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専門家が教える、もっとおいしく楽しく元気になるチーズの話

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専門家が教える、もっとおいしく楽しく元気になるチーズの話

日差しが柔らかくなり、もう間もなく秋。新作ワインの解禁を心待ちにしている人も多いのでは?

ワインと言えばチーズですが、「いろいろな種類がありすぎて分からない!」というのが本音。また、「においのきついチーズはちょっと…」と、敬遠してしまうという人も少なくないのではないでしょうか。

今回は、チーズ専門店『チーズ王国』の宮田さつきさんに

・ チーズの栄養

・ チーズの種類

・ チーズの選び方

・ チーズの保存法

・ チーズの食べ方

について、教えていただきました。

 

優れた栄養バランス、お腹にも優しい健康食品

日本のスーパーマーケットや専門店でもさまざまなチーズを見かけるようになりましたが、実はチーズについて知らないことが多いのが現実。チーズの魅力って一体どんなところなのでしょうか?

「夏の疲れが出てくるこの季節こそ、ぜひチーズを食べてもらいたい!と、私は思っています。チーズはとても優れた健康食品なのです。原料であるミルクには、人間にとって必要な栄養素がたっぷり含まれており、1日に必要とされる栄養素のうち『ビタミンC』と『食物繊維』以外はすべて入っているというスーパーフード。ですから、チーズにオレンジジュースとサラダをプラスすれば、それだけで栄養バランスの良い朝食になりますよ。

しょっぱいイメージから塩分が気になるという方も多いのですが、実は、かまぼこよりも少ない塩分量なのでご安心を」

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栄養バランスが気になる方にはうれしいお話ですよね。また、牛乳が苦手という方にもチーズはおすすめなのだとか。

「牛乳を飲むとお腹を壊してしまうという人がいますが、その原因は乳糖という成分。チーズは製造過程で乳糖を取り除いてしまうので、お腹がゴロゴロなりにくいのも特徴です。また、チーズの中の乳酸菌は生きたまま腸に届くので胃腸に優しく、便秘解消にもおすすめ。チーズは乳製品の良いところをギュッと凝縮したような食べ物なんです。特に胃腸が疲れやすい夏の終わりの時期は、お腹に優しく栄養満点なのでぴったりなのではないでしょうか」

 

星の数ほど存在するチーズの種類

以前、とのさんの記事でフランスには400種類ものチーズがあると紹介されていましたが、どんな種類があるのでしょうか?

「チーズは大きく分けて2種類、『ナチュラルチーズ』と『プロセスチーズ』があります。
フルーツに例えるなら、『ナチュラルチーズ』=生フルーツ、『プロセスチーズ』=缶詰フルーツといえます。スーパーマーケットで買えるスライスチーズなどは『プロセスチーズ』です。ナチュラルチーズを原料とし加熱処理したあと、乳化剤などを加えて保存性をアップ。いつも同じ味わいで扱いやすいように加工されています。」

一方「ナチュラルチーズ」はミルクを原料とし、乳酸菌や酵素の働きによってアミノ酸や蛋白質が変化することで熟成が進み、香りや味、食感の変化が楽しめます。チーズ専門店で扱っているもののほとんどは「ナチュラルチーズ」だそう。販売されているチーズの中で、まだ乳酸菌が生きているというのも驚きですね。

「『ナチュラルチーズ』は、原料のミルクを乳酸菌や凝乳酵素『レンネット』の働きで発酵させて乳清(水分)を取り除いて固めたもの。この固形分『カード』を、どのように加工するかで種類が分かれ、水分値や熟成方法によりバラエティー豊かな種類が生まれます。」
7タイプそれぞれの特徴を教えてもらいました。

 

7つのタイプに分けられるナチュラルチーズ

1. フレッシュタイプ

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カードをかくはんしたり、水を切ったり、熱湯に入れて練り上げたり、仕上げ方は多様ですが、どれも熟成させないのがこのタイプの特徴。だからこそ鮮度にこだわり、できたてのものを食べたいですね。比較的クセがないので食べやすく、お料理にアレンジしやすいです。どのタイプのチーズもこのフレッシュタイプがもとになるので「チーズの赤ちゃん」と呼ばれることも。

マスカルポーネやモッツァレラ、リコッタチーズなど、デザートや朝食、サラダに使われることの多いチーズです。

 

2.白カビタイプ

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表面はふわっとした粉雪のような白カビに覆われ、外側から中心へと柔らかく熟成していくタイプです。柔らかな外皮はそのまま食し、熟して黄色や茶色くなってきたら取り除いて食べることをおすすめします。日本でもおなじみのカマンベールチーズはこのタイプです。

原料のミルクが殺菌乳か無殺菌乳かで、熟成や外見、香り、味わいにも大きな差が生まれます。また、乳脂肪を足してまろやかに仕上げたダブルクリーム(乳脂肪分60%以上)などはチーズ初心者の方におすすめです。

 

3.青カビタイプ

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青カビが生えやすいようにチーズに針で穴をあけて、熟成させる青カビタイプ。独特の風味とコク、塩味が特徴。パスタなどで見かけることも多い、ゴルゴンゾーラはこのタイプです。世界三大ブルーチーズとして、フランス産「ロックフォール」、イギリス産「スティルトン」、そしてイタリア産の「ゴルゴンゾーラ」があります。他にも塩味がマイルドなものからコクのあるものまで様々な種類がありますので、青カビタイプは苦手という方は食べやすいものからトライしてみてくださいね。

 

4.ウオッシュタイプ

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表皮を塩水や、ビール、そのチーズが作られている土地の地酒で仕上げながら熟成させたもの。表面の香りには個性的なものもあるので、クセが強いと思われがちですが、外皮を取り除き中身だけ食べると意外とマイルドな味わいのものがほとんどです。特に赤ワインとの相性が楽しめ、やみつきになる方も。

冬季限定のモンドールはモミの木の樹皮に覆われ、森の香りを楽しめます。これからの季節におすすめのウォッシュチーズです。

 

5.シェーヴル&ブルビタイプ

06シェーブルタイプ

07ブルビタイプ

シェーブルとは山羊のミルクを原料にしたチーズのことで、ブルビとは羊乳を原料に作られたチーズの総称です。こちらも型入れして熟成させるタイプですが、形や色など多種多様で、熟成もさまざま。

シェーブルの場合、新鮮でフレッシュな状態ではヨーグルトのような酸味があって爽やかな味わい。コクや深みを求めている方には、少し熟成が進み水分をとばしたドゥミセックや、さらに水分をとばしてホクホクした食感のセック、また水分を残しながら熟成させたアフィネがおすすめです。いろいろな味わいに出会える楽しみがあります。

ちなみに、春から夏にかけての時期がシェーヴル・ブルビタイプの旬です。

 

6.セミハードタイプ

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カードを型入れしたあと、圧搾(圧力をかける)してから熟成させたセミハードタイプ。大きさは様々ですが通常1〜8ヶ月の熟成で、水分値が38〜48%のものをセミハードと言います。加熱するとよく伸び、とろけるのが特徴です。溶かしてじゃがいもなどにかけて食べるラクレットチーズや、ピザやグラタンにもよく使われる親しみのあるタイプです。

 

7.ハードタイプ

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カードを型に入れる前に加熱して、さらに水分を除いて、圧搾、表皮をブラッシングしながら熟成したハードタイプ。通常6ヶ月以上の熟成、水分値38%以下のものを呼んでいます。水分量が少ないため長期保存に向いており、長いものになると2年3年のものも。この長期熟成によって必須アミノ酸が生まれ、旨味成分であるグルタミン酸も増加します。熟成によって深みのあるおいしさがたっぷりのハードチーズ。そのまま食べるのはもちろん、「ミルクの鰹節」と言われることもあるくらいうまみたっぷりなので調味料としても活躍します。

穴あきチーズの定番エメンタールやパスタのお供パルミジャーノはこのタイプです。

大きく分けるとこの7タイプになるそうですが、産地や手がけた職人、どんなミルクを使っているかによってさらに細分化され、世界には星の数ほどチーズの種類が存在するのだとか。

相談して買うのも楽しい!チーズ選び

タイプの違いは分かったけど、選び方が難しそう…と、不安に感じてしまいますが、宮田さん曰く、「専門店でアドバイザーに相談しながらチーズを選ぶことで、新しい発見や美味しい食べ方などを知ることができ、チーズを選ぶ楽しみが増えますよ」とのこと。

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「ナチュラルチーズのおいしさは鮮度で決まります。専門店では生きた新鮮なチーズだけを販売していますので、初心者の方もぜひ足を運んで欲しいと思います。

選び方が分からない場合は、お店のスタッフに好きな味だけでなく苦手な味を伝えると、好みにあったチーズを紹介してくれますよ。気軽に話しかけてみてくださいね」

最初はチーズが苦手でも、本当に鮮度のいいチーズを食べて好きになったということもあるんだとか。そこから「今度はこれを試してみよう!」と、次々に挑戦するお客さんも多いそうです。

 

チーズにも旬がある!

チーズには一年中同じ物が出回っているようなイメージがありますが、季節限定のミルクを使ったり、熟成の具合によって旬があるのだそう。専門店へ行けばその季節に一番おいしいチーズをおすすめしてもらえます。

011ゴーダドゥメ

「これからの秋は、チーズ王国のオリジナルチーズ『ゴーダドゥメ』の季節です。“メ”というのはフランス語で“5月の”という意味。新芽の生い茂る5月は、一年のうちで1番美味しいミルクがとれると言われていて、その甘くて栄養たっぷりのミルクのみを使って作られています。」

012モンドール

「もうひとつ、9月下旬から出回る冬季限定の特別なチーズ『モンドール』!製造期間が限られているため、出来上がりを楽しみにしているファンもたくさんいるチーズです。日本人が松茸を見て秋の香りを感じるように、フランス人にとっては『モンドール』によって秋を訪れを感じるようです」

チーズは自然の恵みそのもの。季節や気候風土によって味わいが異なります。昔ながらの製法を守り生のミルクから作られるチーズには、旨みや香り、味の変化を味わえるので、今までのチーズの価値観が変わってしまうほどだそう。

 

バナナみたいに熟す?チーズの保存法

かたまりで買うと食べきるのが難しいナチュラルチーズ。そのまま冷蔵庫に入れておいたら、チーズにカビが生えてしまったり、ラップで包んでおいたら臭くなってしまったり…。プロはどのように保存するのでしょう?おいしさをキープできる保存方法を教えてもらいました。

【保存方法】

・ナチュラルチーズは生きているので、その日食べる分だけカットして、残りはかたまりのまま保存しておくと日持ちします。

・カットする場合は、空気に触れる部分を1箇所にしないために、いろんな面からカットするとよいでしょう。

・クッキングシートで包んで保存容器に入れて冷蔵庫の野菜室へ。ブルーチーズはチルド室へ。

・ナチュラルチーズは中で乳酸菌が生きています。ラップでの長期保存はチーズにとって最適とは言えないので、あまりおすすめしていません。

・カビが生えてしまったらカビの部分を取り除けば食べられます。チーズの乳酸菌の力が腐敗菌を中まで浸透させないためです。ただし、刺激臭など違和感がある場合は食べない方が◎。

「ナチュラルチーズは買ってからも熟成が進み日々味や香りが変化していくので、その時々で違う味が楽しめます。固くなったり、賞味期限が切れてしまっても食べられるのですが、風味は落ちてしまったときは料理に使うと良いですよ」

 

塩の代わりにチーズを使えばOK!ナチュラルチーズを使った料理

「チーズを使った料理というよりは、まずは塩の代わりに使ってみるとよいでしょう。簡単に料理にコクとうま味をプラスできます。固くなったチーズを細かく切って卵焼きやチャーハンに入れるのもおすすめですよ」と、宮田さん。

塩の代わりや、チャーハンに入れると聞くと、なんだか日常的にもチーズを使えそうな気がしてきますよね。

日本の食卓でも取り入れやすいチーズの使用例を教えてもらいました。

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・野菜のチーズ蒸し

…冷蔵庫に余っている野菜をフライパンで炒めたあとチーズをふりかけて蓋をする。

・卵焼き

…塩の代わりにナチュラルチーズを入れるとおいしい。パルミジャーノやブルーチーズがおすすめです。

・お味噌汁やお鍋に

…水気を切り一口大に切り分けたモッツァレラチーズをお味噌汁に入れるだけでOK。熱すると伸びるモッツァレラチーズはおもしろい食感でお子さんにも喜ばれます。

・パスタソース

…牛乳または生クリームとブルーチーズをフライパンで温めてパスタソースに。簡単なのに本格的な味わいになります。

また、おもてなしに使うときにもチーズは便利。切って並べて、ハーブやバゲットを添えるだけでテーブルが華やかになります。チーズ特有の香りや青カビの生えた見た目に最初は苦手意識があったとしても、専門店の新鮮なチーズを口にすると苦手意識がだんだん消えて行くから不思議です。

日本はもともとお酒やお味噌、漬物などの発酵食品をよく食べる文化があります。チーズも同じ発酵食品です。お味噌汁に入れたり、塩代わりに使ったりと日本の食卓とも相性がいいのかもしれませんね。見た目や味、香りなど五感をフルに使ってチーズを楽しめば、いつもの食卓がもっと豊かになるはず。チーズの魅力をぜひご自身で確かめてみてください。

 

  • ■ お店情報
  • サロン・ド・テ・チーズ王国
  • 住所:東京都立川市栄町4-16-1(地図
  • 電話:042-540-2060
  • 営業時間:10:00~19:00
  • 定休日:火曜日
  • (ただし祝日と重なった際は営業、代休あり。他、臨時休業あり)
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