイメージとは違い、熱い精神を持たれている方なんだなと感じるようになりましたし、とても勉強になりました。

    ―お相手によって芝居って変わってくると思いますが、古川さんの光臣によってご自身や大和の感情がすごく動くところはありましたか?

    竜星:やっぱり最初の方は役柄同様、僕は距離を詰めたいけど、なかなか縮まらない、みたいな空気はありました。それが一緒にお芝居をしていくなかで、徐々に雪溶けていくような、光臣が大和に触れてくれることによってほつれるという瞬間がありましたね。

    ―ジャンルとしてはBLですけど、あまりBL感がなく、2人の成長記という感じがしますよね。

    竜星:そうですね。でも本当にこの作品は“誰にでも起こる感情”というものを丁寧に描いています。いわゆるBLというジャンルで括ってしまうと、そこで葛藤する人たちに焦点が合うことが多いと思いますが、この作品では、それよりも人間として生きていくうえで葛藤していくことにフォーカスしています。お互いが支え合い、助け合いながら、その中で起きたラブストーリーで、その相手がたまたま同性だった。

    だから光臣と大和とがキスをするシーンがありますが、あの状況が普通に起こり得ることになっていけば、世の中が平和になると僕は思っています。今回大和を演じてそのことをより感じたし、それを伝えていかなきゃいけないと思っています。

    ―日本ではまだまだセンシティブに捉えられがちなジャンルですよね。

    竜星:そうですよね。でも海外にはそういう作品がいっぱいあって、どれもとても芸術的で繊細な作品ばかりで、僕は映画として大好きなんです。

    今回の映画もそういう繊細な部分や美しさを皆さんに見て、そして感じ取ってもらいたい。純粋なラブストーリーとして見てもらえたらうれしいし、僕たちの演技にも意味があると思っています!

     

    どこの街より素敵な場所“パリ”!

    ―竜星さんはパリコレでのモデル経験もありますが、パリの印象や思い出はありますか?

    竜星:僕はすごくパリが好きなんですよ。もう3回、4回は行っていると思います。フランス、というより“パリ”が好きなんです!あの空気感は、日本じゃなかなか味わえない。すごく不思議なんですけど、写真で撮ってもあの空気感が写し出されるんですよね。芸術も溢れていて、街並みも美しいし、大好きです。

    ―パリではどのように過ごされますか?

    竜星:滞在期間中は全部スケジュールを立てて、ずっと動いてますね。だから寝る時間は1時間とか2時間とか(笑)。もうあちこち歩き回ります。ファッションが好きなので、ショッピングがメインですね。あとは美術館巡り。でも美術館は時間がかかるんですよね。『ルーヴル美術館』は、2回行きましたが両方とも1時間で周りました。観ているのかどうかもわからない、もはや走ってるくらいの気持ちになりながら(笑)。そのくらい分刻みで計画立てて行動しています。

    でもフランスは日本と違っておおらかだから、どうしても途中でスケジュールが狂うんですよね…。それもまたいいんですけど(笑)。最近はシェアのキックボードなどを活用しながら移動しています。すごく便利だし、超楽しい!

    ―パリの中でも、特に好きな場所はありますか?

    竜星:オペラ座の周辺は結構動きやすいので、だいたいその辺りのホテルに泊まります。だからか、あそこに行くと「戻ってきた〜」という気持ちになりますね。あと、『ルーヴル美術館』までの長い公園の雰囲気も好きです。

    ―世界にはいろんな街がありますが、なぜパリに惹かれるんですか?

    竜星:パリという街から、なんかいい刺激をもらえるんですよね。洋服もフランスのブランドが好きだし、映画もフランス映画が好き。だからこそパリにいると落ち着けるんです。ミラノでもNYでもなく、やっぱりパリなんですよね(笑)。

     

    映画館をハシゴしてリフレッシュ&インプット!

    ―忙しい毎日を過ごすなかで、リラックスしたいときはどんなことをされますか?

    竜星:まずは買い物!僕はショッピングするだけでリラックスできるんです。あとは、映画館に行く。映画館に行って映画を見るのが好きなんですよ。だから、好きな監督の新しい映画が出たらすぐに見に行きます。今までで一番観たときは1日4本観ました。映画館をハシゴして(笑)。それも計画を立てて行くんですけどね。

    ―ミニシアターからシネマコンプレックスまで全てですか?

    竜星:全部です。でもそうやって映画を観ているのが一番至福のときです。あと雑誌を読んでいる時間も好きです。雑誌を読んでいる時はすごく充実していますね。ファッション誌だったり、あと海外の雑誌も結構多いです。雑誌、家にめちゃくちゃありますよ。でも海外のいい雑誌は高いので、海外に行くとつい買っちゃいますね。

     

    自分と向き合って確信した“演じる”ことへの使命

    ―今後は、どんなお仕事にチャレンジしたいですか?

    竜星:僕はスカウトしてもらい俳優という仕事を始めて、ここまで来ました。側から見たら、「運命的な出会いでこの仕事をやって、それってすごいよね」と思われるかもしれないですが、自分の中では「本当にこれが自分にとって天職なのか?」という迷いがずっとどこかにあったんです。

    この世界にはもっとすごい人たちがいるし、もっとプロフェッショナルに、アーティスティックにやれている人たちがいる。そんなすごい人たちに囲まれて、その人たちの姿を目の当たりにすると、僕は本当にそこまでなれるのか?「この仕事を愛して、または生まれ変わっても同じ仕事がしたい」と言えるのか?使命感を持ってやれるのか?と自問自答したとき、今までは正直「yes」と言えない自分がいたんです。

    でも、今年、新型コロナウィルスの影響による自粛期間で、自分と向き合って考えていくうちに、いい意味でそういう雑念がなくなって、「やっぱり生まれ変わってもこの仕事がやりたい」と思えるようになりました。むしろ「やっぱりこれ自分に向いてるじゃん!」と思うきっかけになったし、それはすごく良かったなと感じています。

    ―すごく自分に向き合えた時間だったんですね。

    竜星:僕ってスポーツとかでも、“そこそこ”やれちゃうんですよ。でもある程度やれちゃう人は、ある程度のところで怠ける癖が出ちゃう。だからこそ、俳優として努力をもっともっとしていこう。という決意が強くなりました。

     

    竜星さん、素敵なお話どうもありがとうございました!

     

    • ■映画情報
    • 映画『リスタートはただいまのあとで』
    • キャスト:古川雄輝、竜星涼ほか
    • 監督:井上竜太/脚本:佐藤久美子/原作:ココミ
    • 配給:キャンター
    • HP:https://restart-movie.com/
    • 9月4日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

     

    ヘアメイク:TAKAI

    スタイリスト:山本隆司

    撮影:忠地七緒

     

    ■一緒に読みたい記事

    臼田あさ美さんの日々の暮らしと小さなしあわせ

    仲野太賀さんの日々の暮らしと小さなしあわせ

    高杉真宙さんに聞く、映画と日々の小さなしあわせ

    PARIS mag OFFICIAL Instagram
    キャラWalker