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    上白石萌音さんと山崎紘菜さんに聞く映画と小さなしあわせ

    PARISmagが気になる方々へ会いに行き、「小さなしあわせ」のヒントを教えてもらうインタビュー企画。今回は9月6日に公開された映画『スタートアップ・ガールズ』で、生い立ちも性格も正反対のビジネスパートナー、小松光と南堀希を演じた上白石萌音さんと山崎紘菜さんです。

    映画を通して気づいたこと、仕事に対する思いについてお話を聞きました。

    上白石 萌音(かみしらいし もね)

    1998年生まれ。鹿児島県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞。2014年に初主演した映画『舞妓はレディ』 で第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も『君の名は。』『溺れるナイフ』『ちはやふる』3部作といった話題作に出演。女優だけでなく、歌手やナレーターとしても活躍している。

    山崎 紘菜(やまざき ひろな)

    1994年生まれ。千葉県出身。2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞。『悪の教典』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』など多くの映画、ドラマに出演。ジャパンラグビートップリーグアンバサダー、ラグビーワールドカップ2019開催都市特別サポーターも務める。

    光×希=上白石萌音×山崎紘菜!?

    ―今回の映画は“スタートアップ”、つまり起業をテーマにしたお話ですね。

    上白石さん(以下、敬称略):私は起業することは、すごく才能と能力があるひと握りの天才しかできないことだと思っていたんですけど、この役を演じてみて、意外と開かれているものだと知りました。いろんな起業家さんにお話を伺うと、みなさんすごく普通の幼少期や学生生活を送ってらしたんです。

    でも決定的に人と違っていたのが、日常で感じた小さな引っ掛かりをないがしろにしないこと。そして、それをヒントにそれを「解決しなきゃ!」と思った人が起業されているんだと気づいたんです。だから、起業するかしないかは、能力の問題なのではなく、パッションとアイデアがあるかどうかの違い。誰でも起業家になれる可能性を持っていると気付き、ぐっと距離が縮まったというか、身近な存在だと感じました。

    山崎さん(以下、敬称略):私は“スタートアップ”という言葉も、学生でも起業できる時代になっていることも知らなかったので、自分の中の仕事に対する概念がすごく変わりましたね。今までは大学を卒業したら就職、というパターンしか知らなかったんですけど、自分で起業して会社に入社せずに働くこともできる、いろんな可能性があると知って、新しい世界を見た気がしました。

    ―ご自身で“スタートアップ=起業”するなら、こういうことやってみたいという夢はありますか?

    山崎:ファッションや美容が好きなので、その分野の新しいサービスを開発したいと思っています。モデルのお仕事もしているので、体型維持のために以前は偏った情報に惑わされたダイエットをしてしまい、体調を崩してしまったことがあるんです。なので、今まさに「痩せたい」「ダイエットしたい」と思っている若い方たちと管理栄養士さんを繋げて、健康的に美しさを追求するための正しい知識を提供できるサービスを作れたらいいなと。そうすれば私みたいな思いをしなくて済むし、辛い思いをしている人も救えるんじゃないかな、と思います。

    上白石:私は「大人の交換留学」ですね。同じ様な職種だけど全然境遇が違う人を2週間くらい入れ替えてみたらおもしろそうだな〜、と思いました。料理人やほかの職人さんなど同じ仕事をしている日本と海外の方を交換し、お互いの技術や考え方を持ち帰るプロジェクトもおもしろそう!

    今の時代、学生が留学や交換ホームステイすることは当たり前ですけど、何かに行き詰まってしまった大人がそれをすると、仕事に広がりも生まれるだろうしおもしろいんじゃないかと思いました。

    ―今回お2人は性格が正反対の役どころです。それぞれ演じる上で意識したことや考えたことがあったら教えてください。

    山崎:私は小松光という才能の塊を目の当たりにするごく普通のOLという役でした。まず“普通の人”を演じることって実は一番難しいことだと、今回改めて思いました。本来“普通の人”という人は存在しないと思うんです。「普通ってなんだろうな?」と、すごく考えていました。あとは、ただただ光という天才に振り回される役だったので、現場ではとことん振り回されようと思って演じてました(笑)。

    上白石:私は振れ幅を大事にしました。光は、はちゃめちゃな性格ですけど、繊細な部分も持ち合わせています。だから陰陽の陰の部分に深みとリアリティをちゃんともたせるように心がけました。

    光の性格にもちゃんと理由があるんですよね。奔放に見るけど、実は情熱を器用に人に伝えられない不器用さとか、実はすごくもろい部分がある子。二面性がある役なので、繊細な部分は丁寧に演じる分、はちゃめちゃな部分は誰に嫌われてもいいと思って、やれることは全部遊んだ!という感じですね。

    ―初めて共演する前と後でお互いのイメージなど意外だと思ったポイントはありますか?

    上白石:私たちは同じ事務所の同期で、オーディションの時からずっと一緒に過ごしてきたので、自分が行き詰まったときに相談する頼れる存在だったんです。でも今回初めて、撮影現場での紘菜ちゃんと一緒にカメラの前に立ってお芝居しました。オーディション受けてから8年くらい経っていて、お互いいろんな作品を経験してきて、「ここにいる」という感慨深さがありました。

    私にとって紘菜ちゃんは年上で頼れるお姉さんというイメージだったのが、もがいたり悩んだりしている弱い部分もたくさん見せてくれて、なんて素敵なんだ!と感じました。その部分は一緒にお芝居しなかったら多分わからなかったと思います。

    山崎:萌音ちゃんはいい意味で変わらないというか、今までイメージしてた通りの姿が撮影現場にもありました。萌音ちゃんにも光のような天才的な部分が秘めていると思うんです。もちろんそれを裏付ける努力もすごくしているんですけど、持っている天性のものをそばにいてずっと感じていたので。光の眩しさを持っている萌音ちゃんの姿を近くで見ながら希を演じられてよかったです。

    上白石:私も演じながら光と希のように二人三脚とか自分にないものをお互い補いあうような感覚がありましたね。こんな感覚めったにないので、私たちをどこか影でずっと見ていた人が書いてくれたのかと錯覚するくらい、自然な関係性でしたね。

     

    気軽に見られるけど、人生のヒントがつまった映画

    ―この映画は仕事がテーマですが、お2人が仕事で大切にしていることはありますか?

    上白石:私は自我を持たないことです。私たちのお仕事は誰かを演じることで、作品は監督のものという思いがずっとあります。「自分はこうしたい!」という信念が強すぎると、それは演じるときにきっと邪魔になってしまう。そこに自分の色を出したいという思いを持たないことが大事なのかなと、最近思いますね。時には「こうしたいです!」と伝えることも必要だと思うんですけどね。

    以前、『舞妓はレディ』という映画で共演した富司純子さんから「毎回作品の色に染まり続けなさい。自分は真っ白でいなさい」というお言葉をいただいたんです。まさにそうあるべきだな、と思って凝り固まらずに柔らかくいるようにはしています。

    山崎:私は嘘をつかないことを自分のモットーにしています。例えば「こういうコメントを言ってください」と要望されることもあるんですけど、でも本当にそう思っていなかったり、自分の言葉じゃなかったら、ちょっと変えたり、ちょっとひねったコメントをするようにしています(笑)。

    自分の言葉に責任を持たないとダメだなと、最近は特に思うようになりました。だからできないことも「できる」とは言わない。でも「できないけど、がんばります!」という姿勢でお仕事するようにしています。

    ―できるフリはしない、ということですか?

    山崎:はい。「私にはこの能力はありませんが、必死に食らいついていくのでよろしくお願いします!」という気持ちで臨むようにしています。できないことを「できる」と言って、それを実現させる方もいらっしゃると思うんですけど、私はできない自分を認めることを大事にしているんです。だって、できなかったらできるようになればいいだけのことだから。できない自分を責めている時間がもったいないと思っていて。

    実は、以前は未熟な自分を認めることができず、すごく苦しかったんです。でもできない自分を、できる可能性も持っている自分、という風に考えるようにしました。

    ―お2人が今回の役を通じで感じたことはありますか?

    山崎:私にとってこの作品はターニングポイントでもあるんです。私自身も自分を平凡だと感じることが多々あります。この世界にいるといろんな才能に出会って、そういう人を目の前にすると怖気づいちゃったり。映画の中で希が「私平凡だから」というセリフを言うシーンがあるんですけど、開き直っちゃった方が楽なんですよ。でも凡人だって天才になれる可能性を秘めているので、できない自分をちゃんと認めてその上でがんばるようには心がけています。

    上白石:私は思っていることを全部溜めちゃうタイプなんです。どちらかというと希タイプ。光を演じているときは「私は光!」とがむしゃらだったんですけど、ふと「自分とは結構違うなぁ」と思って…。でもこの役を演じて、人の顔色伺う前に自分のやりたいことを突き通すことをかっこいいことだと気付きました。これまで思いを溜め込んだことで、後で後悔することが多々あったので、言うときは言わなきゃいけないんだなと思いましたね。

    お芝居では自我を消すようにしていますけど、普段の生活では自分の考えを持つことは大事だと思いました。溜め込めば自分の主張をしなくていいし、主張しなくていいということは考えなくてもいいので楽なんですよ。でも、それは結局逃げていることなんですよね。最近は友人とか家族には思っていることをちゃんと言うようになったかなと思います。まだちょっと慣れないけど(笑)。

     

    日常の中でリフレッシュする方法とは?

    ―いろんな分野で活躍中のお2人ですが、忙しい中でリラックスするときは何をしていますか?

    上白石:本が好きなので、活字に埋もれている時間が一番幸せですね(笑)。小説もエッセイも大好き。本って読むだけで知らないところに連れて行ってくれる気がするんです。移動時間にも読みますし、お風呂で読んだり、休みの日は1日中読んでいます。もう活字中毒ですね。

    山崎:私は猫を飼っているんですけど、仕事が終わって家に帰ると猫がやってきて抱っこしてキュッとやる瞬間が一番幸せですね(笑)。寝るときに一緒に寝てくれるんですよ。撫でなから寝る瞬間がすごく幸せ!仕事でつらいことがあっても私を癒してくれるので、いつも助けてもらっています。私の最強のバディです!

    ―最後に今回の映画の見所を教えてください

    上白石:起業を身近に感じてもらえるんじゃないでしょうか。特別なことではなく、世の中をちょっと良くしたいと思っている人が情熱を持ってやること、みんなにチャンスがある、ということを知って欲しいです。そのちょっとした気づきが起業に結びつかなくても、自分でアクションを変えてみるきっかけとか「ちょっとやってみようかな」という気持ちにつながればうれしいですね。難解な映画ではないので、近所をお散歩するくらいの軽い気持ちで見ていただけたら、何かしら持って帰ってもらえるものがあると思うので、ぜひふらっと見にきて欲しいです。

    山崎:扱っている題材は起業とかお仕事の話なんですけど、青春映画だと思っています。人と正々堂々と本気でぶつかり合うこととか、無我夢中で何かを成し遂げようとする2人の姿を見て、いろんなものに立ち向かう勇気だったり、好きなものを追い続ける尊さを感じて欲しいです。一歩引いてしまったり、自分の好きなことを追えない、ちょっと立ち止まってしまっている人の追い風になればいいなと思っています。

     

    上白石さん、山崎さん、素敵なお話どうもありがとうございました!

     

    • ■作品情報
    • 映画『スタートアップガールズ
    • あらすじ:無理だと思った瞬間、人はその思考に負ける!
    • 自由奔放で天才的な大学生起業家・光(上白石萌音)と“無難 is BEST”な安定志向をもつ大企業OL・希(山崎紘菜)。
    • 正反対の2人は、光の事業をサポートしているミズキ(山本耕史)との計らいで、小児医療遠隔操作で診察をする新プロジェクトのビジネスパートナーになってしまう。
    • 身勝手な光の言動に振り回される希は、光を信じることができず、仕事にも行き詰まる。
    • 非常識女vs 手堅い女。人生最悪の出会いは、史上最強の新時代を創り出すことができるのか?
    • 上白石萌音 山崎紘菜/大西礼芳 長田侑子 沖田裕樹 三河悠冴 渡辺真起子 宮川一朗太 神保悟志/山本耕史
    • 監督:池田千尋 脚本:髙橋泉
    • 宣伝:MUSA 制作協力:KAZUMO  制作プロダクション:白組 JCTV
    • 配給:プレシディオ
    • 企画・製作 KM-WWORKS
    • ©2018 KM-WWORKS Ltd., All rights reserved.
    • 9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
    • 公式HP:startup-girls.jp

     

    • 【上白石さん】
    • スタイリスト:嶋岡隆(OfiiceShimarl)
    • ヘアメイク:冨永朋子(アルール)
    • 【山崎さん】
    • スタイリスト:三浦真紀子
    • ヘアメイク:鎌田順子(JUNO)

     

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