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音楽でエコロジーと人をつなぐ音楽ユニット「HARQUA」に聞く〜後編・震災を経て〜

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音楽でエコロジーと人をつなぐ音楽ユニット「HARQUA」に聞く〜後編・震災を経て〜

音楽を通してエコロジーをわかりやすく伝える音楽ユニットHARQUA(ハルカ)さん。前回、お2人がどのようにして「環境」というテーマに向き合ってきたのかのお話を伺いました。

今回は5年前の東日本大震災を経て、震災にまつわる想いや復興支援、そして日々の生活についてお話いただきます。

 

  • HARQUA(ハルカ)
  • 夫婦として生活するHARCOQuinka,with a Yawnからなるユニット。ゆったりとした雰囲気のなか楽しめる音楽とエコのイベント「きこえる・シンポジウム」を企画。それぞれ多くのCMソングでも印象的な声を残しており、ひときわ優しく人懐っこい混声ボイスが魅力。

  

 

震災からの5年で考えたこと、そして今。

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前回、震災のお話がありましたが、今日でちょうど5年となります(取材当日は2016年3月11日)。震災前と後では多くの人が価値観や考え方が変わったと思うのですが、お2人にとってはどんな5年でしたか?

HARCO(以下、ハ):それまでと比べて、いわゆるボランティア活動に深く関わるようになった5年だったと思います。

東日本大震災の直後、支援物資が届かない小さな街にも満遍なく物資を届けるという活動から生まれた、「ふんばろう東日本プロジェクト」代表の西條剛央さんにトークゲストとして参加してもらったことがあるんですが、そのご縁でのちの「南三陸ミシン工房」になるプロジェクトと出会うことができました。

その活動は、南三陸町で仮設住宅に暮らす女性の方々を対象に、全国から寄付で集まったミシンをお渡しして、縫製の指導も受けていただき、ゆくゆくは新たな仕事につなげるというプロジェクトなんですが、当時は皆さんの集まる機会も増やすことで生きがい支援にもなっていました。

2011年に僕のツアーグッズの縫製を依頼したところから始まり、『南三陸ミシン工房のうた』という曲を収録したチャリティー・アルバムを2014年にリリースしました。のちに完売したので、今年3月に新録曲をプラスして再リリースしてます。ジャケットもリニューアルしたんですが、南三陸ミシン工房に息の長い支援をしてくださっている、ファッションブランド『ミナ ペルホネン』の皆川明(みながわ あきら)さんにイラストを描いていただいています。

09南三陸ミシン工房のうた』CD(左)と南三陸ミシン工房で作られた「おらほも あんだほも がんばっぺし!Bag」(右)

Quinka,with a Yawn(以下、キ):私も、毎月11日に東日本大震災のことを想ってキャンドルを灯すイベント『ともす東北』のテーマソングを作らせてもらいました。いろんな人とのつながりがあって、ちゃんと忘れないでいるための活動ができていて、それが自分にとっての生きがいにもなってきています。

震災直後は、音楽を作ったり、歌を歌っても…という無力感があったんですが、支援活動や忘れないでいるための活動にミュージシャンとして携わることができ、音楽をやっていてよかったなと思えるようになりました。

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ハ:震災の年の曲作りは結構悩んだよね。

キ:その年、震災のことを踏まえて作ったのが『さよならトリステス』というアルバムです。「トリステス」はフランス語で「悲しみ」という意味なんです。ものすごい悲しみを知ってしまったけど、そこから次に行けたらと思い作りました。私自身、この曲を作ったことで前に進むことができたので、聴いてくださる方々にも同じ気持ちが届いたらいいなと思っています。

震災を経て、やっぱり生活というか気持ちは本当に変わりましたよね。

ハ:僕も『BLUE×4(ブルーバイフォー)』という曲を作りました。ブルーはよく悲しい気分を表しますけど、震災後、悲しいって単にブルーだけでまとめていいのかなと思ったんです。とくに東北の方々のいろんな形の悲しみを目の当たりにすると、1人1人違った背景があるだろうと。空を見上げると空は青いですけど、その日によって微妙に違う「青」じゃないですか。空の青と一緒で、悲しみにもいろんな青がある。そういう歌を作ろうと思い、作りました。

僕は、震災から半年間1曲も作れなかったんですよね。音楽作ったり、演奏したりする意味をなかなか見つけられなくて。それで純粋なボランティアとして、たまたま南三陸町を訪れたりもしていました。

僕だけじゃなく当時は、ミュージシャンそれぞれが作品の方向性をあらためて考えたんじゃないかなと思います。

 

お子さんが生まれてからの生活と音楽

−その後、お子さんが生まれたということですが、そのことでまた生活や考え方に大きな変化があるかと思います。その辺りはいかがでしょうか?

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ハ:結婚したのが2004年で、生まれたのが2014年。結婚して10年間ずっと2人きりだったので、不思議な気持ちでしたね。

キ:でもその前から私は、子ども向けの童謡カバーアルバムをリリースしていたり、彼も子ども向けの歌を歌っていたり。子どもに近付いていっている感じはあったのかもしれませんね(笑)。私は作品に影響が出るのはまだこれからかな。今のところは育児に追われている感じです。

−お話を伺って、音楽に関してもエコロジーに関しても、お2人の生活にすごく近いところにあるものなんだなという印象を受けました。

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ハ:自分で意識はしていないんですけど、僕の楽曲はどれも暮らしの中のことをテーマにしているとよく言われるんです。自分と遠く離れた世界を歌うのが得意じゃなかったりするのかもしれません。

キ:彼は自宅のスタジオにこもって曲を作ったりレコーディングしたりしていますが、私はそういう『音楽を作るためのモード』みたいなものがもともとなくて。リビングで家事をしながら生まれてきた曲を、リビングで形にするスタイルなんです。スタジオに入って作るという方法も一度はやってみたんですが、結局これが一番心地いいなって思って。なので、音楽は本当に生活の一部ですね。自分が心地いいものはきっと皆さんも心地いいって思ってくれるかな、と考えています。

−ソロでそれぞれ曲を作っている時に相談したりするのですか?

ハ:できたものを聴かせて意見を言ってもらうことはありますね。結構厳しいです(笑)。

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キ:お互いのライブの感想とかね。一緒にライブを行うときの事前リハーサルは、ダメ出しの応酬ですね(笑)。

ハ:今は子どもが一番動きまわる時期なので、練習していると足元にまとわりついて離れてくれなかったりもして…。2人で練習するときは、親に遊びに来てもらったり、子どもが寝た隙など、短い時間で集中して行ってます。どこの家庭もそう、家のなかで育児と仕事を両立させるのは大変ですよね。

−なるほど。本日はお話どうもありがとうございました。最後に今後の活動予定を教えていただけないでしょうか?

ハ:僕は、もうすぐ「HARCOの春フェス 2016」という大きなイベントが、東京と京都であります。あとは今、アルバムに向けて曲作り中ですね。

キ:私は、今のところは専ら子どもに時間を取られてしまっているんですけど(笑)、やっぱりアルバムを作りたいと思っています。今インターネットで色んなことができるので、Ustreamを使って自宅でライブをしてそれを配信、というのをときどきやっています。

ハ:あとはHARQUAのアルバム第2弾をいつか出せたらと。10年近く出していないので。

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インタビュー後の復興ライブでは、お2人の優しい歌声をたっぷり聴くことができました。エコロジーや震災復興など、すぐに結果が出たり正解のあるものではないことなので、どうしても難しく考えてしまいます。しかしお2人のようにひとりではなく誰かと一緒に考えたり、話すことで、できることは広がるのかもしれませんね。どちらのテーマも、私たちの生活の延長線上にあります。自分の手の届く範囲でできることから、考えてはみませんか?

 

 

  • ■ライブ情報
  • 「HARCOの春フェス2016 in TOKYO」
  • 日程:4月19日(火)
  • 会場:渋谷duo MUSIC EXCHANGE
  • LIVE:HARCO、空気公団、 GOMES THE HITMAN
  • DJ:行達也
  • 18:00 OPEN / 19:00 START
  • 「HARCOの春フェス2016 in KYOTO」
  • 日程:5月28日(土)
  • 会場:京都 元・立誠小学校
  • LIVE:HARCO、空気公団、 GOMES THE HITMAN
  • GUEST:ヨーロッパ企画
  • 13:30 OPEN / 14:00 START
  • ※イベント会場は12:00オープン。FOODなどの出店エリアをお楽しみください。

 

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