毎日の食卓を彩ってくれる器。お気に入りの器があるとそれだけで料理がおいしそうに見えたり、食事が楽しくなったりする気がします。
毎年GWと11月に陶器の街・栃木県益子町で開催される『益子陶器市』。器好きなら、ぜひ訪れたいイベントですが「行ってみたいけれど、どうやって巡ったらいいかわからない…」と思っている方もいるのでは?そこで今回は、益子出身で長年『益子陶器市』に通っているプロップスタイリストでフォトグラファーの西村有(@ u_photooo)さんに陶器市巡りのポイントを教えてもらいました。
『益子陶器市』ってどんなイベント?
『益子陶器市』は1966年(昭和41年)から続く歴史あるイベントで、年2回の開催で全国から60万人ものお客さんが訪れます。街全体がイベント会場になり、大通りだけでなく小さな脇道にもお店が出るので、見逃せません。
「会場がとにかく広いので、1日で回るのは慣れた人でも至難の技!事前に作戦を立てておくことは必須です」(西村さん)
伝統的な益子焼はもちろん、新進作家さんのモダンな作品など、日本全国の作家さん・窯元が益子に集まります。しかも、陶器市だけにしか出店しない作家さんもいたりするので、一期一会の出会いがあるのだそう。
陶器市では、A品はもちろん、通常店では買えないB品が安く手に入ります。ちょっとした傷・欠け・釉薬のムラなど、普段使いするには支障のないものなのでお買い得ですね。
会場では陶器だけでなく、木工や鉄鋼、ガラス、布・皮製品、など、あらゆるジャンルの手仕事作品も販売されています。
この『陶器市』を訪れるだけで益子の魅力をいっぺんに楽しめますね!
どんな器が集まるの?
「ないものは無いのでは?というくらい、多彩な器たちがそろう」というほど全国からいろんな作家さんが集まるので、シンプルなもの、デコラティブなもの、伝統を感じるものや革新的なデザインのもの、かわいらしいものや大人っぽいものなど、バラエティ豊かな器に出会えます。
作家さん・窯元さん自身が接客しているので、個展よりも気軽に直接使い方など聞きながらお買い物するのも楽しみ方のひとつ。また、新進気鋭の作家さんや窯元さんと出会えるのも陶器市ならでは。
「とにかく膨大な品数が並びますが、見て周るうちに、自分の好みが見えきますよ」と西村さん。
『益子陶器市』の楽しみ方
とにかく広い『益子陶器市』。1日で周り切るのは、なれた人でも難しいと言います。長年『益子陶器市』を訪れている西村さんに、より一層楽しむためのコツを教えてもらいました。
【ファッション&持ち物】
歩きやすい格好で行きましょう。とにかく歩くので、スニーカーはマストです!リュックだと両手が空いて器が見やすいです。袋に入れてもらえるお店が多いですが、複数店の戦利品をまとめるのに便利なエコバッグも◎。
クレジット払いも導入され始めていますが、現金払いのみのお店も多いので、ある程度の現金は持ち合わせておいた方がいいでしょう。大判の布かストールは休憩でシートや日よけ代わりに、また器をまとめる布としても1枚あると便利です。
【来場方法】
ポピュラーなのが車での来場。事前に町のHPで駐車場の場所を確認し、当日はSNSなどで駐車場の空きや渋滞情報をチェックすると◎。町のHP掲載以外にも、個人宅の庭も駐車場として利用されているので、目的駐車場が満車でも近くに他の駐車場が空いている場合もあります。
車がない場合は、宇都宮乗り換えなどの電車+バスや、秋葉原から益子への直行バスも運行しています。
【時間帯】
公式情報は9~17時ですが、9時にはすでにテントが開きはじめ、たくさんの人が歩いています。車で来る場合は中心地の駐車場が満車になってしまう可能性もあるので、8時くらいに着いているとベスト。早く来て、早く帰るのが◎。
はじめてさんもリピーターさんも楽しめる!過ごし方
広い会場はエリアごとに特徴があります。ビギナーさん、お目当ての作家さんがいる方、リピーターさんそれぞれのおすすめの楽しみ方も教えていただきました。
【ビギナーさん】
共販センターテントエリア~城内坂を歩き雰囲気を掴みながら、目についた横道エリアにも立ち寄りながら練り歩いてみては?
【お目当ての作家・窯元がいる方】
あらかじめ地図をダウンロードし、目的の作家・窯元さんのテントをプロット。優先エリアから周りましょう。前回出店していても今回は出店しない作家さんや、整理券で入場規制している作家さんもいるので、作家さんのHPやSNSで情報をチェックしておくと◎。
【リピーターさん】
1泊して器以外も楽しんでみるのもGOODです。益子エリアには古道具、ライフスタイルショップ、森の中のカフェやパン屋さんも充実しているので立ち寄るのも楽しいですよ。新しくできた道の駅は広くてお土産を買うのにおすすめです。
事前にチェックしておきたい!エリア別特徴
【かまぐれの丘~陶芸メッセ益子(遺跡広場)】
城内坂から丘の上にある陶芸メッセ益子(遺跡広場)に登っていくエリア。陶芸メッセ益子(遺跡広場)は他のエリアよりも広く、全国各地から集まった作家さんが多いです。芝生や木漏れ日が広がっていて、脇の広場にシートを敷いて休憩にもちょうど良く、お子さま連れの遊び場にもなっています。
【見目陶苑KENMOKUテント~くみあい広場】
洗練された益子の作家さんが多いエリア。小さいエリアながら陶器・ガラス・鉄・植物など出店されている方のバリエーションに富んでいます。
【TOKOPARK~路地裏テント】
洗練された益子の作家さんが多いエリア。小さいエリアながらかわいらしい~シンプルな器がギュギュッと集まっています。
【益子焼窯元共販センター】
新旧入り混じったテントエリア。だいたい毎年同じ場所に同じ方が出店されますが、最近は旧作家・窯元さんが抜けたエリアに新進気鋭の作家・窯元さんが入ってきて活気づいています!
西村さんが注目する作家さんをご紹介!
器選びに慣れていない人は、まずプロに聞くのが一番!ということでスタイリストの西村さんが注目している作家さんを教えてもらいました。次回の陶器市に参加するかは、各作家さんのHPやSNSなどでチェックしてくださいね。
・北欧風のほっこりしたデザインが好きな方
<よしざわ窯(益子)>
平皿・深皿・小鉢など、器好きになってから、いくつも買い足した窯元さん。SNSで大人気。安くて他には無いかわいらしい形がたくさん揃っています。人気なのもうなずけるラインナップ。朝早く整理券が配られます。夕方くらいから並んで買えることも。
Instagram:@onthetable_mashiko
<渡辺篤(益子)>
柔らかいブルーグレーと、丁寧なしのぎ(削られている線のこと) が魅力。温かみがありつつ、色やしのぎがモダンで使いやすいのも◎。
Instagram:@watanabeutsuwa
<わかさま陶芸/若林健吾(益子)>
優しいアイボリーや、ところどころ見えている塗りの下の土で、アイボリー1色にはないニュアンスが加わってかわいい窯元さん。都内のライフスタイルショップでも取り扱われているので、益子焼の中でも比較的目にする機会が多いかもしれません。陶器市ではバリエーション豊富で、アイボリー以外の色も多く販売されます。
Instagram:@wakasama_mashiko
・シンプルですっきりとした器が好きな方
<ネギシ製陶(益子)>
絶妙なくすみカラーのグラーデションや、すっきりとしたシルエットが主張しすぎず食卓に馴染み、使用頻度が高い器です。
Instagram:@negishi_seitou
<関太一郎(群馬)>
絶妙なくすみカラーのグラーデションが美しいです。単純に平皿ではなく、少し深みのある形状やレストランで使われそうなおしゃれなシルエットに惹かれました。
Instagram:@taichiroseki
<梅本勇(愛知)>
釉薬の配合によって生み出される、独特のグラデーションに惚れ惚れします。ゴブレットやオクトゴナルなど、和ながら洋の器も素晴らしい!
Instagram:@yu_umemoto
<矢口桂司/矢口陶器(益子)>
伝統的な益子焼の色(釉薬)を使いつつ、形が今っぽくモダンで使い勝手が良さそうです。西村さんが次に狙っている作家さんの一人。
Instagram:@keijiyaguchi
「SNSで見つけたお目当ての作家さんを巡るのも良いけど、せっかくたくさんのジャンルの器が集まっているので、ぜひお目当て以外も巡って、あなただけの出会いを見つけてみてくださいね。
本当にたくさんの器があるので、目移りしたり、迷ってしまうのはしょうがない!どんなものが欲しいか、普段の食卓から用途をイメージしていくと選びやすいですよ」と西村さん。SNSで事前に気になる作家さんをチェックしつつ、直接手にとって直感も大事にしながら陶器選びを楽しんでみるとよさそうですね。
次回『益子陶器市』は11月1日(金)〜5日(火)に開催予定。器との出会いは一期一会。心を惹かれたものをゲットできるように、あとで後悔しないように楽しんでみてください。
- ■イベント情報
- 第104回益子秋の陶器市
- 開催期間:2019年11月1日(金)~11月5日(火)
- HP:http://blog.mashiko-kankou.org/ceramics_bazaar/
- ■協力・写真提供
- 西村有(@ u_photooo)
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