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    地元に愛されるバゲットの優しい味。武蔵小山『セルオブレ』

    都内最長である800mのアーケードを有する武蔵小山商店街。にぎやかな本通りから路地に入ると見えてくるかわいらしい看板。

    こじんまりとした佇まいの『セルオブレ』は5月1日にリニューアルオープンしたばかり。キッチンも広くなり、ピカピカのオーブンで毎日おいしいパンを焼いています。

     

    変わらぬおいしさを守り続ける

    明るい店内には、次から次へとお客さんが訪れます。常連のお客さんたちの袋を覗き込むと、必ずあるのが「角食」「バゲット」「ハードトースト」のいずれか。

    ハードトースト

    この3つは地元民に愛される『セルオブレ』の定番商品。レシピを変えず、味を守り続けているこだわりの商品です。でも実は一度だけ、リニューアルしたことがあるのだとか。

    角食

    「実は、以前、味を大きく変えたことがあるのです。そうしたら、お客さんがびっくりしてしまったようで…。あわてて元の味に戻したら、またお客さんが戻ってきてくれたんです。お客さんの喜ぶ顔が見られるのだから、この味が正解なのだと思いました」と店長の吉川さん。

    「ひとりで店を切り盛りしていると、独りよがりになることも多いんです。『個性的なパンを作ってやろう!』というマニアックな追及よりも、地元のお客さんに喜んでもらえる方を優先します。お客さんに喜んでもらってこそです」と謙遜するが、「バゲット」ひとつとっても、シンプルなだけではない奥深さを感じます。

    その秘密は、生地へのこだわり。生地が安定するようイーストを調整したり、沖縄産の塩やフランスのフルール・ド・セルを使うなど、季節や温度によって変えるライブ感のあるアレンジで「変わらない味」に仕上げているのだそうです。

     

    こだわりがたくさん詰まった甘いパン

    TVで紹介されるほどの人気商品「ミルクフランス」は、噛みごたえのあるバゲットに自家製ミルククリームがたっぷり。甘さは控えめですが、看板商品であるバゲットの存在感が引き立つ味わいです。

    左:ブリオッシュ。右:クリームパン

    常連客を魅了し続けている「クリームパン」は、オレンジ色のカスタードクリームがまるでプリンのようにプルプル!このきれいな色と食感は、青森産の上質な「はぐくみ卵」を使っているからこそ出せるのだそうです。この卵を使ったパン生地はこんがりした焼き色が出るので、「ブリオッシュ」にも惜しみなく使っているのだとか。

    「クロワッサンダマンド」は、かじるとサクサクの食感。歯切れの良いクロワッサン生地に、クッキー生地が重なって贅沢なおいしさを楽しめます。中にはたっぷりのカスタードクリームと、角切りリンゴの隠し味。みずみずしいアクセントが加わることで、より豊かに感じられます。

    クッキーやタルトなど定番のベイクドケーキも豊富。「ニューヨークチーズケーキ」や「ガトーショコラ」、「アップルパイ」は手土産にもおすすめです。

    断面から見える彩りからも分かる具だくさんサンドイッチ

    これからはサンドイッチの具も、「柚子胡椒と塩チキン」、「さんまのトマトマリネ」など夏らしい商品に変更するとか。
    さらに、デニッシュもグレープフルーツやダークチェリーのフルーティな商品が登場予定。訪れる楽しみが増えますね!

     

    地元に寄り添うパン屋さん

    フォカッチャのソースや、ベシャメルソース、カレーなどパンに挟むソースも自家製にこだわる店主の吉川さんは元料理人。

    店主の吉川さん。奥に見える可愛いイラストの入った黒板は奥様作

    パンの道を選んだきっかけは、「ひとつのことに打ち込む職人の仕事に憧れたから」。オールマイティーになんでもこなす料理人から、職人である「パン職人」に憧れて、転身したのだそうです。

    休日にはパンマニアも訪れますが、お客さんのほとんどが地元の方という『セルオブレ』。店名に込められた意味は、塩、水、粉。パンを作るうえで必要最低限の基本の原料です。

    シンプルだけどおいしく、誰にでも愛されるパンを焼き続ける姿勢がここにも表れていますね。

    商店街に根付いたお店は、小さな幸せを感じられる場所なのかもしれません。

    • ■お店情報
    • セルオブレ
    • 住所:東京都品川区小山3-22-21(地図
    • 電話:03-3783-1194
    • 営業時間:10:00~19:00
    • 定休日:火曜日・第3水曜日

    ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

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