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    元・寿司職人が作る本格バゲットサンド。神山町『キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ』

    渋谷のざわめきを抜けた場所にある渋谷区神山町。大使館も多く、外国人観光客もたくさん訪れる静かな場所です。

    スタンドから漂うコーヒーのいい香りに足を止めると、ゆずをすりおろす料理人の姿が。

    手元には丁寧に仕上げられていくバゲットサンド。

    バリスタの鈴木さんと、サンドウィッチ担当の成瀬さん

    ここは『キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ』。本格エスプレッソコーヒーを淹れてくれる鈴木啓太郎さんと、元寿司職人の成瀬隼人さん。ふたりの個性が輝くお店です。

    以前インタビューさせていただいた平野紗季子さんパンラボの池田さんもファンだと言う、今注目のお店。

     

    親友同士が高め合うエスプレッソ&サンドウィッチの店

    以前、成瀬さんはアメリカで寿司職人をしていたのだそう。その時から、将来の夢は「サンドウィッチ屋さんを開くこと」。アメリカに永住するつもりだったので「寿司に馴染みがないアメリカで寿司を握り続けてもアメリカ人の評価は甘いだろう。だったら、アメリカ人が最もよく食べるサンドウィッチで勝負をしたい」と思ったのがきっかけ。

    また、アメリカはパンの国なのにおいしいと思うサンドウィッチがあまりなく、がっかりしたことも大きな理由のひとつ。だったら、繊細な日本人の味覚を生かした、心から「おいしい」と思えるサンドウィッチを作ってみたいとずっと考えていたのだとか。

    コーヒー担当の鈴木さんは、大学を卒業後、商社に就職。その後転職して、大好きだったコーヒーの道へ。コーヒーだけで独立するのは難しいことだけど、ゆくゆくは店を持ちたいという夢は持っていたそうです。

    そんな時、アメリカから帰国していた高校からの友人、成瀬さんと再会。2人の「店を持ちたい」という気持ちとタイミングがぴったり合ってお店をオープンすることに。昔から仲の良い2人でしたが、開店する1年前までは一緒に店を始めるなんて思いもしなかったそう。

    こうして、2人が思いを込められる場所が生まれました。

     

    「サンドウィッチはパンを食べる料理」

    『キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ』の成瀬さんは、毎朝近所の人気ベーカリー『カタネベーカリー』、『365日』、『タルイベーカリー』をまわり、焼きたてのバゲットを受け取ってから出勤します。

    「寿司はシャリをたべる料理、サンドウィッチもパンをたべる料理だと僕は思う」と成瀬さん。
    『カタネベーカリー』、『365日』、『タルイベーカリー』それぞれのバゲットをおいしく食べられるような具材の組み合わせを提案。現在はそれぞれのパンのおいしさを最大限に活かす9種類のサンドウィッチが楽しめます。

    ベジタリアンの方に人気の「お野菜とエメンタールチーズのヘルシーなサンドウィッチ」は、具材にお肉が入っていないヘルシーメニュー。クミンの香りが漂って食欲を刺激します。赤パプリカが鮮やかで見た目も美しく仕上げられているあたりは、まさに職人のなせる技。食感の異なる4種類のきのこソテーがたっぷり入っているので、お野菜だけとは思えない満足感も。

    お箸でサンドイッチを作るというのも珍しい光景。まさに、ひとつひとつ盛りつけているような丁寧さで作られていきます。

    以前、インタビューさせていただいた平野紗季子さんも好きだというメニュー

    「ブリーチーズ、リンゴ、蜂蜜のハーモニー」は女性に人気のメニュー。クリーミーなブリーチーズにシャキシャキのふじりんご、蜂蜜の甘さにパルマ産の生ハムの塩気が効いた贅沢な味わいです。

    『タルイベーカリー』のバゲットの酸味は、ブリーチーズと好相性。成瀬さんのキャリアが光るりんごのカット にも注目の華やかなサンドウィッチです。

    「パルマ産生ハムと大葉、ゆずとバターの香り」は、大葉やゆずなどジャパニーズハーブの香りを楽しむ1品。発酵バターとパルマ産生ハムの塩気がバゲットの小麦のうまみを引き立ててくれます。カリッとしたクラムの香ばしさも楽しめるシンプルながら、豊かな気持ちにさせてくれるサンドウィッチです。

    仕上げに茶筅(ちゃせん)で柚子の皮を振るパフォーマンスも注目のポイントです。カウンターごしに作っている姿を見られるのもお寿司屋のよう。

    最近になって定番メニューになった「たまごサンド」は、卵焼きをパンではさむ関西風スタイル。焦げ目のないきれいな卵焼きは、火加減やタイミングを見極める鋭い勘が必要とされる熟練の料理。修行を積み重ねた寿司職人でも作るのが難しいのだとか。

    手に持って鼻先に近づけるとパンからはフワッとバターの香り。パンと卵焼きの柔らかな甘みが口の中で溶け合い、アクセントのからしがピリッと効いて全体を引き締めます。このサンドのためだけに作られた『カタネベーカリー』のコッペは、モチっと柔らか。その食感の秘密は三重県のもち小麦と国産小麦を半分ずつ配合して作られているからだそう。他のバゲットサンドと一緒に買って、食感の違いを食べ比べてみるのもおすすめです。

    その他、お肉系のサンドウィッチも充実しています。

    ベーコンは国産豚を仕入れ、厨房で燻して作るこだわりぶり。ラム肉などクセの強い肉もおいしく食べられるように味付けを工夫しているのだそう。

    味付けへの細かな心配りに、「本当はラム肉が苦手なんだけど、キャメルバックのサンドなら食べられる」というお客さんも増えてきているのだとか。

    寿司職人として長年キャリアを重ねてきた成瀬さんの繊細な味と、そのコラボレーションをぜひ楽しんでみてください。

     

    地道に歩む2人の夢

    サンドウィッチとコーヒー。それぞれ別の道で修行した2人が出会って生まれた『キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ』。どちらか一方がおいしい店はたくさんありますが、それぞれの個性が際立った店は今までなかったのではないでしょうか?

    コーヒーもサンドウィッチもおいしく、両方いただくとまた違う魅力を発見できるので、一緒に注文するのがおすすめです。

    夏ということで、いわしのサンドウィッチがありました。

    今後は、月ごとのメニューや季節メニューも展開して行きたいのだとか。ただ、素材へのこだわりが強いので、これ以上増やすとバランスが難しいかもしれないので、「ゆっくり焦らず、自分たちのペースを守って広げて行きたい」とのこと。

    2人を中心としたプロフェッショナルが作り出すコラボレーションから、目が離せませんね。

     

    ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

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