おしゃべり好きで知られるフランス人。カフェやビストロで身振り手振りを交えながら議論する姿は日常茶飯事です。その会話に耳を澄ますと「りんごの中に落ちる」「ウサギを置く」「猫に舌をあげる」といった、一瞬耳を疑ってしまうフレーズも。これはフランスの慣用句的な表現なのだそう。
そんな、知っているだけでおしゃべりが楽しくなること間違いなしのフランス語フレーズを集めた1冊『おしゃべりがはずむフランスの魔法フレーズ』を紹介したいと思います。フランス人ならではの遊び心とエスプリが詰まった会話を垣間見ることができますよ。
クマの案内人が魔法のフレーズをご案内
『おしゃべりがはずむフランスの魔法フレーズ』の著者はパリの情報を配信している「トリコロル・パリ」のお2人。フランス語を学ぶ中で、フランス語にあるユニークな表現の数々に出会い、驚いたと同時にフランス語の魅力にますます引き込まれるきっかけにもなったのだそう。
そんなユニークなフレーズをフランス人イラストレーターのドミニク・ル・バグスさんが描くキュートな「クマの案内人」がガイドしてくれます。さっそく、そのフレーズを見ていきましょう!
クスクス、マドレーヌ、サラダ!?食べ物が登場するフレーズ
一瞬「どんな状況!?」と思ってしまう、「クスクスの中でペダルをこぐ(Pédaler dans la semoule.)」という表現は「物事がうまく進まない」状況を表すフレーズ。フランスの食卓では馴染み深いクスクスを使った、とってもユニークな表現です。たしかに細かいつぶつぶのクスクスの中で自転車を漕いでも進まなさそう…。
他にも食べ物を使った表現はたくさんあります。
・桃を持つ(Avoir la pêche)…「とても元気」を表す
・マドレーヌのように泣く(Pleurer comme une madeleine)…「とめどなく泣く」を表す
・バターのためにカウントする(Compter pour du beurre)…「重要ではない」を表す
・サラダの話しをする(Raconter des salades)…「いいかげんなことを言う」を表す
・ワインを水でうすめる(mettre de l’eau dans son vin)…「態度を和らげる」を表す
などなど。慣用句の中にも食べ物がたくさん登場してくるのも、食いしん坊なフランス人ならではかもしれませんね。
それぞれのフレーズを紹介するページには、由来や歴史も紹介されているので、読んでいるとフランスの文化も知ることができます。「ワインを水でうすめる」のページには、19世紀頃まではワインを水で割るのが普通だったなんて驚きの情報も!
愛の国おフランスの愛にまつわる表現
フランスといえば、Amour(愛)の国!恋愛にまつわるユニークな表現も。
・アーティチョークの芯を持つ(Avoir un cœur d’artichaut)…「惚れっぽい」を表す
・雷に打たれる(Avoir un coup de foudre)…「ひとめぼれをする」を表す
・腹の中にちょうちょがいる(Avoir des papillons dans le ventre)…「恋の予感がする」を表す
「雷に打たれる」は日本の「ビビッと来る」に通じるかも!?
「恋の予感」が「おなかにちょうちょ」なんて、かわいすぎる!恋のはじまりのそわそわドキドキむずむずするのは、おなかの中にちょうちょがいるからかもしれませんね。
ちなみに大切な人を呼ぶ愛称も個性豊か!「私の鴨」「私のエビ」「私のフン」(!?)なんてびっくりの表現も!
意味がわかるようなものも、「なんで!?」とまったく理解できないものもありますが、『おしゃべりがはずむフランスの魔法フレーズ』を読んでいると、フランスの文化や暮らし、フランス人のマインドを垣間見ることができます。
トリコロル・パリのお2人も「その中には歴史や風俗に基づくものも多く、まさに言語は「文化を映す鏡」ということを日々実感しています。
フレーズの中には、ポジティブな表現だけでなく、ネガティブな表現も多くありますが、どんなときもユーモアのセンスを忘れずにちょっとひねりを加えたおもしろい言い回しで乗り切ろう!というフランス人らしさを感じてもらえるはずです」とおっしゃっていました。
クスリと笑えるエスプリたっぷりの表現を知ると、不思議となにげない毎日もちょっと特別に見えてきます。フランス語を勉強している方も、フランス語はちんぷんかんぷん!という方も楽しめるフランス語表現とフランス人のユーモアを学べる1冊です。
- ■書籍情報
- おしゃべりがはずむフランスの魔法のフレーズ
- 著者:トリコロル・パリ
- 絵:ドミニク・ル・バグス
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